【厳冬期・雪山登山】白峰南嶺~南アルプスの秘境稜線を歩く~

2021年2月10~12日に、2泊3日の日程で白峰南嶺に登ってきました!

白峰南嶺の紹介

白峰南嶺とは、白峰三山(北岳、間ノ岳、農鳥岳)の南側に位置する山々のことです。稜線上には山小屋や避難小屋が皆無で、水の補給もできず、しかも稜線に出るまでに標高差2,000mを登らなければならない厳しい登山道です。もちろん、登山者はとても少なくなります。(稜線に出るまでには小屋や水場は有り)

一方で、稜線に出てさえしまえばその技術的難易度は厳冬期白峰三山縦走よりは易しく、ロープを使うような場面もありません。

白峰南嶺の大部分は森林限界よりも上に位置しており、これらの厳しさを乗り越えた登山者のみが、人気の少なく静かな絶景の稜線歩きを楽しむことができます。

今回の記事では、奈良田を起点とし、2泊3日で白峰南嶺を周回した記録を紹介します。

今回の登山ルート詳細

今回のルートの詳細を以下に記します。

(初日)奈良田→大門沢小屋
(2日目)大門沢小屋→広河内岳→幕営地
(最終日)幕営地→大籠岳→白河内岳→笹山北峰→笹山南峰→奈良田

筆者が知る限り、今回のルートを紹介した雪山登山の書籍は存在しません。対応する昭文社の山と高原地図は「塩見・赤石・聖岳 (山と高原地図 43)」となります。

登山開始~大門沢小屋まで

奈良田第二駐車場に車を停めて、登山開始です。
夏だと、奈良田第二駐車場はすぐに埋まってしまう人気の駐車場ですが、この時期はガラガラです。料金も掛かりません。


登山道の上に雪はありませんが、周囲の水は凍っています。
標高の低いところに雪は無くても、気温は氷点下になるのが厳冬期の南アルプスの特徴です。


アスファルトと砂利の道を進んでいきます。


登山道に入ります。標識が豊富なので、道はわかりやすいです。


吊り橋をわたり…


次は河原に出ます。


渡渉が必要ですが、水量が少ないので難易度は高くありません。
(追記:2021年9月現在は新たに橋が建設され、この河原歩きは必要ないようです)


何度目かの橋や


何度目かの簡単な渡渉を経た後…


本格的な登山道へと入っていきます。
落ち葉のトラバース道なので、普通の道よりは滑りやすいです。


標高を上げるにつれて、徐々に雪が増えてきます。


雪のトラバース道なのでやや滑りやすいですが、トレッキングポールがあれば問題ありません。個人的には、軽アイゼンを付けるほどではありませんでした。(ただし積雪量によって状況は異なります。不安を感じたら余裕を持ってアイゼンを付けるようにしましょう)


年代物の重機です。南アルプス南部には、なぜか年代物の車や重機が放置されていることが多いです。


木道にやってきました。木道の上には雪が積もっており、とても滑りやすいです。進行方向左上に補助ロープが取り付けられていますが、位置が遠いため手は届きません。初日の最難関です。実際に、同行者は橋から落ちて濡れていました。今の時期、水にぬれると瞬時に凍ってしまい乾かないので、冗談抜きで致命的です。(今回は避難小屋を使えたため、難を逃れました)


2カ所目の橋。こちらは積雪量も少なく、難易度は低めでした。
(ただし、時期によってはこちらも積雪して難易度が上がることが予想されます)


初日の宿・大門沢小屋に到着しました!



大門沢小屋にて

大門沢小屋の正面にやってきました。


ありがたいことに、大門沢小屋は冬季小屋として開放されています。(管理人は不在で、使用料金も無し)
当然、マットやシュラフは持参する必要があります。また、小屋裏手のテント場を使うことも可能です。


大門沢小屋では飲料水を確保することもできます。場所は、小屋を出て右手に10歩ほど進んだところにあります。今の時期、雪を溶かさなくてもよいのはとてもありがたいです。


大門沢にはトイレもあります。ただしトイレットペーパーは要持参です。


大門沢小屋からは、富士山を見ることができます。


二日目。雪渓を登り稜線を目指す。

2日目を迎えました。天気は高曇りです。


お世話になった大門沢小屋を出発します。


まずは夏道通り進みます。


大門沢小屋を出てから30分ほど進むと、沢筋に辿り着きます。
道が複雑で、どこに進むべきか非常にわかりにくいです。


上の写真を図解します。

進んできたのは写真で右下です。写真左下に進むのは、南沢上部へと向かってしまうためNGです。やがて斜度が急になって登れなくなります。

写真奥側の沢に行きたいのですが、奧の尾根を越えるのは非効率でこれもNGです。正解は、右から尾根を回り込むように進むことです。


夏道と並走する沢に合流しました。斜度が急になる地点まで、この沢を進んでいきます。(直進しきってしまうと、斜度が急になって登れなくなるので要注意)


1つ前の写真の地点から、時間にして1時間半ほど沢を上に登りました。この写真のあたりから、進路を徐々に左側へと取り、別の沢筋へと入ります。


別の沢筋へと移動中。


別の沢筋へと入りました。このあたりから、夏道を大きく外れて登っていくことになります。夏道を忠実に辿るよりは、沢筋の方がラッセルが少なく楽です。ただし落石・滑落・数多の沢を横切るための道迷いには十分に注意しましょう。遭難の要素が詰まったルートです。(このブログを元にして遭難しても、当ブログでは責任を負いかねます。自己責任でお願いします)


先ほどの写真を図解します。今回取ったルートは上記赤線の通りとなります。


地図で表すと上記の通りとなります。
灰色の線が夏道で、青い線が今回通った道になります。


沢の上部では斜度が急になるため、12本アイゼン・ピッケル・ヘルメットの3点装備が必須となります。


沢の上部を横からみたときはこんな感じです。斜度が急なことがわかるかと思います。


沢の上部では、最大で膝あたりまで埋もれるラッセルとなります。ただし、夏道を通っていたらこれくらいのラッセルでは済まなかったでしょう。

次ページでは、いよいよ稜線にたどり付きます。

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