ナイトハイクをすると「人気(にんき)の山でも人気(ひとけ)を避けて登ることができる」「刻一刻と変わる空の景色を楽しむことができる」などのメリットがあります。しかし、ナイトハイクには危険が付きものです。障害物による転倒滑落、道迷い、低体温症のリスクなどです。そこで「ヘッドランプ、ストック、GPSを持つ」「難易度の高い場所は避ける」ことで、これらのリスクを最小限に減らすことができます。今回の記事では、ナイトハイクを安全に楽しむ方法をご紹介します。
特に、登山初心者の方がいきなり本記事の内容を実践しようとするととても危ないです。本記事は、ある程度登山に慣れ親しんだ人向けの記事となっております。
目次
ナイトハイクしてよかった山行
筆者がナイトハイクしてよかった山行を、2つ紹介します。
紅葉の巻機山
下記写真は、紅葉の最盛期に巻機山に登頂した際の写真です。この時期の巻機山には数百人が入山しますが、この際は朝3時から登り始めたおかげで往路ではほとんど誰とも会わず、静かな山を楽しむことができました。
未明の仙丈ケ岳
例えば、日の出前に出発することで、刻一刻と変わる空の色の変化を楽しむことができます。下記写真は、未明から仙丈ケ岳に登った際の記録です。序盤は満点の星空を、中盤はマジックアワーに染まる空を、そして最後には朝日に染まる仙丈ケ岳を楽しむことができました。
ナイトハイクを安全に楽しむ方法(道具編)
それでは、以下にナイトハイクを安全に楽しむ方法を記載していきます。まずは道具編です。
明るいヘッドランプ
明るいヘッドランプを装備しましょう。
ナイトハイク中は足元の段差に躓きやすかったり、進むべき道を間違えて道迷いをする可能性があります。明るいヘッドランプを装備していれば、このようなリスクを最小限にすることができます。ヘッドランプの明るさはルーメンという単位で表されます。300ルーメン以上の明るいヘッドランプであれば足元を十分に視認できます。また、ヘッドランプの故障や電池切れに備え、予備のヘッドランプを持っていると好ましいです。突然の電池切れや機器の故障は十分に考えられます。あくまでも予備なので、少しくらいは暗いものでも問題ありません。
ダブルストック
両手にトレッキングポールを持ちましょう。
ナイトハイク中は足元の段差に躓き転倒しやすいです。いくらヘッドライトを付けているといっても、足元は見えず以来ものです。このような場合でも両手にトレッキングポールを持っていれば踏ん張ることができ、転倒のリスクが下がります。
GPS付スマホアプリ
GPS付スマホアプリを使いましょう。
ナイトハイク中には登山道が見えにくく、道迷いによる遭難のリスクがあります。GPS付スマホアプリを使い適宜現在地を確認することで、道迷いを防ぐことができます。尚、スマホを落下させてしまうとその瞬間に迷子になります。スマホの落下を防ぐためにスマホにはカラビナ付きストラップを付けましょう。
防寒着
防寒着として、ダウンジャケットや手袋を着用しましょう。ダウンジャケットは、厚くなったときにザックにしまえるよう、コンパクトにたためる登山用のものが良いです。特に日の出前の時間帯は、一日の中で最も寒い時間帯です。真夏の8月でも、3,000m峰の未明には気温は10℃未満まで低下します。
ナイトハイクを安全に楽しむ方法(行動編)
ナイトハイクでは危険度が増します。以下にナイトハイクを安全に楽しむ方法(行動編)をご紹介します。
悪天候時のナイトハイクは控えよう
悪天候時にはナイトハイクを控えるようにしましょう。
雨が降っていれば、夜間の寒いと相まって低体温症になるリスクが高くなります。ガスが出ていれば、夜間の暗さと相まって道迷いや転倒・滑落のリスクが高まります。風が強ければ、やはり足を引っ掛け転倒・滑落のリスクが高まります。
昼間に登山道を下見しておこう
可能であれば、昼間に下見をしておきましょう。そうすることで、あらかじめ危険ポイントや登山道の特徴、チェックポイントなどを把握しておくことができます。どうしても下見が難しいときにには、ヤマレコなどで登山道の状況を下調べしておきましょう。
技術的難易度の高い道は避けよう
ナイトハイク時には、鎖場、岩登り、ガレ場のトラバースなど技術的難易度の高いルートは避けるようにしましょう。
熊の多い山域では気を付けよう
明け方前後には熊の活動が活発になります。熊鈴を付けましょう。また、北海道本島など特に熊の多い山域では、ナイトハイクを控えましょう。
ナイトハイクイベントの紹介
ナイトハイクの公式イベントを利用すると、安全度が増します。以下に数例をご紹介します。
男体山
毎年7月末から8月上旬までの1週間の間に行われる、男体山登拝大祭です。
男体山は二荒山神社が管理する神聖な山で、限られた時間帯にしか登ることができません。しかし男体山登拝大祭の期間中には夜間に登山道が解放され、多くの登山者と男体山の頂上へと登ることができます。
富士山
7月上旬から8月下旬の富士山山開き期間です。富士山には複数の登山口がありますが、特に吉田口には山小屋が多いため多くの登山者で賑わいます。
mont-bell(モンベル)
モンベルの公式イベントでは、様々な山へのナイトハイクが有料で企画されています。
さて、今回の記事「安全なナイトハイクの楽しみ方」如何でしたでしょうか。登山では安全に帰ってくることが最低条件です。
今回の記事は以上となります。