2021年9月23日現在、計8枚の筆者の写真が1x.comでpublishedされています。
1x.comに写真をpublishedされるための基準は公式サイトには記載がされていません。ネット上では「珍しい写真であること」「独特な視点を持った写真であること」「理論的に写真を説明できること」等がpublishedにとって重要だとされているようです。これらに加えて、筆者は「写真の美しさや意図を引き立てるレタッチ」も重要だと感じています。
1x.comでpublishedを目指している方の参考になればと思い、publishedされた筆者の写真について解説します。今回の題材は「Mt. Asama and snow monsters」です。
目次
撮影場所
1月の黒斑山付近にて、今回の写真を撮影しました。
黒斑山自体は、山に登らない人にはあまり知られていないかと思います。黒斑山は、かの有名な活火山である浅間山の外輪山の1つです。この外輪山やこれらを繋ぐ周回路からは、噴煙を吐く大迫力の浅間山を間近に見ることができます。ところで、これらの山域は長野県に位置するため豪雪地帯となり、真冬には樹木に雪や氷がついて、いわゆる「スノーモンスター」が発達します。よって、真冬の黒斑山では、スノーモンスターの付いた道を歩きながら、浅間山を眺めることができるようになります。
真冬に黒斑山に登る際には、冬山用の登山装備が必要になります。一方で難易度はそこまで高くないため、経験者が同行していれば初めての雪山登山にも適しています。
撮影条件
今回の写真を撮影した際には「①真冬でスノーモンスターが発達している」「②雲の切れ間から、浅間山にわずかに日が差し込んでいる」という条件でした。
①については、1~2月の真冬であれば常にスノーモンスターは発達しているので、珍しくはありません。②については、それなりに珍しい条件だと思います。さすがに真冬に1カ所に留まって撮影機会をうかがうのは辛いので、登山をしながらその瞬間を待ちました。この登山道は開けている箇所が多いので、撮影地点にはそれほど困りません。「天気が回復予報の日」には、②の条件を狙うことは十分可能だと思います。
構図・伝えたいこと
以下のように、スノーモンスターを額縁として、中央に浅間山を配置する構図としました。いわゆるフレーム効果です。

スノーモンスターをフレームとした理由は2つです。1つ目は、中央の浅間山に視線が誘導する効果が働くからです。2つ目は、冠雪した浅間山とスノーモンスターの相乗効果で、冬であることを強調したかったからです。
普通に撮ると、浅間山のみを切り取って撮ってしまいがちです。しかし、これでは単調な写真をなってしまいます。とはいっても、普通のレンズだと画角が狭すぎてスノーモンスターと浅間山の両者を写真に収めることはできません。そこで今回は、換算焦点距離が18mmの超広角フィッシュアイレンズを用いて、両者を写真に収めました。また、フィッシュアイレンズには「スノーモンスターが歪んで、モンスターらしさがより強調される」という効果もあります。

味気ない写真となってしまった。
レタッチの概要
この写真はphotoshopでレタッチしています。筆者の場合、jpeg撮って出しやlightroomを使ったRAW現像では、publishedされたことはこれまでにありません。よって、前述した「伝えたい事」を引き立てるレタッチが必須だと考えています。
レタッチの方向性は以下の通りです。
「スノーモンスターをやや暗くして、モンスター感を出す」
「雪に青みを足して、冬の冷たさを強調する」
「脇役である空の彩度を落とすことで、相対的に目立たないようにする」
「主役である浅間山のコントラストを上げて、協調する」
レタッチ前後の写真を以下に示します。左がレタッチ前、右がレタッチ後です。(このレタッチの詳細については、今回の記事の中では触れません)
タイトル・説明文
この写真のタイトルは「Mt. Asama and snow monsters」です。邦題は、そのまま「浅間山とスノーモンスター」となります。
説明文は以下の通りです。単純に「冬らしく浅間山とスノーモンスターを写真に収めました」というようなコメントで終わらせてはいけません。curatorは説明文もちゃんとチェックしているとされています。今回の説明文には、浅間山が古くから現在まで活動を続ける活火山であること、冬にはスノーモンスターが発達すること、フィッシュアイレンズを使うという工夫でスノーモンスターを歪めて存在感を高めたこと、前述したレタッチの概要等を記載しています。
(説明文)
Mt. Asama is an active volcano that has repeatedly erupted from 50,000 years ago to the present.
An ancient book 1000 years ago describes the eruption.
Rime on trees called snow monsters forms on Mt. Asama in winter.
The weather is often bad on Mt. Asama in winter, and it is rare that it will be sunny like this time.
By using a fisheye lens, the “monster” was distorted and its presence was increased.
The sky was desaturated to express the harshness of winter, and the overall white balance was lowered.
1x.comでの写真の評価
今回の写真の1x.comにおけるpopularityは、77~78%になりました。筆者は一桁のpopularityをもらってしまうことも多いので、今回の数値はそれなりに高いと言えそうです。

使用機材・カメラ設定
レンズにはオリンパス(現:OMデジタルソリューションズ)のM.ZUIKO DIGITAL ED 8mm F1.8 Fisheye PROを使用しました。前述の通り、35mm判換算で16mmの超広角レンズであり、手前の被写体を取り入れたいときに有効です。また、フィッシュアイ(魚眼)レンズとなっているため周囲の被写体が歪むため、うまく使うと印象的な写真を撮ることも可能です。

カメラ本体にはオリンパスのOM-D E-M5 Mark Ⅲを使用しました。青色の美しさに定評のあるカメラです。このカメラに搭載されているフィッシュアイ補正機能を使うことで、前述のFisheye proレンズを通常の広角単焦点レンズとして使うことも可能です。

カメラの設定は以下の通りです。
・シャッタースピード…1/640秒
・F値…9
・ISO感度…200
・露出補正…-0.3EV
今回の記事は以上になります。