「写真をRAW現像やレタッチしてsnsにアップしたり、プリントしたら思ったよりも明るかった/暗かった」などのように、レタッチの迷宮にはまる人は多いのではないかと思います。しかもPCモニタ上で見る写真の明るさは、モニタの明るさや部屋の明るさにも寄るためにコントロールしにくいです。
そこで、photoshopを使って、ヒストグラムを参考にしながら「レベル補正」機能を使うことで、写真を客観的に見て最適な明るさに調整することができます。
今回の記事では、ヒストグラムの見方、レベル補正の使い方や実例を紹介します。
目次
ヒストグラムとは
ヒストグラムとは、一言で言うと「写真の明るさの分布をグラフ化したもの」です。
ヒストグラムが全体に分布している写真は、最適な明るさとなります。ヒストグラムが左に寄っているほど標準よりも暗い写真となり、右に寄っているほど明るい写真となります。ヒストグラムが中央に寄っていると、コントラストの低い、いわゆる眠い写真となります。
ヒストグラムの分布と写真の見え方との関係については、本記事の「レベル補正の実例紹介」の項で紹介します。
レベル補正とは
レベル補正とは、一言でいうと「ヒストグラムを最適にすることで、明るさを最適にすることができる機能」です。よって、明るすぎる写真や、暗すぎる写真を最適な明るさにすることができます。また、コントラストの低い(=写真全体で明暗差の少ない)写真については、最適なコントラストにすることができます。
レベル補正機能の呼び出し方
以下に、photoshopでレベル補正機能を呼び出す方法を紹介します。
(1)まず、photoshopで写真を読み込みます
(2)次に「色調補正」ウィンドウから「レベル補正」をクリックし、レベル補正レイヤーを追加します
(3)プロパティ画面に表示された「レベル補正」画面の△を移動し、写真の明るさを調整します。この△を具体的にどのように移動すればいいかについては、次の「レベル補正の実例紹介」の項で紹介します。
レベル補正の実例紹介
以下に、レベル補正の実例を紹介します。
暗い写真
以下は、夕暮れの甲斐駒ヶ岳とテントを撮影した作例です。
一見しただけでは上の写真の明るさには問題がないようにも見えます。ここで、上の写真のヒストグラムを以下に示します。ヒストグラムが全体的に左に寄っており、実は暗すぎる写真であることがわかります。この写真をこのままプリントしてしまうと、暗すぎる失敗プリントになってしまいます。
そこで、レベル補正機能を使って、右の△ボタンをヒストグラムの右端まで移動します。
レベル補正前の写真を以下左に、補正後の写真を以下右に示します。写真の暗い部分が最適な明るさになり、最適化されたことが分かります。
レベル補正後のヒストグラムを以下に示します。グラフが全体に分布していることがわかります。
明るい写真
以下は、積雪期の鹿島槍ヶ岳を撮影した作例です。
一見しただけでは上の写真の明るさには問題がないようにも見えます。ここで、上の写真のヒストグラムを以下に示します。ヒストグラムが全体的に右に寄っており、実は明るすぎる写真であることがわかります。この写真をこのままプリントしてしまうと、明るすぎる失敗プリントになってしまいます。
そこで、レベル補正機能を使って、左の△ボタンをヒストグラムの左端まで移動します。
レベル補正前の写真を以下左に、補正後の写真を以下右に示します。写真の明るい部分が普通の明るさになり、最適化されたことが分かります。
レベル補正後のヒストグラムを以下に示します。グラフが全体に分布していることがわかります。
コントラストの低い写真
以下は、積雪期の浅間山を撮影した作例です。
一見しただけでは上の写真の明るさには問題がないようにも見えます。ここで、上の写真のヒストグラムを以下に示します。ヒストグラムが中央に寄っており、実はコントラストの低い写真であることがわかります。
そこで、レベル補正機能を使って、両端の△ボタンをヒストグラムの両端まで移動します。
レベル補正前の写真を以下左に、補正後の写真を以下右に示します。写真の明暗差がはっきりとしたことがわかるかと思います。
ただし、今回の場合には賛否両論が分かれるかもしれません。コントラストが低い写真には独特の良さがあるからです。この場合には「レベル補正の△の移動量を少なくする」か「レベル補正を適用した後に、目的の場所だけにマスクを欠けてトーンカーブを調整し、コントラストを下げる」と良いです。
レベル補正後のヒストグラムを以下に示します。グラフが全体に分布していることがわかります。
(番外編)夜景
以下は、北岳山荘から撮影した夜景です。
一見しただけで上の写真は暗すぎることが分かるかと思います。実際に、ヒストグラムも以下のように大きく左に寄っています。
そこで、レベル補正機能を使って調整をするのですが、夜景の際には注意が必要です。というのも、レベル補正の右の△をヒストグラムの右端まで持ってきてしまうと、まるで昼間のようなおかしな写真となってしまうからです。そこで、ヒストグラムを見ながら「ヒストグラムの頂点が左から4分の1」程度になるようにレベル補正を調整します。
レベル補正前の写真を以下左に、補正後の写真を以下右に示します。補正後の写真では、夜の暗さを保ちながらも、自然な明るさに補正できていることがわかるかと思います。
補足
今回の記事では、最後の夜景の作例を除き、レベル補正の△をヒストグラムの両端に合わせました。しかし、実際には写真の出来栄えを見ながら△の位置を微調整することが多いです。この微調整については、キャリブレーションされたモニターを使って、標準的な室内光の明るさの室内でレタッチをすることが重要です。キャブレーションモニタについては以下の記事で紹介をしています。
今回のphotoshopを使ったレベル補正の方法記事については以上になります。