風景写真のレタッチ~雲海と街明かりを幻想的に見せる~

photoshopを使うと、写真を大幅に、そして思いのままにレタッチできます。
今回は、雲海と街明かりを幻想的に見せるレタッチを紹介します。
今回の記事ではphotoshop 2021を使用しています。これ以外のverでも多少の違いはあれど、基本的な操作は同じです。

尚、レタッチ後の写真は1x.comにてpublishedされています。

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レタッチ方針

以下が元写真です。
この写真のRAWファイルを使いレタッチしていきます。


レタッチの基本方針は、以下の5つになります。

①中央付近をトリミングし、主題をはっきりさせる
 & 輪郭をボカすことで、暖かみを出す
②街明かりの彩度を高くし、暖かみを出す
③雲のコントラストを上げ、立体感を出す
④夕焼けをオレンジ色にし、暖かみを出す


漠然とレタッチをし始めると、レタッチの終わらない底なし沼にはまりやすいです。
始めにレタッチの方針を決めることが肝要です。

レタッチ紹介

それでは、さっそくレタッチを開始していきます。

読み込み&camera raw

photoshopにRAWファイルを読み込むと、camera rawが開きます。
さすがに元の状態だと全体が暗すぎるので、露光量を上げておきます。
黒潰れや白つぶれをcamera rawで調整をしておくことで、画像の破綻が少なくなります。
(後の工程におけるレタッチでは、黒潰れや白つぶれの補正には限界があります)


調整後の画像を示します。
左が調整前、右が調整後です。
暗部が明るくなり、見えるようになりました。

トリミング

画像の主題は街です。さすがに奧の空や手前の雪が大きすぎます。
そこで、トリミングをします。
photoshopの左のツールバーから「切り取りツール」を押し、トリミングします。この際、上のツールバー上の「切り抜いたピクセルを削除」のチェックマークを外しておくことで、後でトリミングをやり直せるようになります。


トリミング後の画像を示します。
左がトリミング前、右が後です。
主題である街が目立つようになりました。

ノイズ低減

無理やり暗部を明るくしてしまったため、ノイズが目立っています。
そこで、camera rawフィルタ-を使い、ノイズ低減処理を施します。

photoshop画面上のタブから「フィルター→スマートフィルター用に変換」をクリックし、画像をスマートフィルターに変換します。
camera rawなどのフィルター系のレタッチは、通常はやり直すことができないようになっています。しかし、あらかじめスマートフィルターを掛けておくことでやり直すことができるようになります。


次に「フィルター→Camera Rawフィルター」をクリックします。


「ディテール」から「ノイズ低減」を73に、「カラーノイズの低減」を31まで上げます。
やりすぎてしまうと写真のディテールが失われてしまうため、注意しましょう。


調整後の画像を示します。
左が調整前、左が後です。ノイズを減らすことができました。
また、ディテールが減ることで、幻想的な雰囲気を出すこともできました。

レベル補正

レベル補正機能を使い、写真において明るすぎる箇所や暗すぎる箇所を補正し、明るさを整えます。
このレベル補正機能は、風景写真のレタッチにおいて最初の方に使われることが多いようです。

画面右上から「色調補正→レベル補正」をクリックします。


ヒストグラムの左の△を移動し、ヒストグラムの左端に合わせます。これによって暗すぎる箇所が明るくなります。
同様に右の△を移動し、ヒストグラムの右端に合わせます。これによって明るすぎる箇所が暗くなります。


レタッチ後の画像を示します。
左がレタッチ前、左が後です。

トーンカーブ1

空がやや白飛びしています。
そこで、トーンカーブを調整して空を暗くし、引き締めます。

右上から「色調補正→トーンカーブ」をクリックします。


画面右上にトーンカーブが現れました。
トーンカーブを3分割するように、マウスをトーンカーブ上で2回、左クリックし点を作ります。
右側の点の位置を下げることで、写真の明るい箇所の明度を下げていきます。

尚、このレタッチでは画面全体が影響を受けてしまいますが、空の部分にのみ着目しておけばよいです。理由は後述します。


先ほどのトーンカーブ調整によって、画面全体が暗くなってしまいました。
そこで、空の部分にのみマスクをかけます。

画面左のツールバーから「クイック選択ツール」をクリックします。
マウスの左ボタンを押しながらマウスを移動し、空の部分のみを覆います。
その後、キーボードのdeleteキーを押します。


トーンカーブのところに、以下のような白黒の模様ができればマスク成功です。
これは、白い部分にのみトーンカーブが適用されていることを示します。
うまくいかない場合には…選択範囲を逆転するなど、試行錯誤してみてください。



狙った範囲を選択できない場合には、画面左上の+や-マークを選択することで、洗濯位置を調整することができます。


トーンカーブ調整後の写真を以下に示します。
左が調整前、右が調整後です。

空が締まり、青とオレンジ色がはっきりとしました。

トーンカーブ2

トーンカーブを調整し、雲海に立体感を出します。

先ほどと同様に「色調補正→トーンカーブ」をクリックします。


今度は、右側の点の位置を上げて、雲海の明るい部分をさらに明るくします。


先ほどと同様に、雲海の部分にのみマスクを掛けます。


トーンカーブ調整後の画像を以下に示します。
左が調整前、右が調整後です。

狙い通り、雲海の立体感が増しました。

特定色域の選択1

街明かりがややくすんでいます。
そこで、特定色域の選択機能を使い、街明かりを鮮やかに仕上げます。
この機能は、写真上の特定の色のみをレタッチできる機能です。

右上から「色調補正→特定色域の選択」をクリックします。


「カラー→レッド」を選択します。
ブラックを62まで上げ、街明かりの赤成分を濃くします。


「イエロー」「グリーン」についても、以下のようにレタッチします。


画面奧の夕焼けも影響を受けてしまっています。
そこで、マスクを掛けます。今回は、画面左からブラシツールを選択します。
画面左下でブラシの色を選択できます。黒で塗るとレタッチを適用せず、白で塗るとレタッチを適用する、ということになります。


右クリックをすることで、ブラシの大きさと硬さを選択できます。
硬さとは、ブラシの境界をどれくらいぼかすかであり、数値が低くなるほどボケます。
今回は25%程度で、街明かりの部分のみを白く塗っていきます。


以下のようにマスクを掛けました。



レタッチ後の画像を以下に示します。
左がレタッチ前、右が調整後です。

狙い通り、街明かりが鮮やかになりました。

露光量

手前の雪が明るく、視線がこちらに誘導されてしまいます。見せたいのは街です。
そこで、露光量を調整し雪を暗くします。

画面右上から「色調補正→露光量」をクリックします。


露光量を-2.57まで下げます。


マスクを掛けます。
今回は、画面左から「グラデーションツール」をクリックし、さらに左上の「線形グラデーション」をクリックします。
さらに、画面上でマウスを左クリックし、マスクをかけます。


以下のようにマスクを掛けました。



レタッチ後の画像を以下に示します。
左がレタッチ前、右が調整後です。

狙い通り、手前の雪を暗くすることができました。

カラーバランス

写真全体が青色に転んでいるように見えます。
そこで、カラーバランス機能を使い、色を中間寄りに戻します。

画面右上から「色調補正→カラーバランス」をクリックします。


「シアン/レッド」を6まで上げ、「イエロー/ブルー」を-6まで下げます。


レタッチ後の写真を以下に示します。
左がレタッチ前、右が後です。

写真の青色が薄れ、中間色に近づきました。

特定色域の補正

地平線の赤色が強すぎて、ギトギトして見えてしまいます。
そこで、特定色域の補正機能を使い、赤色をオレンジ色にすることでギトギト感を解消します。

画面右上から「色調補正→特定色域の選択」をクリックします。


「カラー:レッド」を選択します。
シアンとイエローを上げ、オレンジ色にします。
ブラックを下げて、明度を下げます。


マスクを掛けます。
これまでにかけたレイヤーのマスクをコピーします。
Windowsであれば「Ctrl+Alt」を押しながら、マウスの左ボタンでドロップすることでマスクをコピーすることができます。(macの場合にはalt/optionになります)


以下のようにマスクを掛けました。


レタッチ後の写真を以下に示します。
左がレタッチ前、右が後です。

狙い通り、地平線の赤色をオレンジにすることができました。

保存

Photoshop右上のタブから「ファイル→書き出し→書き出し形式」をクリックします。



「カラープロファイルの埋め込み」にチェックを付けておきます。(初期状態ではチェックが外れています)
チェックが外れていると、保存したjpegの色がおかしくなります。

通常のモニタを使っている場合には「sRGBに変換」のチェックを付けておきます。
adobe RGB対応の広色域モニタを使っている場合には、チェックを外しておきます。

最後に「書き出し」をクリックして、jpegファイルを生成して完了です。

まとめ

以上でレタッチは完了です。
この記事ではスムーズにレタッチしているようにも見えますが、実際には試行錯誤しています。
photoshopでは各レイヤー左横の目のマークを外すことで、レタッチのon/offができるようになっています。
よって、試行錯誤しながら再調整しやすくなっています。

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レタッチする際には、キャリブレーション可能で、尚且つadobe RGBに対応したモニタを利用することがおすすめです。

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