DxO FilmPack6の適用例紹介【フィルムをデジタルで再現】

フィルムで撮影した写真には独特な色見や粒状感といった特徴があり、見る人を引き付けます。しかし、フィルムには現像するまで様子が分からない、ランニングコストが掛かる、編集をしにくい、暗所に弱い、snsでシェアしにくいなどのデメリットがあります。また一部のフィルムは廃版となっているため入手困難です。そこで、DxO FilmPack6(以下、FilmPack)というソフトを使うことで、デジタル写真データをわずか数クリックでフィルム写真のようにレタッチすることができます。今回の記事では、FilmPackの適用例や使い方などを紹介します。

フィルムの特徴

フィルムで撮影した写真の特徴は、ノスタルジックな色見です。これらの特徴が、フィルム写真ならではの魅力につながっています。また、ISO感度の高いフィルムを使うと粒状感が出ます。この粒状感の正体はフィルムの感光に用いる粒子で、ISO感度が高いほど目立ちます。

一方、デジタルカメラで撮影した写真では、撮影した写真と実際に目で見た風景との色味が大きく乖離することはほとんどありません。また、ISO感度が小さければ粒状感は無く、高ISO感度では粒状感というよりはノイズが出てきてしまいます。フィルム写真の粒状感と、高ISO感度のノイズとは似て非なるものです。

FilmPackにてアドックス社のColor Implosionフィルムを適用した例。ノスタルジックな色見だけではなく、粒状感が目立っている。


DxO FilmPack6で使えるフィルム一覧

FilmPackで使えるフィルム一覧を以下に示します。19世紀から2020年に至るまで、11社84種類のフィルムを使うことができます。これらのフィルムは何となく再現したというレベルではなく、DxO のラボで各フィルムの実物を精細に観察し、デジタルに落とし込むことで色や粒状感をデジタルで再現したものになります。また、ここに示した以外にもデジタルプリセットやデザイナーズプリセットも存在します。

adox社

CHS 100Ⅱ, CMS 20, Color Impression,Silvemax 21

agfa社

APX100, APX25, Precisa 100, Scala 200x, Ultra Color 100, VIsta 200,

Foma社

Fomapan 100R, Fomapan 200 Creative, Fomapan 400 Action

Bergger社

BRF 400 Plus

Fuji社

Astia 100F, FP 100C, instax, Neopan 1600, Neopan 400, Neopan Acros 100, Pro 400H, Provia 100F, Provia 400F, Provia 400X, Sensia 100, Superia 200, Superia HG 1600, Superia Reala 100, Superia X-Tra 400, Superia X-Tra 800, Velvia 50, Astia 100, Provia 100, Velvia 100, Superia 200(クロス処理),

kodak社

Generic Kodak Ektrachrome 100 VS, Generic Kodak Kodachrome 64, BW 400 CN, E-100 GX Ektachrome 100, EIR, Ektachrome 100VS, Ektar 100, Elite Chrome 200, Elite Chrome 400, Elite Color 200, Elite Color 400, Elite ExtraColor100, HIE(High Speed Infrared), HIT filtered (High Speed Infrared), Kodachrome 200, Kodachrome 25, Kodachrome 64, Portra 160 NC, Portra 160 VC, Portra 400, T-Max 100, T-Max 3200, T-Max 400, Tri-X 400, Elite 100(クロス処理)

llford社

Delta 100, Delta 3200, Delta 400, FP4 Plus 125, HP5 Plus400, HPS800, Pan 100, Pan 400, Pan F Plus 50, XP2

impossible社

PX 600 Silver Shade

Lomography社

Redscale 100, X-Pro Slide 200

Polaroid社

664, 667, 669, 672, 690, Polachrome,

Rollei社

IR 400, Ortho 25, Retro 100 Tonal, Retro 80s

各フィルムの適用例紹介

FilmPackを使い、RAWデータに対して各フィルムのプリセットを適用した例を、以下に示します。

八甲田山のスノーモンスター(昼)

以下は、冬の八甲田山で撮影したスノーモンスターです。

OM-D E-M5 MarkⅢで撮影したjpeg撮って出し画像。カラーモードはナチュラル。

フジカラー:Superia Reala 100

上記写真に、FilmPackにて「フジカラー:Superia Reala 100」を適用した例を以下に示します。左が適用前、右が適用後です。全体的に彩度が下がりながらも、スノーモンスターや空のコントラストははっきりと残っています。冬の晴れた日の澄んだ空気を表現することができました。Superia Reala 100はすでに製造中止となっているため、デジタルのメリットが活かされます。

フジカラー:Provia 100F

上記写真に、FilmPackにて「フジカラー:Provia 100F」を適用した例を以下に示します。左が適用前、右が適用後です。全体的にパステルカラーになり、さらにスノーモンスターのコントラストが高くなりました。スノーモンスターのモンスター感が強調されたのではないでしょうか。

雲海の劔岳(アドックス:Color Implosion)

以下は、雲海の上に浮かぶ劔岳です。

X-T3で撮影したjpeg撮って出し画像。カラーモードはProvia.

上記写真に、FilmPackにて「アドックス:Color Implosion」を適用した例を以下に示します。このフィルムでは、ISO100では黄色被りが起きます。元の写真のISO感度が160であることから、空に黄色成分が混じっています。このことによって空の存在感が下がり、相対的に山が強調されています。また、全体的にフィルム特有の粒状感が現れています。これはノイズではありません。デジタル写真では画質が鮮明すぎてのっぺりとした平面的な写真になってしまうことがありますが、今回は粒状感のおかげで立体感が際立っています。



上記写真の粒状感が気になる場合には、強さや大きさをコントロールすることも可能です。強さを初期値の100から、20まで下げた例を以下に示します。粒状感が弱まりました。人によってはこちらの方が好みなのではないでしょうか。このように、粒状感をコントロールできることがFilmPackの強みです。

八甲田山のスノーモンスターの夜景(Superia Reala 100)

以下は、月夜に浮かぶ八甲田山のスノーモンスターです。

E-M5 MarkⅢで撮影したjpeg撮って出し画像。カラーモードはナチュラル。




上記写真に、FilmPackにて「フジカラー:Superia Reala 100」を適用した例を以下に示します。スノーモンスターのコントラストが柔らかくなり、月夜に照らされている雰囲気を表現することができました。また、雪の青被りが緩和されて白に近づいています。

残雪期の五色ヶ原

以下は、残雪期の五色ヶ原です。

X-T3で撮影したjpeg撮って出し画像。カラーモードはProvia.

コダック:Kodachrome 64

上記写真に、FilmPackにて「コダック:Kodachrome 64」を適用した例を以下に示します。左が適用前、右が適用後です。このフィルムでは彩度が下がることで、相対的に山の存在感が強調されました。また、コントラストが上がる(濃い色はより濃く、薄い色はより薄く)ことで山の存在感が増しました。このフィルムはすでに廃版となっているため、デジタルでのみ楽しむことができます。

コダック:Ektar 100

上記写真に、FilmPackにて「コダック:Ektar 100」を適用した例を以下に示します。左が適用前、右が適用後です。全体的にはニュートラルな色見となりつつも、山の緑色に鮮やかさが残っています。個人的には、前述のKodachrome 64よりもこちらの方が好みです。

ポラロイド:Polaroid 669

上記写真に、FilmPackにて「ポラロイド:Polaroid 669」を適用した例を以下に示します。左が適用前、右が適用後です。このフィルムでは、全体的に彩度が下がり、やや黄色に色が転び、コントラストが中程度となることが特徴のようです。まるで映画のワンシーンを見ているかのような雰囲気となりました。このフィルムはすでに廃版となっているため、デジタルでのみ楽しむことができます。

夕焼けの仙丈ケ岳(コダック:Elite Chrome Extra Color 100)

以下は、夕焼けに染まる仙丈ケ岳です。

X-T3で撮影したjpeg撮って出し画像。カラーモードはVelvia.


上記写真に、コダックの「Elite Chrome Extra Color 100」を適用した例を以下に示します。左が適用前、右が適用後です。太陽や雲などの明るい場所はより明るくなり、光が当たっていない箇所の雲はより暗くなっています。つまり、コントラストが高くなっています。また、全体的に夕日の彩度が高くなっています。これによって、非常にメリハリのある写真となりました。通常、このような編集をマニュアルで行うと、画像がギトギトしてしまい破綻しがちですが、今回は全く破綻していておらず、自然な仕上がりとなっています。このフィルムはすでに廃版となっているため、デジタルでのみ楽しむことができます。

ソフトの使い方

FilmPackの使い方を紹介します。

(1)まず、ソフトをダウンロード・インストールします。Essential EditionとElite Editionの2種類があります。後者の方が選べるフィルムの種類が多いことが特徴です。

(2)次に、ソフトを開き、写真を読み込みます。jpegとrawのいずれ形式の写真も読み込むことが可能です。後者の方が写真が破綻しにくいためおすすめです。

(3)次に、各フィルムのプリセットを適用します。フィルムの数が84種類と多いため、一覧から探すのではなく「①フィルタ」「②検索」「③タイムマシン」のいずれかから探すのが良いです。「銀塩」「デジタル」などの種類から探したい場合には①を、フィルムの名前が分かっている場合には②を、発売年から探したい場合には③を使うと良いでしょう。

プリセット選択画面


①フィルタ
②検索
③タイムマシン

(4)適用したいフィルムの画面をクリックすることで、プリセットが適用されます。



(5)フィルムの画面をダブルクリックすると、微調整を行なうことができます。「フィルム」のバーから、粒状感の強さを調整することができます。また、「フィルム」の強さから、粒状の大きさを変更することができます。



(6)最後に、ソフト左上の三本線をクリックし、写真を保存します。処理形式を「jpeg」と「tiff」のいずれかから選択することが可能です。tiffで保存しておくと、このあとにlightroomやphotoshopで処理をする際に画像が破綻しにくくなります。

処理時間

筆者のPCのCPUは「intel Core i9-9900K」でGPUは「NVIDIA Quadro P2000」となっています。このPCで2,600万画素のrawデータをjpeg形式に変換・保存した場合の処理時間は約6秒となりました。

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料金体系

FilmPackには、essentialとeliteの2つのバージョンがあります。前者ではフィルムの数が制限されている代わりに、価格が8,500円と安くなっています。後者ではすべてのフィルムを使える代わりに、価格が13,900円と高くなっています。いずれも買い切りの価格です。

ver価格特徴
essential edition¥8,500
(買い切り)
使えるフィルムの数が制限されている
elite edition¥13,900
(買い切り)
すべてのフィルムを使える

adobe社ソフトとの連携方法

lightroomやphotoshopといったadobe社のソフト上で、FilmPackを動作させることが可能です。これを、FilmPackをプラグインとして使う、と言います。手順を以下に説明します。

lightroom → FilmPack

lightroomでFilmPackをプラグインとして使うためには、タブから「写真→他のツールで編集→FIlmpack」をクリックします。

photoshop → FilmPack

photoshopでFilmPackをプラグインとして使うためには、タブから「フィルター→DxO labs→FilmPack」をクリックします。

FilmPack → lightroom or photoshop

FilmPackから、直接lightroomやphotoshopにファイルを転送することはできません。FilmPack単体で写真を編集し、tiffでデータを保存後、lightroomやphotoshopで開くと良いです。



今回のDxO FilmPack 6紹介記事は以上になります。

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