カメラやレンズを、カメラバッグに収納しっぱなしの人は多いのではないでしょうか。この状態だと、数年後にはカメラやレンズにカビが生えます。
カメラのセンサーにカビが生えるとその部分が写真で点や線になってしまいます。また、レンズにカビが生えると写真が全体的に曇ってしまいます。
カメラやレンズを分解清掃に出しても、一度生えてしまったカビを完全に除去することはできません。そこで、カメラやレンズにカビが生えないように防湿庫で保管することが肝心です。
とはいっても、世の中には多種多様な防湿庫が乱立しており、どれを選んだらいいか悩むかと思います。しかし、適当にメーカーを選ぶのは厳禁です。適当に選ぶと使いにくいばかりではなく、場合によってはレンズを落下させてしまい壊してしまうこともあるからです。
そこで今回の記事では、防湿庫の選び方と、おすすめ防湿庫メーカーを紹介します。
目次
選び方
以下に防湿庫の選び方を紹介します。
乾燥方式
乾燥方式には、ペルチェ素子と乾燥剤の2つがあります。
乾燥剤のメリットは耐久性に優れ電気代が安いこと、ペルチェ素子のメリットは値段が安いことです。
乾燥剤方式では、耐用年数が高く、また電気代が年間100円程度で済みます。理論上、乾燥剤はそれ自体が壊れることはないので、半永久的に持ちます。(よく勘違いされるのですが、乾燥剤方式では乾燥剤を取り換える必要はありません)
一方のペルチェ素子では、購入金額が安くなる代わりに、耐用年数が10年程度と短いです。また、電気代が年間1,000円程度かかります。
初期投資金額に余裕がある場合には、乾燥剤方式をオススメします。
円形マット
円形のマットが付いている防湿庫をオススメします。
理由は、防湿庫の中でレンズが転がらないからです。
通常の平たいマットを使っていると、レンズを取り出すときに他のレンズにぶつかって、レンズが手前に落下してくることがあります。
レンズを守るための防湿庫でレンズを壊してしまったら、それは本末転倒です。
庫内照明
庫内照明が付いているタイプが良いです。
防湿庫の中は暗くなるため、レンズを取り出す際にどれがどのレンズかが分かりにくいです。このような場合でも照明があれば見やすく困ることはありません。
コンセント
これは必須ではないのですが、庫内にコンセントが付いているタイプの防湿庫がオススメです。
理由は、防湿庫の中でカメラにUSBケーブルを繋いで充電できるからです。
「電池は専用の充電器を使って、防湿庫の外で充電するので関係ない!」と思う人も居るかと思います。
しかし、それは半分は正しくて、半分は間違いです。
というのも、カメラから電池を外したまま数日間放置すると、カメラの設定が初期化されてしまうからです。
防湿庫の外で充電した電池を、充電後にすぐにカメラに戻せるマメな人であれば、防湿庫内にコンセントが付いていなくても問題はないでしょう。
しかし、そのマメさに自信がないのであれば、コンセント付きの防湿庫を購入し、防湿庫の中でカメラにUSBケーブルを繋いで充電することをオススメします。
光触媒
これも必須ではないのですが、光触媒が付いているモデルが良いです。
光触媒は、カビ菌を分解・除去したり、埃の付着を低減する効果があります。
低湿度にするだけではカビ対策としては不十分です。
ただし、光触媒が付いていなかったとしても、別売りの防カビ剤を入れることで対策をすることが可能です。
湿度表示
湿度計が付属しているモデルが良いです。
というのも、湿度計が付属していれば、万が一コンセントが抜けていたり、扉が開いていたりした場合に湿度が下がっていないことに気が付けるからです。
ただし、今回紹介する防湿庫にはすべて湿度計が付いているため、この点についてはあまり気にする必要はありません。
容量
カメラとレンズの保有数で、防湿庫の容量が決まります。
以下に目安を示します。
- カメラとレンズが11台以下…防湿庫50L以下
- 同11~21台…同50~80L
- 同22~33台…100~120L
- 同30台以上…150L以上
今後、カメラやレンズが増えることを見越して、少し余裕のあるサイズの防湿庫を購入するのが良いでしょう。
オススメするメーカー・機種の特徴
今回紹介する防湿庫は、5メーカー6機種です。
これらの機種を松竹梅に分類したものを以下に示します。
(松が最高級、竹が普通、梅は安価を示す)
- 松…東洋リビング、トーリ・ハン(premium シリーズ)
- 竹…トーリ・ハン(ECシリーズ)、ハクバ
- 梅…HOKUTO、Re:Clean
それぞれの機種の特徴を、以下に解説します。
東洋リビング
オートクリーンドライでは、乾燥方式として電気代が安く耐久性に優れる乾燥剤方式を採用しています。
光触媒が付いているため、カビの菌を除去してくれます。
庫内に照明が付いているため、中のレンズを取り出しやすいです。
円形クッションが付いているため、庫内でレンズが動きにくいです。
オートクリーンドライでは、一部の大容量機種(Standardシリーズ、Wideシリーズ)を除いて、炉内にコンセントは付いていません。
【東洋リビング・オートドライの主な特徴】
光触媒…有、マット…円形、乾燥方式…乾燥剤、照明…有、コンセント…有 or 無、湿度計…有
トーリ・ハン
トーリ・ハンからは、大きく分けて2種類の防湿庫がラインナップされています。
premiumシリーズ(光触媒有り)
この機種は、東洋リビングのオートクリーンドライとほぼ同じ機能を有しています。唯一の違いは、庫内にもコンセントを有していることです。これによって、カメラを防湿庫に入れながらUSBケーブルにつないで充電をすることが可能になっています。
【トーリハン・premiumシリーズの主な特徴】
光触媒…有、マット…円形、乾燥方式…乾燥剤式、照明…有、コンセント…有(庫内&外)、湿度計…有
ECシリーズ(光触媒無し)
同じくトーリ・ハンのECシリーズです。
ECシリーズでは、premiumシリーズの廉価版の位置づけとなっており、照明、光触媒、コンセントといった機能が省かれています。その分価格も安くなっています。
【トーリハン・ECシリーズの主な特徴】
光触媒…無、マット…円形、乾燥方式…乾燥剤、照明…無、コンセント…無、湿度計…有
ハクバ
E-ドライボックスでは電気代と耐久性に優れる乾燥剤方式を採用しています。
その一方で、光触媒、照明、コンセントと言った機能は省略されており、最低限の機能に留まっています。
【ハクバ・E-ドライボックスの主な特徴】
光触媒…無、マット…平形、乾燥方式…乾燥剤式、照明…無、コンセント…無、湿度計…有
ホクト
ホクトの防湿庫です。
ホクトでは、乾燥方式として安価なペルチェ素子を採用しています。
また、光触媒やコンセントを採用しておらず、比較的シンプルな作りとなっています。
炉内照明があるためレンズを取り出しやすくなっている点はメリットとなります。
【ホクトの主な特徴】
光触媒…無、マット…平形、乾燥方式…ペルチェ素子、照明…有、コンセント…無、湿度計…有
Re:Clean
Re:Cleanの防湿庫です。
Re:Cleanでは、ホクトと同様に乾燥方式として安価なペルチェ素子を採用しています。
コンセントや炉内照明が省かれており、ホクトよりもさらにシンプルな構造となっています。ただし、この分今回紹介する防湿庫の中で、価格は最安値となっています。
マットについては、容量によって円形と平形とが分かれるようです。
【Re:Cleanの主な特徴】
光触媒…無、マット…平形 or 円形、乾燥方式…ペルチェ素子、照明…無、コンセント…無、湿度計…有
まとめ
金額に糸目をつけないのであれば、トーリ・ハンのpremiumシリーズをオススメします。防湿庫に求められる機能がすべてそろっています。
「防湿庫の心臓部である乾燥方式は乾燥剤方式がいいけれど、その他の機能は求めない」という場合には、ハクバをオススメします。
「購入費用をなるべく安く抑えたい」場合には、Re:Cleanをオススメします。
合わせて買いたい
防湿庫と合わせて準備したい品を、以下に紹介します。
防カビ剤
防カビ剤を防湿庫内に居れておくことをオススメします。
この防カビ剤は、カビ菌を殺す成分が含まれており、カビの発生を防ぐことができます。
光触媒が搭載されていないタイプの防湿庫では防カビ剤は必須です。光触媒が搭載されているタイプの防湿庫だとしても、防カビ剤を入れることでさらにカビの発生を抑えることができます。
円形クッション
Re:Cleanの一部機種、ハクバのE-ドライボックス、ホクトのマットは平形になっているため、庫内でレンズが転がりやすいです。最悪の場合、レンズが手前に落下してくることも…。
そこで、これらの防湿庫を購入する場合には、Re:Cleanの円形マットを別途購入することをオススメします。もしかしたらサイズが多少合わないかもしれませんが、ハサミでマットを切ってサイズを微調整しましょう。
アンカーリンクス(取り外し可能ストラップ)
peak designのアンカーリンクス(取り外し可能ストラップ)です。
カメラをストラップごと防湿庫に入れてしまうと、防湿庫の容量を占めてしまったり、あるいはカメラを取り出す際にストラップが引っかかってレンズを落下させてしまうことがあります。
そこで、アンカーリンクスを使うことで、簡単にストラップをカメラから外して、カメラだけを防湿庫に収納できるようになります。
今回の記事は以上になります。