登山用トレッキングポールの選び方と、オススメ品の紹介

登山中にトレッキングポールを使うと、疲労軽減、転倒防止など様々なメリットがあります。トレッキングポールの役割は、主に以下の4点です。

トレッキングポールの役割
・上り→推進力を手で補う
・下り→膝に掛かる負荷の軽減
・ガレ場など不安定な場所→3点支持による安定化
(ただし、鎖場や岩登りではトレッキングポールは使わない方がよい)
・テント泊の場合→転倒防止

各社から様々なトレッキングポールが発売されています。何を基準にトレッキングポールを買えばいいか、最初は分かりにくいです。「最初の1本をなんとなく購入したが、やはり不便だったため買いなおした」という人はとても多いです。結論から言うと、「I型の持ち手」「アンチショック有」「長さ調整可能」「ワンタッチロック式」のトレッキングポールを2本用意するのが良いです。理由は以下の通りです。

トレッキングポールの選び方と理由
・I型→登山用の形のため
・アンチショック有→肘(膝ではない)の負担軽減
・長さ調整可能→登りと下りで最適な長さが異なるため
・ワンタッチロック式→トラブルが起こりにくく、グローブを付けていても簡単に長さ調整できるため

また、素材については、テント泊がメインであればアルミ製が、日帰りがメインであればカーボン製が良いです。理由は、カーボンは軽い代わりに、荷物が重いと瞬間的に衝撃を受けて急に折れてしまうことがあるからです。アルミはカーボンの次に軽く、衝撃に強いです。

今回の記事では、トレッキングポールの選び方と、おすすめしたいトレッキングポールを紹介します。

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トレッキングポールの選び方

持ち手(I型 vs T型)

トレッキングポールの持ち手には、I型とT型とがあります。登山用途にはI型が良いです。

I型は上り下りの多い登山用途、T型は起伏の少ないトレッキング用途です。尚、I型ではトレッキングポールを2本用意し、左右の手で1本ずつ持って使います。

I型のポール


T型のポール


素材(アルミ vs カーボン)

トレッキングポールの素材には、アルミとカーボンとがあります。日帰りがメインであればカーボン製が、テント泊がメインであればアルミ製が良いです。

カーボンは、トレッキングポールに使われている素材としては、最軽量を誇ります。アルミよりも50gほど軽くなるので、その分腕の負担が減ります。その代わりにカーボンは衝撃に弱いです。10kg以上もあるザックを背負って歩くと、瞬間的にトレッキングポールに全体重が掛かることがあります。これを繰り返すと、山中でいきなりトレッキングポールが折れてしまうことがあります。一方、アルミはカーボンより重い代わりに衝撃には強く、いきなり折れてしまうことはまずありません。

厳冬期、2泊3日登山の中日に折れた筆者のカーボン製のトレッキングポール。
折れたのが手元側に近い箇所だったので応急処置できたが、先端部が折れていたらポール1本で下山することになっていた。


アンチショック機構の有無

アンチショック機構が付いたトレッキングポールが良いです。

アンチショック機構とは、ポールに内蔵されたバネやゴムによって、ポールを地面に突いたときの肘への衝撃を和らげるシステムのことです。登山では何百回もポールを付くので、1回あたりの衝撃は大したことはなくても、トータルで考えればその負担は大きいです。また、アンチショック機構がある方が、勢いを殺さずにポールを地面に突けるので、スピードハイクや長距離の縦走に適しています。

アンチショック機構を搭載しているメーカーは2社ほどしかありません。本記事の最後で紹介します。

長さ調整機能

長さ調整機能の付いたトレッキングポールが良いです。

理由は、登りと下りとでトレッキングポールの最適長さが変わるためです。登りでは短めに、下りでは長めに調整します。一部のトレッキングポールでは、長さが一定になっているものも存在します。

最大長さ

トレッキングポールによって、最大長さが異なります。自身の身長にあった最大長さのトレッキングポールを購入するようにしましょう。

110cmまでしか伸ばせないものもあれば、140cmまで伸ばせるものもあります。必要となるトレッキングポールの最大長さは、登山者の身長によって異なります。身長180cmの筆者は、下りではトレッキングポールを最大130cmまで伸ばします。これを1つの目安とすればよいでしょう。つまり、身長160cmの人であればトレッキングポールは110cmあれば十分で、逆に身長190cmの人であれば、トレッキングポールは140cm必要という計算になります。(正確には座高の情報も必要ですが、この点については割愛します)

トレッキングポールには長さの目盛りが付いている。
このトレッキングポールの場合、最大135cmまで伸ばせることを意味する。

ロック方式

ロック方式がワンタッチ式のトレッキングポールが良いです。

ロック方式には主に2種類あります。1種類目はスクリュー方式です。スクリュー方式では、ポール自体を回すことで、ポールの長さを固定(ロック)します。ただし、メーカーによってはポールの回し方が足りないと固定強度が不十分で、ポールを付いた瞬間に長さが短くなって危ないです。逆に回しすぎると固定が強くなりすぎてしまい、長い状態から元に戻せなくなります。また、厚手のグローブを付けたままだと滑ってしまい、ロックすることが難しいです。よって、スクリュー方式はあまりオススメしません。

スクリュー方式のトレッキングポールでは、ポール自体を回して長さを固定(ロック)する

2種類目はワンタッチ方式です。ワンタッチ方式では、レバーを倒すだけで素早く確実にロックできます。ワンタッチ方式では、スクリュー方式と比べてロックのし過ぎや不足に起因するトラブルは起こりにくいです。厚手のグローブを付けたままでもロックが可能です。個人的には、ワンタッチ方式をオススメします。

ワンタッチ方式のトレッキングポールでは、レバーを倒すだけで簡単に長さを固定(ロック)できる。
左がロック前、右がロック後。

注意点。ゴムキャップを付けよう

トレッキングポールを使用する際には、先端のゴムキャップを付けたまま使いましょう。

キャップを外してしまうとジェラルミンが露出し、登山道を100倍の速さで痛めてしまいます。登山道によっては、「ゴムキャップのない人はこの山小屋で購入してから先に進むこと」などの注意書きがされているところもあります。基本的に、ゴムキャップを外すのは雪山だけです。稀にゴムキャップを外した登山者が多い山域に遭遇しますが、これは間違っています。

ゴムキャップを無くしてしまった場合には、購入するようにしましょう。純正のゴムキャップを買えれば一番ですが、買えない場合にはシナノ製のキャップをおすすめします。なぜならば底が厚くできていて壊れにくい(貫通しにくい)ことと、リングが付いていて意図せず外れにくいからです。その他の格安のゴムキャップは壊れやすく、外れやすいものが多いです。

おすすめトレッキングポールの紹介

アンチショック機構を搭載したトレッキングポールは、筆者が把握している限りではmont-bellLekiの2社からしか発売されていません。mont-bellとLekiとではアンチショックの機構が異なります。mont-bellでは持ち手の部分についたバネで、Lekiでは先端部分のゴムで衝撃を吸収します。mont-bellの方が大きな衝撃を吸収してくれる分、可動域が広いためポールをついたときの感触が不自然になります。Lekiでは小さな衝撃しか吸収はしてくれませんが、可動域が小さい分、ポールを付いたときの感触が自然になります。

トレッキングポールを勢いよく付く人はmont-bellを、そうではない人はLekiを使うのが良いでしょう。

Lekiのトレッキングポールのうち、モデル名にASと付いているものには、写真赤丸のように先端部にゴム製のクッションが付いている。


カーボン製

カーボン製のおすすめトレッキングポールを以下に紹介します。

mont-bell製

mont-bellのアルパイン カーボンポール カムロック アンチショックをオススメします。素材はカーボン製となっており、ワンタッチでロック可能です。持ち手の部分にバネのアンチショック機構が付いています。最大長さは130cmで、重量は1本あたり218gです。

最大長さが120cm、重量が210gになった アルパイン カーボンポール カムロック アンチショック Sも存在します。低身長の方におすすめできます。

Leki製

Lekiのカーボン製のアンチショック機構が付いたポールとしては、マイクロバリオカーボンASシリーズがあります。しかし、その重量は1本あたり253gとなっており、後述するアルミ製よりも重量が重くなっています。重量の観点からはあまり積極的にこちらを選ぶ理由はないように感じています。

アルミ製

アルミ製のおすすめトレッキングポールを以下に紹介します。

mont-bell製

mont-bellのアルパインポール カムロック アンチショックをオススメします。素材はアルミ製となっており、ワンタッチでロック可能です。持ち手の部分にバネのアンチショック機構が付いています。最大長さは130cmで、重量は1本あたり260gです。

最大長さが120cm、重量が245gになった アルパインポール カムロック アンチショック Sも存在します。低身長の方におすすめできます。

Leki製

LekiのレガシーライトASをオススメします。

素材はアルミ製となっており、ワンタッチでロック可能です。先端部分にゴムのアンチショック機構が付いています。最大長さは130cmで、重量は1本あたり230gです。


女性用のクレシダASというモデルも存在します。最大長さは120cmで、重量が226gです。



今回の記事は以上になります。

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