写真は引き算だと良く言われます。
これは、余計なものを写真上から無くして、必要な要素だけにした方がいい写真になる、という考え方です。
被写体によっては、色を引き算してモノクロ写真にすると映える場合があります。
光の濃淡差が激しい被写体が、モノクロが合う写真の一例です。これは、色がなくても黒と白だけで表現をできるためです。
また、形の特徴的な被写体もモノクロ写真に適していることが多いです。
ところで、富士フイルムのカメラには、フィルムシミュレーションといって写真の彩度や階調をワンクリックで変更できる機能があります。
フィルムシミュレーションの1つ、acrosを使うと、重厚感のあるモノクロ写真を作製できます。(ソースはこちら)
今回の記事では、山岳写真に富士フイルムのフィルムシミュレーション・acrosを適用した作例を紹介します。
目次
朝日の反射
以下は、残雪期の旭岳で撮影した朝日の写真です。
雪面に朝日が反射しており、光の濃淡差ができています。
よって、モノクロ写真に適していそうです。
上記写真に、フィルムシミュレーション・acrosを適用したものを以下に示します。
太陽光が強く当たっている箇所ほど白く、逆に日陰になっているところほど黒くなり、白と黒の明暗差で表現できました。
フィルムシミュレーションには、acrosの他に通常のモノクロモードも搭載されています。
以下にモノクロとacrosの比較を示します。左がモノクロ、右がacrosです。
acrosの方が黒が濃くなっており、より明暗差の協調された写真になるようです。
通常のモノクロモードとacrosの違いについて、もっとはっきりとわかる作例を以下に示します。
以下は夕暮れの街並みを取った写真で、左がモノクロ、右がacrosです。
明らかに右の方が黒が濃くなっています。
斜光
以下は、斜光を浴びて輝く劔岳です。
劔岳はギザギザとした形が特徴的で、さらに今回は斜光によって光と影ができているため、モノクロに適していそうです。
上記写真に、フィルムシミュレーション・acrosを適用したものを以下に示します。
劔岳の形や、斜光が強調された写真となりました。残雪期の劔岳は難易度が高く、カラーよりもモノクロの方が劔岳の本質を現しているような気がします。
光芒
雲の隙間から差す光(光芒)を受けた立山です。
地面に光が当たっている箇所と、雲で暗くなっている箇所があるため、モノクロに適していそうです。
(注:光芒の意味は、厳密には違うかもしれません)
上記写真に、フィルムシミュレーション・acrosを適用したものを以下に示します。
太陽光が当たっている箇所は白く、逆に日陰になっている箇所は黒くなり、白と黒の明暗差で表現できました。
木漏れ日
以下の写真は、木の隙間から差す木漏れ日を撮影したものです。
手前の雪原に光と木の陰ができています。さらに、木の陰でできた模様がきれいです。よってモノクロ写真に適していそうです。
上記写真に、フィルムシミュレーション・acrosを適用したものを以下に示します。
木の陰でできたシルエットが印象的な写真となりました。
その他
以下は、テントの中でLEDライトにタオルを被せたものです。
光の濃い箇所と薄い箇所とがあるため、モノクロに適していそうです。
上記写真に、フィルムシミュレーション・acrosを適用したものを以下に示します。
暖かい光の情報が消えることで、夜の闇に満ちていくテントの中、といった雰囲気になりました。
関連記事
以下に関連記事を紹介します。
以下は、他のフィルムシミュレーションについての紹介記事一覧です。
以下は、他社製カメラにフィルムシミュレーションを適用できるソフトの紹介です。
以下は、富士フイルム製ミラーレスカメラ本体の選び方です。
富士フイルム社製のカメラで撮影したrawデータがあれば、adobe社のRAW現像ソフト「lightroom」でも各種フィルムシミュレーションを適用可能です。
尚、モノクロ写真は奥が深く、カメラメーカーが違うと同じ被写体を撮っても全く異なるモノクロ写真ができあがります。写真現像ソフト・Black & White Project 6を使えば、約120種類のモノクロ写真を数クリックで作成可能です。今回の記事は以上になります。