厳冬期・日帰り雪山登山装備の紹介【これだけあれば大丈夫】

夏山登山に慣れてきた人の中には、雪山に登りたいと考える人もいるでしょう。しかし、雪山登山には安全を守るために特殊な装備が必要です。しかも、装備の種類が多いため、何を揃えていいのかが分かりにくいです。装備品が不足すると滑落、凍傷の恐れがありとても危険です。そこで今回の記事では、日帰り雪山山行に必要となる装備を紹介します。


表 厳冬期・日帰り雪山山行に必要な装備一式(カッコ内は必ずしも必須ではない)

ギア系ウェア系
厳冬期用登山靴保温性のインナーウェア上下
アイゼンフリース
(軽アイゼン or チェーンスパイク)パンツ
アルパインゲイター、スパッツハードシェルジャケット or レインジャケット
ストックとスノーバスケットハードシェルパンツ or レインパンツ
(ピッケル)厳冬期用ソックス
(カラビナとスリング)アウターグローブ
(ヘルメット)インナーグローブ
ゴーグルダウンジャケット
サングラスネックウォーマー、バラクラバ、ニット帽

ギア

まずはギアの紹介です。

厳冬期用登山靴

耐寒性のある厳冬期用登山靴(アルパインブーツ)です。

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厳冬期用登山靴の役割は「足を寒さから保護する」「アイゼンを靴に留める」の2つです。厳冬期用登山靴の前後には、アイゼンを止めるためのコバと呼ばれる部品が付いています。靴によってはコバが後にしかついていないものもあります。後にしかコバが付いていないタイプの登山靴の中には、防寒性が低く冬山では使えないものもありますので注意しましょう。

尚、夏山用の登山靴を履いて厳冬期の雪山に出かけるのは絶対にやめましょう。凍傷になって足の指を失いかねません。

赤丸で囲った箇所が、登山靴後ろのコバ。ここにアイゼンを引っ掛けて装着する。


赤丸で囲った箇所が、登山靴前のコバ。ここにアイゼンを引っ掛けて装着する。雪山用登山靴でも、前のコバは無い場合もある。


アイゼン

10本爪以上の、できれば12本のアイゼンです。

アイゼンは、雪面を歩くのに使います。爪の本数は、最低でも10本、できれば12本が望ましいです。爪が2本違うだけで、雪面でも制動力に違いが出てきます。アイゼンの構造には、靴への留め方によって「バンド式」「セミワンタッチ式」「ワンタッチ式」の3種類があります。厳冬期にはバンド式を使うことはあまりないでしょう。前述の登山靴のコバが後にしかついていないタイプの場合には「セミワンタッチ式」を、コバが前後についている場合には「ワンタッチ式」を購入しましょう。

アイゼンの材質には、「ステンレス」と「クロモリ(クロムモリブデン)」の2種類があります。ステンレスには錆びない、刃先が丸まりにくいなどのメリットがある代わりに、いざ丸まってしまった場合にヤスリで研ぎにくいというデメリットがあります。クロモリにはヤスリで研ぎやすいというメリットがある代わりに、水を付けたまま放置しておくと錆びやすいというデメリットがあります。

アイゼンメーカーとしては、グリベルやペツルが有名どころです。この2社のものを選んでおけば間違いないでしょう。ダークホースとしては、クライミングテクノロジー社のアイゼンもオススメです。実売価格が¥20,000を超えるアイゼンの多い中、クライミングテクノロジーのアイゼンは¥20,000を下回り、しかも普通は付いてこない収納ケースまで付いてきます。

軽アイゼンやチェーンスパイク

軽アイゼンやチェーンスパイクがあるとよいです。必須ではないです。

軽アイゼンを持っていく理由は、序盤の登山道では積雪量が少なくアスファルトや土が露出している場合があることです。
このような場合に10本爪以上のアイゼンを履いてしまうと、アイゼンの歯を引っ掛けて転倒したり、アイゼンの歯先を丸めてしまう恐れがあります。

12本爪アイゼンや軽アイゼン、そしてここでは紹介していないワカンの使い分けについては、以下記事をご覧ください。

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アルパインゲイター(スパッツ)

アルパインゲイター(スパッツ)です。

アルパインゲイターの役割は、「靴の中に雪が入ることを防止する」「アイゼンが靴を破くのを防止する」の2つです。当然、夏用のゲイターは雪山では使用できません。夏山用のゲイターは高さが低く、素材が薄いため、上記2つの役割を果たしません。つまりゲイターを付けていないのと同じです。

アルパインゲイターとしては、アウトドアリサーチのクロコダイルゲイターが有名です。筆者も愛用しています。ゲイターにはアイゼンの鋭い爪が引っかかるため、やわなものをつかってしまうとすぐに穴が空いてしまいます。クロコダイルゲイターは強度に定評があります。さらに、ゴアテックスでできているため足が蒸れにくいです。

ストック(トレッキングポール)とスノーバスケット

スノーバスケットを付けたストック(トレッキングポール)です。

雪山では浮力を稼ぐために、先端にスノーバスケットという面積の広い部品を付けたストックを両手に持ちます。たとえ荷物が軽量だったとしても必要です。ストックは、ワンタッチ式で長さを調整できるものが好ましいです。これは、アウターグローブを付けていても長さ調節をしやすいためです。ネジ式の場合、アウターグローブを外さなければ長さ調節ができません。厳冬期の氷点下の気温で、アウターグローブを外すのはなるべく避けたいところです。

ストックメーカーとしてはLEKIが最高級です。…が、どのメーカーを選んでも、最低限の役割は果たしてくれるでしょう。ストックとスノーバスケットのメーカーは揃えましょう。メーカーが異なっている場合、スノーバスケットをうまく固定できず、行動中にスノーバスケットが外れてしまう可能性が大きいです。

ワンタッチ式のおすすめトレッキングポールについては、以下記事をご覧ください。

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ピッケル

森林限界より上の急斜面や痩せ尾根を通る際には、滑落防止のためにストックの代わりにピッケルを手に持ちます。入門向けの雪山ではピッケルは必要ありません。

ピッケルには長さの選択肢があります。滑落防止のために使う分には、長さはそこまで関係ありません。ピッケルをストックの代用として使うぶんには、ピッケルを手で持って腕をぶら下げたときに、石付の部分が踝(くるぶし)付近に来る長さが使いやすいとされています。

まず、ピッケルのブレードの部分を人差し指と中指で握ります。
次に、腕をぶら下げます。
このときに、赤丸で囲ったようにピッケル先端(石付)が踝に来る長さのピッケルは、ストックの代用として使いやすいです。

できれば、ピッケルは柄が曲がっていて尚且つ先端に滑り止めのゴムがついているものが望ましいです。理由は、柄が曲がっていると滑落時にピックを雪面に刺しやすくなるためです。また、滑り止めのゴムがついていると、岩場を登る際に柄先の部分を持ってピックを岩に差し込んで登りやすくなる為です。ピッケルメーカーとしては、アイゼン同様にグリベルやペツルが有名どころです。

ピッケルを持ち運ぶときには、必ず保護パーツで鋭利な部分を保護するようにしましょう。ピッケルが周囲の人に刺さりとても危険です。

ピッケルの選び方については、以下記事をご覧ください。

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カラビナとスリング

ピッケルを手から離しても落下させないように、カラビナスリングを使ってピッケルを体に固定します。

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カラビナやスリングにはサイズが何種類かあります。カラビナは長手方向の耐強度が20kN以上のもの、スリングは120cmのものがちょうどよいです。

カラビナとスリングを使い、ピッケルを体に固定した図。
不意にピッケルを手から離しても、ピッケルを無くすことはない。


ヘルメット

ピッケルが必要な場面では、ヘルメットも装備します。

仮に滑落してピッケルでの制動に失敗した場合、体が斜面に強く打ち付けられることになります。この場合に、頭を保護するためにヘルメットが必要になります。

ゴーグル

寒い風や強い紫外線から目を守るために、ゴーグルを装備します。登山用のゴーグルというものはないので、スキー・スノボ用のもので構いません。

サングラス

微風のときには、ゴーグルよりもサングラスの方が使いやすいです。尚、ゴーグルやサングラスを付けずに長時間雪山を歩くと、雪目という症状になり、最悪の場合目を開けられなくなります。雪目になれば、もちろん遭難です。

個人的には、性能が高く比較的安い(コスパの良い)swans製のサングラスをオススメします。swans製サングラスの選び方については、以下記事をご覧ください。

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ギアの紹介は以上です。次ページはウェアの紹介です。

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