平日には仕事をし、週末に登山をするスタイルの方は多いと思います。筆者もこのスタイルが多いです。
日本は多くの山に恵まれています。日本100名山だけではなく、日本300名山や、花の100名山、100高山などもあります。
これらの山々の中でも、ひときわ大きなスケール感を放つのが標高3,000m級の山岳が連なる日本アルプスです。筆者が初めて日本アルプスに登った際には、どこまでも続く稜線や深い山々に圧倒されてしまいました。また、日本アルプスは日本雷鳥の生息地となっており、運がよければ雷鳥に遭遇することができます。筆者の感覚では、雷鳥との遭遇率は25%程度でしょうか。天気が悪いほど雷鳥との遭遇率が高まります。
日本アルプスは山深い分、多くの山行日数を必要とします。例えば南アルプスを全山縦走しようとした場合には1週間では足りず、10日間が必要となります。
一方、日本アルプスの一部の山に登るのみであれば、3連休を使い2泊3日で登頂することが可能です。今回の記事では2泊3日で登頂可能な日本アルプスの登山コースを紹介します。
目次
注意点
始めに注意点について述べておきます。安全に、誰にも迷惑を掛けずに登山をするのが大前提となる為です。
残雪を事前に確認しておこう
アルプスは標高が高いため、7月を過ぎても登山道に残雪が残っていて夏山装備では登れないことがあります。(特に日本海側に近い北アルプスでは、この傾向が顕著です)
必ず、宿泊予定の山小屋のホームページを見る、電話で問い合わせる、ヤマレコやヤマップで最近の登山記録を確認するなどの方法で、登山道の状況を事前に確認しておきましょう。
事前に宿泊・テント場の予約をしておこう
一部の山小屋を除き、山小屋に泊まる場合には事前予約が必須です。予約無しで宿泊した場合、小屋側は断ることができず、食料や寝床の確保で山小屋の人を大変困らせてしまいます。
また、2020年からはコロナの影響によって、テント泊の場合でも予約が必須となっていることが多いです。
逆に、予約後に宿泊予定がなくなった場合には、必ずキャンセルの電話を入れましょう。キャンセルをしなかった場合、遭難したと勘違いされて捜索願いを出されたり、貴重な食料を無駄にしてしまいます。キャンセルをするタイミングは早いに越したことはないですが、当日でもかまいません。無断キャンセルをするよりははるかに良いです。
高山病に気を付けよう
標高2,000m後半の山岳では、空気の量が地上の3分の2程度になるため高山病にかかるリスクがあります。高山病になったまま登山を続けると、集中力がにぶり怪我をするリスクが高まります。
標高2,000m前半の山に慣れてきた段階で、日本アルプスに登るようにしましょう。また、高山病になってしまった場合には無理をせず、こまめに休憩を取るか引き返す判断をしましょう。
北アルプス編
まずは北アルプス編です。
裏銀座(烏帽子岳~水晶岳、鷲羽岳、双六岳)
七倉ダムから入山し、烏帽子岳、水晶岳、鷲羽岳、双六岳を経由し、新穂高温泉へと下山するルートです。
稜線上からは終始槍ヶ岳を見ながら登山することができます。7月には、満開を迎えた高山植物や、運がよければ雷鳥の親子にも会うことができます。尚、途中の水晶小屋などでもう1泊することで3日4泊の行程とすると、比較的余裕を持って登ることができます。
白馬・雪倉・朝日岳
蓮華温泉から入山し、北アルプス北部の白馬岳・雪倉岳・朝日岳を周回するルートです。
本ルートの醍醐味は、なんといっても二日目の白馬~雪倉~朝日岳の縦走路です。稜線上はほぼ森林限界よりも上で、遠望を見渡すことができます。7月には、満開を迎えた高山植物や、運がよければ雷鳥の親子にも会うことができます。
ロングルートになるためお盆でも人が少なく、静かな山が好きな人にはうってつけです。
尚、長い縦走路の途中には営業小屋がないため、くれぐれも怪我には気を付けましょう。
南アルプス編
つづいて南アルプス編です。
広河原や奈良田を起点に、白峰三山を周回するルートです。
白峰三山(しらねさんざん)とは、南アルプス南部に位置する、北岳、間ノ岳、農鳥岳の総称です。いずれも日本に23座しか存在しない3,000m峰であり、そのうち北岳と間ノ岳は日本の標高第2、3位を誇る高峰です。
稜線上は終始、森林限界より上部となっており、富士山や塩見岳といった名峰を見ながらの登山を堪能することができます。
赤石岳・荒川三山
椹島ロッジから入山し、赤石岳と荒川三山を周回するルートです。
赤石岳は、標高3,120mを誇る南アルプス南部の盟主です。南アルプスが別名赤石山脈と呼ばれていることからも、このことがわかるかと思います。山名の由来は、赤い岩盤が見られることです。
荒川三山は、荒川前岳、荒川中岳、荒川東岳(悪沢岳)の三座から成る山です。岩々とした山容のかっこいい山です。
いずれの山も、とても山深いところに位置します。静岡県のインターチェンジを降りてから車で2時間かけて畑薙ダムまでたどり着き、そこからさらに東海フォレストの運営するバスに乗り込み1時間かけて登山口となる椹島ロッジへと到着します。
以下の記事では、2泊3日でこれらの山を踏破した記録を紹介しています。尚、かなり無理をして登っています。よほど体力に自信のない限り、通常はもう1日追加し3日4泊とした方がよいです。無理に2泊3日で歩き通そうとすると怪我・遭難の元となります。
(注:2021年度は畑薙ダムから椹島ロッジへと向かうバスが運休しています)
聖岳
椹島から入山し、聖岳に登り、稜線を南下した後に畑薙ダムへと下るルートです。
聖岳は、日本アルプスの3,000m峰の中では最南端に位置する山岳です。聖岳の山名の由来は、一説によると「南アルプスの中でもとりわけ奥深く、世俗を脱した聖なる山」とのことです。
また、聖岳~易老岳間の稜線は、南アルプス南部でも特に美しい稜線歩きを楽しむことができる、と言われています。
以下の記事では、二日間に詰め込んで上記ルートを踏破した記録を紹介しています。しかし、本コースはCT(コースタイム)が長いため、本来はもう一泊追加して3日間で登るべきです。
(注:2021年度は畑薙ダムから椹島ロッジへと向かうバスが運休しています)
中央アルプス編
最後に中央アルプス編です。
木曽駒ケ岳・空木岳
ロープウェイを利用して千畳敷へ登り、木曽駒ケ岳と空木岳間の稜線を歩いた後に、駒ケ根へと下るルートです。
ロープウェイを使うことができるため、登りの負担を減らすことができます。
木曽駒ケ岳~空木岳の稜線上では、宝剣山のスリリングな岩登りや、の絶景稜線ハイクを楽しむことができます。
以下の記事では、二日間に詰め込んで上記ルートを踏破した記録を紹介しています。しかし、本コースはCT(コースタイム)が長いため、本来はもう一泊追加して3日間で登るべきです。
今回の記事は以上になります。