sd Quattroの作例とメリット・デメリット紹介【山岳風景写真】

sigma社のsd Quattroというミラーレスカメラには、foveonセンサーという変わったセンサーが搭載されています。

今回の記事では、筆者が撮影した作例を元に、sd Quattroのメリットとデメリットを紹介します。

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foveonセンサーとは

通常のデジタルカメラには、ベイヤータイプのセンサーが搭載されています。
ベイヤーセンサーでは、1画素は赤、緑、青のうち1色しか記録をすることはできません。では、足りない色の情報をどうしているかというと、周囲の画素から推測しています。

このため、ベイヤーセンサーには被写体の色が切り替わっている部分において偽色が出やすいという欠点があります。
また、赤、緑、青の画素が周期的に配列しているため、細かい被写体を撮影するとモアレが出やすいという欠点があります。

このベイヤーセンサーの持つ欠点を解消できるセンサーがfoveonセンサーです。foveonセンサーでは、1画素が3色を記録することができます。

(foveonセンサーの詳しい説明については、sigmaのホームページをご覧ください)

作例紹介(メリット)

sd Quattroの作例を元にメリットを紹介していきます。
いずれの写真もクリックすると非圧縮の元画像を表示することができます。

尚、レンズとして17-70mm F2.8-4 DC MACRO OS HSMを使いました。

細かい被写体の細部を写すことができる

sd Quattroのメリット1つ目は、被写体の細部を写すことができる点です。

以下は、枯木や樹氷を撮影したものです。
いずれも、木の枝の細かい部分まで描写できています。

これは、原理的にfoveonセンサーではローパスフィルターを付ける必要が無く、ソフトウェア的に高周波成分のモアレを抑制する必要もないからです。

(一般的なベイヤーセンサーでは、ローパスフィルターを付けたり、ソフト的にモアレを抑制することの弊害として、被写体の細かい部分はどうしても潰れやすくなってしまいます)

色が綺麗に出る

sd Quattroのメリット2つ目は、色が綺麗に出る点です。

以下は、色とりどりのテントや青空を撮影した作例です。
綺麗に色が出ている…ように見えないでしょうか?

foveonセンサーでは、1画素それぞれが3色を記録できるため、偽色が発生することなく、被写体本来の色を写すことができます。

被写体表面に立体感が出る

sd Quattroのメリット3つ目は、被写体の細かい凹凸を写せるために立体感が出やすい点です。

以下は、なんでもない木の表面を撮影した作例です。
木の表面がとてもリアルに描写されており、4Kモニタで見るとまるで目の前に木があるかのように錯覚するほどです。

作例紹介(デメリット)

もちろん、sd Quattroには数多くのデメリットも存在します。
作例を元に、デメリットを以下に紹介していきます。

オートフォーカスが遅い

sd Quattroのデメリット1つ目は、オートフォーカスが遅い点です。大体1秒強くらいかかります。

以下は、登山道を進む登山者の後ろ姿を撮影したものです。
本当はもっと登山道の手前にいる登山者を撮影したかったのですが、オートフォーカスを合わせている間に登山者は奧に進んでしまいました。

センサーにゴミが付きやすい

sd Quattroのデメリット2つ目は、センサーにゴミが付きやすい点です。

以下の写真の中央左側に、黒い点が2つ付いているのがわかるかと思います。これはセンサー上に付いたゴミです。
このゴミは、清掃で取り除いたとしても数十ショット撮影しただけですぐについてしまうと言われています。よって、写真編集で取り除くのが良いと思います。



sd Quattroにはレンズ交換時にセンサーを隠す可動式のフィルターが付いています。このフィルターが稼働する際にセンサーにゴミが付きやすいと言われています。

sd Quattroの兄弟機であるsd Quattro Hでは、若干ゴミが付きにくくなっていると言われています。

sigmaにカメラを送ると、無償でゴミを取り除いてくれます。

ISO320でもカラーノイズが出てしまう

sd Quattroのデメリット3つ目は、恐ろしく高感度に弱い(ISO感度を上げるとノイズが出やすい)点です。

以下は、ISO320で撮影した作例です。
テントにノイズが出始めているのがわかるかと思います。



foveonセンサーでは、センサーに入射した光は4つの層(輝度+赤、緑、青)を通ります。よって、1層ごとに取り込める光の絶対量が少なくなるため、原理的に高感度ノイズが出やすくなっています。

foveonセンサーのイメージ図(sigmaホームページより)


緑の強いゴーストが出やすい

sd Quattroのデメリット4つ目は、太陽を撮影すると緑色の独特なゴーストが出る点です。

この強いゴーストを、写真編集で取り除くことはまず不可能でしょう。
よって、太陽を枠内に入れた撮影はほぼ不可能と言って良さそうです。

まとめ

sd Quattroは、クセの強いカメラで人を選びます。

ただし、フィルムカメラ(ISO固定で高感度に弱いけど、色が綺麗に出る)だと思えばそれほどストレスは無いと思います。
なんといったって、いざというときにはISO感度を上げることもできるし、写真をUSBケーブル1本で簡単に取り込むこともできるのですから。

関連商品

以下に、sd Quattroと合わせて用意すると便利な品々を紹介します。



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登山でレンズを使う際には、保護フィルターを付けることをオススメします。
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カメラやレンズを通常環境に放置すると、数年後にはカビが生えてしまい画質に影響が出ます。一度生えたカビを除去することはとても困難です。カビが生える前に防湿庫で保管することをオススメします。

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レンズキャップに紐を付けましょう。
崖下にレンズキャップが落下してしまうと回収できなくなります。



ブロワーを用意しましょう。
登山ではレンズや保護フィルターに埃や汗が付着しやすいのですが、ブロワーで拭き飛ばせば傷つくことはありません。



ブロワーで拭き飛ばせない汚れについては、レンズクロスで落としましょう。
ティッシュで汚れを落とすと、高確率で傷がつきます。




今回の記事は以上になります。

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