12本アイゼンとダブルストックで登れる雪山に慣れてきたら、次は1段階レベルを上げて「ピッケルを使う雪山」に挑戦してみるのも良いでしょう。
今回の記事では、ピッケルの練習にオススメしたい雪山を7座紹介します。
・ピッケルを使う際には、12本アイゼンとヘルメットを含めた本格雪山装備一式が必要になります。
・ピッケルが必要な登山をする前に、より入門的な雪山で練習を積んでおきましょう。
・始めてピッケルを使う際には、経験者の人に同行してもらうか、事前に雪山講習でピッケルの使い方を習得しておきましょう。
・悪天候の場合には登山をあきらめましょう。ピッケルを使う場面は森林限界よりも上部のことが多く、悪天候の影響をもろに受けてしまうためです。
目次
オススメの山6選
天狗岳(八ヶ岳)
1座目は天狗岳(八ヶ岳)です。
渋の湯から入山し、黒百合ヒュッテを経由して天狗岳の山頂を目指します。黒百合ヒュッテを過ぎるとピッケルの出番がやってきます。天狗岳には西天狗岳と東天狗岳の二座がありますが、せっかくであれば両方に登頂するのが良いでしょう。西天狗岳~東天狗岳の間は展望が良いため、是非とも歩いておきたい稜線です。1座だけ登っても、2座の両方に登っても、難易度や所要時間はほとんど変わりありません。尚、黒百合ヒュッテは通年営業のため休憩することも可能です。
- 雪山として登山適期(目安)…12月下旬~4月下旬
- コースタイム…7時間半


火打山
2座目は火打山です。
笹ヶ峰から入山し、高谷池ヒュッテを経由し火打山山頂を目指します。途中までは12本アイゼンとダブルストックがあれば進めますが、火打山直下が急斜面となっているためここでピッケルを使います。火打山頂上からは、雪深い上州の山々や後立山連峰(北アルプス)、噴煙を上げる焼山を一望できます。日帰りでも登るもよし、高谷池ヒュッテに泊まって一泊二日で登るもよし、です。
尚、火打山に登るためには、道路が開通する4月中旬以降がオススメです。
- 雪山としての登山適期(目安)…4月中旬~5月下旬

先頭の3名はダブルストックですが、あまりオススメはしません。
ピッケルの方が断然登りやすいく、しかも安全です。

乗鞍岳
3座目は乗鞍岳です。
Mt.乗鞍スキー場のリフトを利用し、リフトの終点から登山を開始します。肩の小屋までは積雪状況により12本アイゼンかワカンを使い分けます。肩の小屋からは、ピッケルを使った登山となります。旭岳を経由し、乗鞍岳の頂上・剣ヶ峰を目指すことになります。剣ヶ峰頂上からは、大迫力の御嶽山を間近に眺めることができます。
尚、以下の記事では一泊二日で登っていますが、体力のある人であれば十分日帰りでの登頂が可能です。宿泊には位ヶ原山荘を利用すると良いでしょう。
- 雪山として登山適期(目安)…12月下旬~4月下旬
- コースタイム…8時間

シリセード用の板を持っている人もいますが、シリセードでの下山はオススメしません。
乗鞍岳はところどころアイスバーンになっており、速度をコントロールしにくいためです。
筆者は、厳冬期の乗鞍岳をシリセードで下って骨折した人を2人知っています。

上州武尊山
4座目は上州武尊山です。
川場スキー場を利用し、一気に森林限界よりも上部まで登ることができます。稜線上では、常に日光白根山や谷川岳といった上州の名山を一望することができます。登山道の途中にある剣ヶ峰山は細く鋭い雪稜となっており、この地点を通過するときにピッケルが必要となります。一見すると剣ヶ峰をトラバースして巻けそうな気もしますが、絶対にやめましょう。上部から雪が崩れてきて、滑落する可能性が大きいです。
- 雪山として登山適期(目安)…1月上旬~4月上旬
- コースタイム…5時間


仙ノ倉山
5座目は仙ノ倉山です。
登山口となる火打峠からは、冬季限定のヤカイ沢ルートを通り平標山を目指します。平標山に付くとピッケルの出番です。平標山~仙ノ倉山山頂間は稜線上となるため、ピッケルを使って進んでいきます。広大で美しい雪原登山を楽しむことができます。
- 雪山として登山適期(目安)…1月上旬~5月上旬
- コースタイム…8時間

天気さえよければなだらかな楽しい雪原ハイクとなる。
一方、ホワイトアウトするとすぐに方向を見失ってしまう。
この時は積雪条件がよかったためダブルストックで通過した。

守門岳
6座目は守門岳です。
守門岳は日本海に面しているため強風の影響を受けやすく、山頂には大きな雪庇ができます。これは日本一の雪庇と言われ、一見の価値があります。途中まではワカンやスノーシューを使い、角度が急になる山頂直下では12本アイゼンとピッケルを使って登っていきます。積雪期に守門岳を目指す上での注意点は、夏季駐車場まで車で入ることができないためコースタイムが長くなる点です。途中に小屋もありません。おそらくコースタイムは10時間を超えるでしょう。
- 雪山として登山適期(目安)…12月下旬~5月下旬
- コースタイム…不明


まとめ
雪山に徐々に慣れていくことで、技量は上がってきます。安全に気を付けて雪山を楽しんでいただければ幸いです。今回の記事は以上になります。
