自分で撮った写真を家に帰って見返してみたら、「ピンボケしていた」「手振れ・被写体ブレしていた」「明るい場所で絞りすぎて、回折現象で画質が悪化していた」など不具合が発生していることがあります。いい写真が撮れたと思ったときほど、ショックは大きいですよね。しかし、あきらめるのはまだ早いです。Topaz Sharpen AIを使えば、これらの不具合をわずか数クリックで補正することが可能です。
今回の記事では、筆者が撮影した不具合写真を元に、Topaz Sharpen AIの作例を紹介します。

目次
使い方
まずはソフトの使い方を紹介します。Topaz Sharpen AIに写真を取り込んだら、右側のサイドバーで設定を決めます。

Sharpen Model
まず、①から「(a)Motion Blur」「(b)Out of Focus」「(c)Too Soft」のいずれかを選択します。
被写体ブレや手振れを補正した場合には(a)を、ピンボケを補正したい場合には(b)を、細かい被写体(葉、羽、星など)を鮮明にしたい場合には(c)を選択すると、うまくいくことが多いです。
同時に、補正の強さも選択します。通常は「Normal」を選んでおけば問題ありません。いったんNormalで最後の手順まで進んでみましょう。ノイズの多い写真には「Very Noisy」を、ブレやボケのひどい写真には「Very Blurry」を選択しましょう。
②の雷マークをクリックすることで、ソフトに自動で補正のモードと強さを選択してもらうことも可能です。
Model Parameters
次に、③のRemove Blurのスライダーでブレの補正具合を決めます。同様にSuppress Noiseでノイズの補正具合を決めます。通常は④の雷マークをクリックし、ソフトに自動で決めてもらう方がうまくいくことが多いです。
Select
⑤をクリックしてOnにすると、Selectモードから補正を掛ける被写体を自動選択できるようになります。選択できるのは「Subject(物)」「Portrait(人)」「Landscape(風景)」の3種類です。例えば、以下の風景写真にLandscapeを適用すると、2枚目の写真のようにマスクが生成されました。Selectについては、通常はOFFにしておけば問題ありません。動いている人を撮影している場合などに有効となる機能です。


Post Processing (Add Grain)
Add Grainのスライドバーを右に動かすほど、粒子が追加されて写真の滑らかさが低下します。通常はこのスライダーを0にしておけば問題ありません。
処理時間
画面右下のSave Imageを押し、さらに次の画面から「Save」を押すと、ソフトが画素数向上処理を始めます。


この処理にはそれなりに時間が掛かります。筆者のPCのCPUは「intel Core i9-9900K」でGPUは「NVIDIA Quadro P2000」となっています。このPCで2,400万画素のJPEGファイルを処理した場合には、処理時間は38秒でした。
扱えるファイル形式
Topaz Sharpen AIで扱うことのできるファイル形式は、jpeg, png, tiff, そして各社のrawファイルなどです。ただし、rawファイルではプロファイル補正が適用されないため、全体的に薄く暗くなるなど、写真がおかしくなります。よって、rawファイルを使いたい場合には、後述する方法でphotoshopやlightroomのプラグインとして利用すると良いです。
適用例の紹介
以下に、ブレている写真に対してTopaz Sharpen AIを適用した例を紹介していきます。
風に揺れる花
以下は、風に揺れる高山植物の作例です。写真左の黄色い花が風に揺れて、被写体ブレを起こしています。

上記写真をTopaz Sharpen AIで補正し、花の部分を拡大したものを以下に示します。左が元画像、右が補正画像です。補正モードは「Motion Blur – Normal」です。
どうでしょうか。ブレて輪郭のはっきりとしなかった花が、明らかに補正されているのがわかるかと思います。
ピンボケの風景
以下は、針ノ木岳の山頂から立山と黒部ダムを撮影した作例です。全体図だとわかりにくいですが、微妙にピントが外れてしまっています。

上記写真をTopaz Sharpen AIで補正し、中央部を拡大したものを以下に示します。左が元画像、右が補正画像です。補正モードは「Out of Focus – Normal」です。
どうでしょうか。いまいちあまかった山や木々の輪郭が補正され、輪郭がはっきりとしたのがわかるかと思います。
絞り過ぎた木々
以下は、F22で撮影した滝です。シャッタースピードを遅くして滝を流した副作用として、F値が22まで上がってしまい回折現象による画質の悪化が見られます。拡大してみると、木々の輪郭が潰れてしまっています。

上記写真をTopaz Sharpen AIで補正し、木々の一部を拡大したものを以下に示します。左が元画像、右が補正画像です。補正モードは「Too Soft – Normal」です。
どうでしょうか。回折現象によって甘くなってしまった木々の輪郭が、はっきりと蘇ったのが分かるかと思います。
ピンボケの星空
以下は、4月に撮影した星空です。撮影した際には気が付かなかったのですが、ピントが甘く星がボケています。

上記写真をTopaz Sharpen AIで補正し、中央部を拡大したものを以下に示します。左が元画像、右が補正画像です。補正モードは「Motion Blur – Very Blurry」です。原理から言えば「Out of Focus」を適用すべきですが、「Motion Blur」の方が補正できていました。また、Normalでは補正が弱かったため、Very Blurryを適用しました。
どうでしょうか。ピンボケして面積の大きくなっていた星が、点像になったのがわかるかと思います。
adobe社ソフトとの連携方法
Topaz Sharpen AIは、adobe社の各ソフトのプラグインとして使うこともできます。プラグインとして使うことで、RAWデータを取り扱えたり、RAW現像やレタッチが可能になるというメリットがあります。以下に方法を紹介します。
lightroom
lightroomの場合には、写真タブから「他のツールで編集→Topaz Sharpen AI」と進みます。

photoshop
photoshopの場合には、フィルタータブから「Topaz Labs→Topaz Sharpen AI」と進みます。

料金体系
Topaz Sharpen AIの利用料金は79ドルです。これは、為替レートが115ドル/円の場合、9,085円という事になります。クレジットカードを使えば、特別な手続きや手数料無しで支払うことができます。1年間は無料でアップグレードすることができます。1年過ぎた場合でも、アップグレードができなくなるだけで、無料で使い続けることが可能です。
また、DeNoise AI, Gigapixel AI, Sharpen AIがセットになったimage quality appsであれば、159ドルで購入することが可能です。
いずれも、以下のクーポンコードを入力することで、15%オフで購入することが可能です。

まとめ
Adobe Photoshopでは今回のような明らかなブレを補正することはできません。Topaz Sharpen AIの方が明らかに優れています。Topaz Sharpen AIの紹介記事は以上になります。