「長期出張や規制時に、外出先からPCを使い自宅のデータを使って作業をしたい」場合があります。このようなときには、自宅にNASを構築することをお勧めします。こうすることによって、外出先からでも自宅のデータに自由にアクセス(読み書き)できるようになります。今回の記事では、NASの構築方法および、データのバックアップ方法を紹介します。
目次
NASとは
NASとはNetwork Attached Storageの頭文字をとったもので、日本語に訳すとネットワークに接続された記憶媒体という意味です。NASを使うことで、その名の通り、外出先からでもネットワークに接続されたHDDなどにデータを読み書きできるようになります。
用意するもの
NAS環境を構築するために、以下のものを用意します。
NAS
NAS本体を用意します。データ容量が10TB以上になるなど特殊な場合を除き、通常は1ドライブ入るタイプのNASを購入すれば十分です。筆者はSynology社のDJ120jを用意しました。
NAS対応の内臓HDD
NAS対応のHDDを用意します。NASは24時間駆動となるため、通常のHDDでは耐久性に難があるためです。筆者はSeagate社のNAS用HDDブランドであるIronWolfの6TBのものを購入しました。
外付けHDD
データバックアップ用に、外付けHDDを用意します。USB3.0以上の規格であれば転送速度に問題はありません。外付けHDDのデータ容量は、NAS内のHDDのデータ容量以上があればよいです。(「以上」なので、同じ容量でも構いません)。データのバックアップを取る必要がない場合には、外付けHDDを用意する必要はありません。
HUB
NASは無線に対応していないので、有線LANに接続する必要があります。壁にLANポートが1台分しかなく、デスクトップPCと競合する場合には、LANを分岐するためのHUBを用意しましょう。この際、Gigabit対応のものを用意すると速度が低下することがありません。
LANケーブル
HUBを使う場合には、LANケーブルを用意します。また、NASをLANポートから1m以上離れた場所に設置する場合には、長めのLANケーブルを用意します。(DS120jに付属しているLANケーブルの長さが1m程度しかないためです)。いずれの場合にもcat 5e以上の規格(cat5e, cat6, cat7など)であれば十分です。逆に光回線を使っていてcat 5以下の規格のケーブルを使ってしまうと、最高速度を出せなくなります。
セットアップ方法
NASのセットアップ方法を以下に紹介します。
組み立て・接続
DJ120jに付属の取り扱い説明書やリンクを参照し、NAS内にHDDを取り付け、NASを有線LANに接続し、最後にNASの電源をつけます。
なお、この作業においてHDDの取り付けやNAS本体を閉める際にはドライバーが必要となります。
初期設定(NAS本体)
PCでhttps://finds.synology.com/かhttps://synologynas:5000/にアクセスし、リンク先の案内に従いNASの初期設定を行います。

NASのネットワークドライブ化
このままでもNAS内のHDDにアクセスすることはできるのですが、毎回ブラウザからSynology DiskStation Manager (DSM)にアクセスしないとデータの読み書きができないため不便です。そこで、リンク先を参照し、NAS内のHDDをネットワークドライブ化します。これによって、Windowsのフォルダから直接データの読み書きをできるようになります。なお、このネットワークドライブ化作業は各パソコンにて実施する必要があります。(例:デスクトップPCとノートPCを使う場合、それぞれのPCにおいてネットワーク化作業が必要になる)

NAS内へのデータ移行
これまでPC内蔵の記憶媒体に保存していたデータを、NAS内のHDDに移行します。前述の手順においてネットワークドライブ化できている場合には、ドラック&ドロップすればよいです。なお、筆者が3TBのデータに対してこの作業を行った場合には一日弱かかりました。気長に待ちましょう。

外付けHDDへのバックアップ
まず、NASに外付けHDDをUSB接続します。

次に、リンク先の手順に従い、exFAT accessをダウンロード後、外付けHDDをexFAT形式でフォーマットします。これによってNAS本体が壊れても、外付けHDDをWindowsやMacといったPC本体に直につなげることで、データを回収できるようになります。
さらに、リンク先の手順に従い、NASから外付けHDDへのデータのバックアップを行います。

外付けHDDの確認
外付けHDDをNASから取り外し、パソコン本体に接続します。パソコンから外付けHDDのデータにアクセスできることを確認します。確認後、外付けHDDをNASに取り付けます。以上ですべての作業は完了です。
今回の記事は以上になります。