「天の川を写真にきれいに収めたい」と考える方は多いと思います。
しかし天の川の光はとても弱く、普通の星を撮るよりも難易度は高いです。天候条件が少しでも悪いとそもそも天の川を見ることはできません。また、天の川が肉眼で見えたとしても、使う道具や設定を間違えるとノイズの乗った汚い写真になったり、ピンボケした写真になってしまいます。天の川を撮影するためには「光害が少ない場所・天候条件の日、時間帯」に「大きなセンサーサイズを有したカメラ」と「F値の小さなレンズ」を使って「マニュアルで設定を追い込んで」撮影をすることが重要です。
今回の記事では、筆者が撮影した天の川の写真を交えながら、天の川撮影に適した機材、天候条件、設定方法を紹介します。
・天の川の撮影するためにカメラやレンズの購入を検討中の人
尚、筆者は以前「【星空・星景撮影】カメラ、設定方法、天候の紹介」という内容の記事を書いています。本記事は、上記記事の天の川版となります。
目次
撮影機材
まずは天の川撮影をする上で必要な道具を紹介します。ポイントは「弱い光をノイズ無く、ブレなく撮影できること」です。
カメラ本体
なるべくカメラ本体に内蔵されたセンサーのサイズが大きなカメラを選びましょう。センサーサイズは、最低でも(マイクロ)フォーサーズは欲しいところです。
なぜならば、センサーはレンズから受光した光を増感する役割を果たします。センサーサイズが大きい方が、弱い星の光を増感することができるからです。小さいセンサーだと、ノイズが多く発生してしまいます。
センサーのサイズは、フォーサーズ<APS-C<フルサイズ の順に大きくなります。
マイクロフォーサーズやAPS-Cセンサーを搭載した、登山向けオススメカメラ本体の記事は以下をご参照ください。
レンズ
レンズについては、F値と焦点距離の観点から選べばよいです。
F値
F値の小さなレンズを選びましょう。最低でもF2.8以下, 可能ならばF1.8以下が良いです。
なぜならば、F値の小さなレンズの方が光を取り込む能力に優れているからです。F値については以下記事をご参照ください。
焦点距離
焦点距離の小さなレンズ(=広角レンズ)を選びましょう。35mm判換算27mm以下が良いです。
理由は、焦点距離が大きいと地球の自転の影響を受けやすく、星が流れやすくなる為です。また、単純な星空写真ではなく、近景に山やテントを入れて撮影しやすくなる為です。(いわゆる星景写真)
焦点距離については以下記事をご参照ください。
「小さなF値」「小さな焦点距離」を兼ね備えた天の川撮影用のオススメレンズについては、以下記事をご参照ください。
三脚
パイプ径が最低でも22cmある、剛性の高い三脚を選びましょう。素材としては、軽さと剛性を両立したカーボン製のものがおすすめです。
三脚の選び方については、以下記事をご覧ください。
レリーズシャッター
可能であれば、レリーズシャッターを用意しましょう。
理由は、シャッターを押す瞬間に写真がブレてしまう為です。レリーズシャッターがなくてもカメラ設定のセルフタイマーで代用することも可能です。ただし、この場合にはセルフタイマーの明かりで他の撮影者の邪魔にならないように注意しましょう。(明かりが出る部分をパーマセルテープで隠すなど)
光害カットフィルター
必須ではありませんが、可能であれば光害カットフィルターを用意しましょう。
天の川撮影では、肉眼では見えなくても麓の街明かりが写真内に入ってしまいます。様々なメーカーから光害フィルターが発売されていますが、筆者はマルミ製の「StarScape」をおすすめします。
尚、これらの機材を安く購入する方法を、以下記事にて紹介しています。
次ページは、天の川を撮影できる季節や天候条件について紹介します。