ミラーレスカメラとは?構造と特徴を紹介

10年ほど前から耳にするようになった「ミラーレスカメラ」とは何でしょうか。これは、一眼レフカメラからミラーという鏡の部品を無くすことで「軽量コンパクト化」したカメラのことです。鏡(ミラー)が無くなる(レス)のでミラーレスカメラという名称が付いています。また、レンズの設計自由度が上がることで「レンズの高画質化・軽量化をしやすい」というメリットもあります。今回の記事では、一眼レフとミラーレスカメラの構造の違いや、ミラーレスカメラの特徴を紹介します。

尚、おすすめミラーレスカメラキットについては以下記事をご覧ください。登山向けに書いていますが、一般的な用途にも参考となる内容になっています。

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一眼レフカメラとミラーレスカメラの違い

外観と重さ

ニコンから発売されている一眼カメラD850と、同ミラーレスカメラZ 7Ⅱの一部スペックを抜き出したものを表1に示します。



表1 D850とZ7Ⅱとの比較

型番D850Z7Ⅱ
構造一眼レフミラーレス
センサーサイズフルサイズフルサイズ
有効画素数4575万4575万
重さ1005g705g

これらのカメラではセンサーサイズや画素数といったスペックは同等な一方で、前者の方が大きな見た目をしています。違いは重さにも表れていて、前者の重さは1005g、後者は705 gとなっており、300gもの差があります。さらに、後述する理由によってミラーレスカメラの方がレンズを計量化しやすいので、その差はさらに大きくなります。ミラーレスカメラはその特徴のため持ち運びが楽になるので、特に登山など荷物を制限される用途ではその恩恵を受けやすくなります。

構造

前述した重さの違いはどこから来ているのか、構造を見てみましょう。図1-1は一眼レフカメラを横から見た場合の断面図です。レンズからカメラ内に入射した光はミラーによって反射され、プリズムとファインダーを通して撮影者の目に入ります。

図1-1 一眼レフカメラの側断面図(ミラーが下りている状態)

撮影者がシャッターボタンを押すと、図1-2のようにミラーが上に持ちあがることで、イメージセンサーに光が入り電気信号に変換されることで写真が撮影されます。

図1-2 一眼レフカメラの側断面図(ミラーが上がっている状態)

一方、ミラーレスカメラの構造はどのようになっているのでしょうか。図2はミラーレスについての同様の断面図です。イメージセンサーに入った光は電気信号に変換されてファインダーに投影され、撮影者の目に入ります。シャッタ―を押すと、センサーに入った光が別の電気信号に変換されることで写真が撮影されます。

図2 ミラーレスカメラの側断面図

ミラーレスではミラーだけではなく、「ミラーを収めておく筐体部分(フランジバック)」や「プリズム」を省くことができるため、軽量コンパクトになります。

ミラーレスのメリット

ミラーレスカメラの軽量コンパクト以外のメリットを以下に紹介します。

レンズの高画質化

ミラーレスカメラでは、ミラーが無くなることによって、レンズとセンサーとの距離の制約がなくなります。このことによって、レンズを高画質化・軽量化しやすいという特徴が生まれます。例えば、ニコンやキヤノンは近年、一眼レフ用のレンズをミラーレス用に再設計して発売しており、その重量は数百g程度軽くなっていることが多いです。

シャッターショックが無いのでブレない

一眼レフカメラの場合、シャッター速度によっては、シャッターを上げる際の振動を拾ってしまって写真がブレてしまう(シャッターショック)というデメリットがあります。ミラーの無いミラーレスカメラの場合には、構造上シャッターショックは起こらなくなります。

AF精度、シャッター速度は同程度。タイムラグもほとんどない

初期のミラーレスカメラには、オートフォーカス速度や精度が悪い、連射速度が遅い、覗いている像と実像との間にタイムラグが発生する、といったデメリットがありました。最近の技術革新により、この部分における一眼レフとミラーレスカメラの違いはほとんどなくなってきました。

ミラーレスのデメリット

ミラーレスカメラのデメリットを紹介します。

歴史が浅いので中古価格が安くなりにくい

ミラーレスカメラは、メーカーにもよりますが10年程度の歴史しかありません。よって、レンズの中古価格があまり安くならないというデメリットがあります。何十年もの歴史がある一眼レフカメラの場合、レンズによっては中古で1万円程度で買えるものもあります。

メーカーによってはレンズのラインナップが少ない

メーカーによってはミラーレスカメラ開発の歴史が浅いため、レンズのラインナップが少ない場合があります。

ソニー、富士フイルム、OMデジタルソリューションズ(旧オリンパス)とパナソニック等が協業するマイクロフォーサーズについては10年程度の歴史があるためレンズのラインナップは多いです。一方、ニコンやキヤノンは2018年からミラーレスカメラを開発し始めた新興メーカーになるので、比較的レンズの本数は少なくなります。(説明を分かりやすくするため、一部のメーカーについては今回の説明から除外しています)



表2 各メーカーの純正レンズの本数

メーカーミラーレス
参入年
純正レンズの本数
(2023年1月現在)
ソニー
(Eマウント)
2010年70本※
富士フイルム2011年37本
マイクロ
フォーサーズ
2008年89本
ニコン2018年28本
キヤノン
(RFマウント)
2018年31本

※ タムロンやシグマ製の他社レンズも多くラインナップされている

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電池の持ちがやや悪い

ミラーレスカメラでは、ファインダーに電子像を写すという構造上、電子像を作るために(一眼レフカメラに比べると)電池を消耗しやすいというデメリットがあります。ただし、通常は数百枚撮影しないと電池が0にはならないため、そこまで心配する必要はありません。多く撮影する場合には予備バッテリーやモバイルバッテリーを用いると良いでしょう。

ファインダーが人工画像になる

ミラーレスカメラの場合、その原理上、ファインダーで覗くことができるのは人工像になります。しかし、これについては実際に撮影されるデジタル写真とほぼ同じものを見ている、と言い換えることもできるので、一概にデメリットというわけではありません。

まとめ

軽量コンパクトの特徴を持ったミラーレスカメラは、登山などの用途にも最適です。ミラーレスカメラ入門としておすすめしたいレンズキットを下記記事にて紹介していますので、合わせてご覧ください。今回の記事は以上になります。

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