筆者は、6年前に自作したPCを使って写真編集(RAW現像)を行っています。
このPCは当時のミドルクラスの能力を持っているのですが、RAW現像を行うには能力が低く、RAW現像に最長30秒もかかってしまいます。
写真を100枚現像するとしたら、30×100=50分ですね。
しかも、現像は1回では終わらず、微調整しなから数回繰り返すことが多いです。
写真1枚につき平均で3回RAW現像をするとしたら、30秒×3回×100枚=2.5時間です。
なんだかもう、この時間で次の撮影にいけそうなレベルですよね。
そこで、思い切ってRAW現像向けの高スペックPCを自作しました。
今回の記事では、新PCでRAW現像に要した時間の測定結果を紹介します。
目次
スペック
新旧PCのスペック比較は以下の通りとなります。
部品名 | 新PC | 旧PC |
CPU | intel Corei 9-9900K | AMD A10-6800K APU with Radeon HD |
メモリ | 16GB×2 | 4GB×1 |
グラフィックボード | ELSA NVIDIA Quadro P2000 | 無し(オンボード) |
尚、このパーツを選定した経緯と理由については、以下記事をご参照ください
性能比較
富士フイルム社製ミラーレスカメラ「X-T3」で撮影したRAW画像の現像に要するを計測することで、新旧PCの能力比較をしていきます。
尚、X-T3の画素数は約2,600万画素、センサーサイズはAPS-C、RAW画像の容量は、ロスレス圧縮で約25MB、圧縮無しだと約80MBです。
写真1 ハイライトとシャドウの調整
写真1枚目は、紫陽花の現像です。
下記写真が、現像前のjpeg撮って出し画像です。
ハイライトを上げて、シャドウを下げる現像をします。
(白い部分がより明るくなり、暗い部分はより暗くなります)
下記写真が、現像後のJPEG画像です。
では、旧PCの時間計測から参りましょう。
結果発表。
旧PCで要した現像時間は17.28秒でした。
感覚としては、そこそこ長いのではないでしょうか。
何回か現像を繰り返して追い込んでいく場合には、許容しにくい時間かと思います。
では、次に新PCの時間を計測してみましょう。
結果は3.17秒でした。圧倒的に短いです。
写真2 明瞭度とかすみの除去の調整
写真1枚目は、仏像の現像です。
下記写真が、現像前のjpeg撮って出し画像です。
明瞭度とかすみの除去を上げる現像をします。
下記写真が、現像後のJPEG画像です。
では、旧PCの時間計測から参りましょう。
結果発表。
旧PCで要した現像時間は26.72秒でした。
この間に冷蔵庫から水を取り出して、コップについで飲むくらいのことはできそうな時間です。
また、写真1枚目よりも現像時間が約1.5倍長くなっています。
現像パラメーターによって、パソコンに掛かる負荷が異なるということなのでしょう。
では、次に新PCの時間を計測してみましょう。
結果は3.87秒でした。
旧PCと比較して圧倒的に短いです。
また、新PCでは調整パラメーターが変わっても、現像時間がほとんど変わっていないことがわかります。
どのような現像をする場合でも、安定的に現像時間を短くできそうです。
ベンチマークソフト
ベンチマークソフト3D Markと、PC Mark10を用いてPC能力をベンチマークしました。
前者のソフトでは、3D能力のパフォーマンスを、後者のソフトでは、PCのアプリケーション実行における総合的なパフォーマンスを測ることができます。
どちらも、Basic Editionであれば無料で利用可能です。
スカウターで戦闘能力を測るようなものです。
3D Mark
3D Markの計測結果は以下のようになりました。
新旧PCで比較してみます。
ベンチマーク項目 | 新PC | 旧PC |
グラフィックスコア | 2960 | 2310 |
CPUスコア | 10394 | 4459 |
totalスコア | 3315 | 2512 |
結果は…あれ、あまり変わらない。
RAW現像時間が10倍くらい違ったので、ベンチマークスコアも10くらい違いのかと思いきや、そんなことはないようですね。
PC Mark10
続いて、PC Mark10の結果です。
数値を抜き出したものを以下に示します。
尚、旧PCを解体後にPC Mark10の存在を知ったため、旧PCのベンチマークスコアはありません。
ベンチマーク項目 | 新PC | 旧PC |
App Start-up Score | 7423 | – |
Video Conferecing Score | 8400 | – |
Web Browsing Score | 7504 | – |
Spreadsheets Score | 8173 | – |
Writing Score | 4367 | – |
Photo Editing Score | 7057 | – |
Rendering and Visualization Score | 9525 | – |
Video Editing Score | 4782 | – |
Total Score | 4892 | – |
まとめ
今回の自作PCでは、RAW現像時間の大幅な短縮(従来の28秒から、3秒)に成功しました。
よって、このPCをRAW現像用として胸を張ってオススメできるかと思います。
一方、今回の結果はあくまでもAPS-Cでのものです。
カメラのセンサーサイズや画素数が増えるほど、RAW現像に掛かる時間も長くなるかと思われます。
フルサイズカメラで撮影されたRAWデータの現像結果についても、機会があれば記事にしたいと思います。
尚、PCを自作するのはちょっと大変…
という方には、今回自作したPCと同程度の能力を持った自作PCをネットで購入可能です。
個人的には、TSUKUMOのこのPCが、今回自作したPCにスペックが近くオススメできます。
自身でPCを自作すると、最悪静電気でパーツを壊したり、パーツ同士の相性が悪く起動しないこともあります。
PC自作は外注するのが最も確実です。
関連記事
以下に関連記事を紹介します。
ネットショップをうまく利用することで、PCパーツを数千円~数万円お得に購入することができます。
現在使っているPCのHDDがクラッシュしてデータが取り出せなくなった…という場合には、EASEUS DATA RECOVERYがオススメです。筆者はこのソフトでデータを100%復活させることができました。
以下は、新進気鋭のRAW現像ソフト・Luminar4の記事です。
人工知能を使って、自動で写真の特定の部位のみを編集できるとてもいいソフトで、価格も安いです。
今回の記事は以上になります。