2018年1月20~21日の日程で、厳冬期の赤岳と阿弥陀岳に雪山テント泊してきました!
目次
冬の赤岳・阿弥陀岳紹介
赤岳は、長野県と山梨県にまたがる八ヶ岳連峰の最高峰(2,899m)です。
山肌が赤いことから、この名が名づけられました。
尖った山容のかっこいい山として知られています。
阿弥陀岳(2,805m)は、赤岳の西方に位置する山です。山頂には阿弥陀如来の石像をはじめ多数の講中碑が奉じられています。
赤岳に勝るとも劣らない山容をしています。
いずれの山も、厳冬期は上級者向けに位置付けられます。
他の冬山で十分にアイゼンとピッケルの練習を積んだ登山者のみが、難易度の高い雪山入門として挑戦を許される雪山です。
登山ルートと、登山開始まで
夏と同様に、美濃戸口までマイカーでアクセスできます。
ただし、道中の道がアイスバーンになっている可能性があるため、スタッドレスタイヤが必須です。
今回は、登山前日の夜に美濃戸口に到着し、車中泊しました。
今回紹介するルートは以下の通りです。
(初日)美濃戸口~美濃戸山荘~行者小屋~地蔵尾根~地蔵の頭~赤岳~文三郎尾根~行者小屋(テント泊)
(二日目)行者小屋~文三郎尾根~中岳~阿弥陀岳~行者小屋~美濃戸山荘~美濃戸口(下山)
本ルートについては、山と渓谷社の「厳選 雪山登山ルート集」に詳細が記されています。
雪山では雪崩防止のため、通行できるルートが限られています。
必ずルートを下調べしてから通行するようにしましょう。
登山開始
朝7時に二日分の駐車料金¥1,000を払います。
このとき、受付の方に「行者小屋でテント泊ですか。なるべく小屋から遠くに張った方がいいですよ」と言われたのですが、それとなく聞き流してしまいました。初日の夜に、その理由を身をもって知ることとなります。
登山開始です。
最初は美濃戸山荘まで林道を歩いていきます。林道はアイスバーンと化しており、チェーンスパイクが有効です。(12本アイゼンだと、アイゼンの歯を丸めてしまいます)
美濃戸山荘に到着しました。
美濃戸山荘から先は、樹林帯の雪原ハイクです。 この日はトレースがあったため、ラッセルせずにすいすい進むことができます。
樹林が開けてきました。
なんだか人生も開けてきそうな気がしてきました。
今日は画面中央の女性との2人登山となり、ロマンスの予感がぷんぷんします。
(※1年後にこの女性は別の方と結婚することになります。)
いざ赤岳へ!
行者小屋に到着しました。
受付後にテントを設営し、赤岳へと向かいます。登山口で受けた謎の忠告を受け、なるべく小屋から遠くにテントを張りました。
この恩恵を後程受けることとなります。
地蔵尾根を経由し赤岳を目指します。
地蔵尾根は森林限界上の急登で、12本アイゼン、ピッケル、ヘルメットの3点セットが必要となります。
アイゼンを雪面に利かせ、滑落してもすぐにピッケルで止められるように、昇っていきます。
単純に直登するのみではなく、急斜面をトラバースする箇所もあり、慣れていないと恐怖を感じると思います。
地蔵尾根終盤です。
岩とアイスのミックス帯になってきました。
アイゼンを付けていないと雪ですべりますが、アイゼンを付けていると岩に引っ掛けます。
アイゼンを付けながら、でも岩に引っ掛けない技術が要求されます。
徐々に赤岳がその姿を表してきます。
地蔵尾根を登りきり、地蔵の頭に到着しました。
その名の通りお地蔵様が安置されています。
地蔵尾根からは横岳へいくことができます。(今回は横岳へはいきません)
厳冬期の赤岳~横岳~硫黄岳は、八ヶ岳の一般登山道の中では2番目くらいに難易度の高いルートです。
地蔵尾根から赤岳へは、ところどころ岩とアイスのミックス帯となります。
登山道のすぐ横は谷底になっています。
アイゼンを岩に引っ掛けて転ぶと、場所によっては谷底へ真っ逆さま、一発アウトです。
これが、厳冬期赤岳が上級者向けといわれるゆえんの1つです。
写真中央は赤岳頂上山荘です。
厳冬期でも営業している場合があります。
営業日はホームページにてご確認ください。
おいしいバイキングが楽しめますので、ぜひ宿泊されることをおすすめします。
(注:テント場はありません)
無事、赤岳に到着しました。
人生2回目の赤岳山頂です。
ちなみに、ブログ主は厳冬期しか赤岳に来たことがありません。
この話を知人にしたら、変態だとお褒めの言葉を頂きました。
なんで普通の人と同じことができないんだろう…。
満点の星空とテント村
文三郎尾根を下り、行者小屋のテントへと帰還します。
下る途中、明日昇る予定の阿弥陀岳が見えました。
その山容はとても恰好よく、明日がとても楽しみとなります。
無事にテント場まで帰還しました。
この時期でも水が流れており、雪を解かすことなく水を確保できます。
夜は満点の星空がとてもきれいです。
厳冬期でも、行者小屋にはテント村ができます。
そして、小屋の前がとてもうるさかったです。
スピーカーで音楽を流しながら、大声で「カンパーイ!!」と叫ぶ集団…。
いったい、あれはなんだったんだろう?
テント設営地を小屋から離していたことと、シリコンの耳栓をしていたことで、熟睡することができました。この耳栓には、毎度のことお世話になっています。
となりのテントで宴会をしていても、かなりの騒音をシャットアウトしてくれる優れものです。
モルゲンに染まる山並を眺め、阿弥陀岳へ
朝5時に出発し、阿弥陀岳を目指します。
あたりは暗闇です。唯一、ヘッドライトと満点の星空だけがあたりを照らしてくれます。
文三郎尾根を昇っていきます。
あたりは徐々に明るくなってきます。
上の写真は朝日を待つ阿弥陀岳です。
夜が明けました!
太陽が山並みに隠れて直接朝日は見られませんでしたが、
朝日に染まる山並みを見ることができました。
雲海から顔をのぞかせる富士山が見事です。
北アルプスも朝日に染まっています。
この時期に朝5時から昇り始めるのは、寒さと眠気との闘いでもあり、正直きついです。でも、その恩恵がこの景色なのだと思います。
そして、この時間帯には他のパーティーはまだ行動していません。
よって、静かな山が楽しめます。
こちらは南アルプス。
左から、甲斐駒ヶ岳、北岳、仙丈ケ岳です。
だいぶ空も明るくなってきました。
中岳までたどり着きました。
ここから、写真正面の阿弥陀岳を目指します。
写真で見てわかる通り、結構な角度をしています。
阿弥陀岳へは垂直のはしごを昇っていく箇所があります。
はしごにアイゼンを引っ掛けないよう、注意を払う必要があります。
特に下りの難易度が高く、これが厳冬期の阿弥陀岳が上級者向けだといわれるゆえんです。
無事に阿弥陀岳山頂にたどり着きました!
道中の写真がないのは、写真を撮っている余裕がなかったからです。
乗鞍岳がよく見えます。
こちらは浅間山です。
景色を存分に楽しんだら、慎重に下山していきます。
行動が早かったおかげで、昼頃には登山口に帰還することができました。
登山と恋愛は行動が早いに限ります。
下山後のお楽しみです。
この写真を知人に送付したところ、
「写真がへたくそ」「アイスが黒い」「正面の車が邪魔」などの数々のお褒めの言葉を頂戴しました。
というわけで、車がいなくなったところで再度撮影し、さらに写真編集でアイスを白くしました。
ふははは、lightroomの力を見くびるな。
最高の山行をありがとう、八ヶ岳。
今回の記事は以上になります。