富士フイルム製のカメラでは、フィルムシミュレーション機能を使うことでフィルムを再現した美しい色を楽しむことができます。「富士フイルムの色に興味があるけれど、今使っているカメラを手放したくない」と悩んでいる方は多いと思います。そこで、DxO FilmPack 7(以下、FilmPack)を使うことで、ソニー、ニコン、キヤノン、OM SYSMTE (オリンパス)、パナソニック、シグマといった他社製のカメラで撮影した写真に、富士フイルムの各種フィルムシミュレーションを適用することができます。今回の記事では、OM SYSTEM (オリンパス)製カメラで撮影した写真にFilmPackのフィルムシミュレーションを適用した例を紹介します。
目次
DxO FilmPack 7とは
FilmPackとは、デジタル写真データをわずか数クリックでフィルム写真のようにレタッチすることができるソフトです。19世紀から2020年に至るまで、10社89種類のフィルムを使うことができます。これらのフィルムは何となく再現したというレベルではなく、DxO のラボで各フィルムの実物を精細に観察し、デジタルに落とし込むことで色や粒状感をデジタルで再現したものになります。この機能の派生版として、富士フイルムのフィルムシミュレーションを適用できる機能が付属しています。
適用可能なフィルムシミュレーションの紹介
FilmPackでは、以下のフィルムシミュレーションを適用することができます。Classic Chrome+は、Classic Chromeを強化したFilmPackオリジナルのプリセットです。
・ASTIA / ソフト
・Velvia / ビビッド
・ETERNA / シネマ
・ETERNAブリーチバイパス
・Classic Chrome / クラシッククローム
・Classic Chrome + / クラシッククローム+
・クラシックネガ
・ノスタルジックネガ
・PRO Neg. Hi
・PRO Neg. Std
・ACROS
尚、PROVIA(スタンダード)、Astia(ソフト)、Velvia(ビビッド)、ACROSについては、フィルムシミュレーションだけではなくフィルムそのもののプリセットが用意されています。(フィルムシミュレーションとはデジタルに特化したプリセットで、フィルムとはアナログフィルムを模したプリセットです)。興味があれば使用してみると楽しいでしょう。デジタルとは違った色味を楽しむことができます。
適用例の紹介
前項で紹介したフィルムシミュレーションやフィルムのプリセットを、OM SYSTEM製カメラで撮影した写真に適用した例を以下に紹介します。いずれの作例でも、左側がjpeg撮って出しで、右側がRAWデータに各種プリセットを適用した例です。
Velvia
富士フイルム公式サイトの説明によると、Velvia(ビビッド)は高彩度+記憶色が特長のモードで、 濃厚な青、鮮やかな原色再現は風景・ネイチャーに最適とされています。
月山の紅葉写真に対して、FilmPackでVelviaを適用した例を以下に示します。赤やオレンジといった紅葉の彩度が高まり、紅葉の色鮮やかさにピッタリです。lightroomなどで彩度を上げてしまうとギトギトした写真になりがちですが、Velviaでは自然な範囲にとどまっています。
尚、右と左でわずかに写真の形が違うのは、レンズの補正プロファイルが完全に同一ではないからです。これはどちらがうまく補正できている/できていないということではありません。どちらも問題なく補正できています。
ETERNA
富士フイルム公式サイトの説明では、ETERNA(シネマ)では落ち着いた発色と豊かなシャドウトーンが特徴とされています。
劔岳の写真に対して、FilmPackでETERNAを適用した例を以下に示します。山の彩度が下がることで劔岳のギザギザとした形が相対的に強調されています。また、空のマゼンタ(青)が低下して存在感が下がり、相対的に山の存在感が上がっています。これぞETERNAという描写です。
ASTIA
富士フイルム公式サイトの説明では、ASTIA(アスティア)ではやわらかさと高彩度を両立したモードとされています。
月に照らされるスノーモンスターの写真に対して、FilmPackでASTIAを適用した例を以下に示します。コントラストが弱くなったことで、月の柔らかい光を表現することができました。
Classic Neg.
富士フイルム公式サイトの説明では、Classic Neg.(クラシックネガ)では階調が固いことと彩度がやや低いことが特徴とされています。
夏の入道雲の写真に対して、FilmPackでClassic Neg.を適用した例を以下に示します。雲のコントラストが高くなり立体感が増しました。また、空の彩度がやや下がったことで、相対的に入道雲が強調されています。夏の雰囲気を出すことができました。
浅間山とスノーモンスターの写真に対して、FilmPackでClassic Neg.を適用した例を以下に示します。浅間山に落ちている光と影のコントラストが高くなり立体感が増しました。また、全体的に彩度がやや下がったことで雪の青被りが除去され、雪らしい白さを出すことができました。
Classic Chrome
富士フイルム公式サイトの説明では、Classic Chrome(クラシッククローム)では濃厚な雰囲気でドキュメンタリー調の世界観を表現できるとされています。
部分的にガスの掛かった十勝岳の写真に対して、FilmPackでClassic Chromeを適用した例を以下に示します。コントラストがやや高まったことで山に落ちている光と影が強調されました。また彩度が下がったことで、光と影や雪の質感が目立つようになりました。
PRO Neg. Hi
富士フイルム公式サイトの説明では、Pro Neg. Hi(プロネガ.ハイ)ではライティングが当たった環境下において、柔らかい階調が出てくることが特徴とのことです。
霞みの掛かる尾瀬ヶ原の写真に対して、FilmPackでPRO Neg. Hiを適用した例を以下に示します。固めの階調となり、モヤの中ので薄明りの差す尾瀬ヶ原を表現することができました。
acros
富士フイルム公式サイトの説明によると、acros(アクロス)とは豊かな階調を持ったモノクロであるとされています。
劔岳の写真に対して、FilmPackでACROSを適用した例を以下に示します。色の情報が完全に消えましたが、山の明るい部分と暗い部分とがはっきりと描写されており、劔岳の持つギザギザした感じがとてもかっこいい写真となりました。また、写真を拡大してみるとフィルム特有の粒状感が出ており、良い雰囲気を醸し出しています。
ソフトの使い方
FilmPackの使い方を以下に記載します。
(1)まず、ソフトを購入します。試用版と使う場合には手順(1)を飛ばしても構いません。試用期間中である30日間は無制限でソフトを使用可能です。
(2)次に、ソフトをダウンロード・インストールします。
(3)さらに、ソフトを開き、写真を読み込みます。jpegとrawのいずれ形式の写真も読み込むことが可能です。rawの方が写真が破綻しにくいためおすすめです。
(4)次に、右側のフィルタから「デジタルフィルム」にチェックを付けます。こうすることで、各フィルムシミュレーションを適用できるようになります。
(5)適用したいフィルムの画面をクリックすることで、プリセットが適用されます。
(6)最後に、ソフト左上の三本線をクリックし、「名前を付けて画像を保存」をクリックし、写真をjpeg形式で書き出します。
処理時間・料金体系・adobe社ソフトとの連携方法
FilmPackの処理時間、料金体系、adobe社ソフトとの連携方法については以下記事をご覧ください。
まとめ
筆者は富士フイルムとOM SYSTEMのユーザーです。今回のFilmPackでのフィルムシミュレーションの適用例は、本家富士フイルムと比べても遜色ない仕上がりでした。自信を持っておすすめできるソフトです。今回の記事は以上になります。