OMデジタルソリューションズから2022年3月に発売されたミラーレスカメラ・OM-1には、最新の裏面照射積層型センサーが搭載されています。このセンサーでは、従来機に搭載されている表面照射型センサーと比べて、高感度ノイズが出にくくなったとされています。しかし、ネットには「高感度ノイズは変わらない」「高感度ノイズが出にくくなった」という異なるレビュー記事が挙がっています。そこで今回の記事では、OM-1と旧センサーとの高感度ノイズの出方を比較しました。結果としては、JPEG撮って出しではOM-1の方が1段程度高感度ノイズに強い一方で、RAWデータではほとんど違いは見られませんでした。
目次
使用機材
今回使用した機材を以下に紹介します。
カメラ本体
OM-1の比較対象としては、OM-D E-M5 MarkⅢ(以下、E-M5Ⅲ)を使用しました。E-M5Ⅲに搭載されているセンサーはOM-1よりも1世代古い表面照射型センサーとなっており、E-M1ⅢやE-M1Xと同等のものです。両者のカメラの有効画素数は2,037万画素となっており、同等です。OM-1では、E-M5Ⅲよりも設定可能なISO上限が2段高くなっています。
OM-D E-M5 MarkⅢ | OM-1 | |
センサー | 表面照射型 | 裏面照射積層型 |
画像処理エンジン | Truepic VIII | TruePic X |
有効画素数 | 2,037万 | 2,037万 |
設定可能ISO感度(通常) | 200~6,400 | 200~25,600 |
設定可能ISO感度(拡張) | 60~25,600 | 80~102,400 |
レンズ
レンズには、ED 12-100mm F4.0 IS PROを選択しました。このレンズは単焦点レンズ以上の画質を誇る高性能ズームレンズです。よって、カメラ本体の性能の差を比較するためには最適なレンズの1つとなります。
測定方法
以下の方法で測定を行いました。
- カメラを三脚にセットした
- ISO感度を最低~最高まで1段ずつ変更し、被写体である電子レンジを撮影した
- カメラ内で生成されたjpegファイルの電子レンジの中央部分をトリミングした。E-M5ⅢとOM-1とでの高感度ノイズの出方を比較した
- rawファイルをlightroomで読み出し、電子レンジの中央部分をトリミングした。この際、ノイズ低減処理は実施しなかった。E-M5ⅢとOM-1とでの高感度ノイズの出方を比較した
その他、カメラの設定は以下のようにしました。
- 絞り…F8に固定
- ISO感度…最低~最高まで1段ずつ変化させた
- シャッター速度…露出が同等となるように変更した
- 焦点距離…25mm (35mm判換算50mm)
- 手振れ補正…OFF
- その他…2秒セルフタイマー
高感度ノイズ比較結果
JPEG撮って出し
E-M5ⅢとOM-1のjpeg撮って出し高感度ノイズの比較結果を以下に示します。
- E-M5Ⅲでは、ISO 3,200から赤いリングにノイズが出始める。ISO 12,800から「↑あたため」文字のディテールが損なわれ始める。
- OM-1では、ISO 6,400から赤いリングにノイズが出始める。ISO 12,800から「↑あたため」文字のディテールが損なわれ始める。
- OM-1は、E-M5Ⅲよりも1段程度高感度ノイズに強い。一方で、ディテールについてはISO感度による違いがほとんど見られない。
RAWファイル
E-M5ⅢとOM-1のRAWデータからlightroomで現像した写真の高感度ノイズの比較結果を以下に示します。
- E-M5Ⅲ、OM-1ともに、ISO 800から赤いリングにノイズが出始める。ISOが高くなっても「↑あたため」文字のディテールは損なわれない。
- OM-1とE-M5Ⅲとで、ノイズの出方に違いは見られない。
考察
RAWデータでのノイズの出方に違いが見られなかったことから、OM-1とE-M5Ⅲのセンサー自体の高感度耐性に違いは無いようです。jpegではOM-1の方がE-M5Ⅲよりも1段程度高感度ノイズが出にくかったことから、OM-1では画像処理エンジンによってノイズを出にくくしているようです。
まとめ
JPEG撮って出しで夜景を撮影する人には、OM-1は魅力的な製品となります。一方、PCで編集を行なう場合には、必ずしもOM-1は最適な選択肢ではありません。なぜならば、旧世代のカメラで撮影したRAWデータにDxO PureRAWを使用した方が、同程度にノイズを押さえられてしかも費用が安くなるからです。
今回の記事は以上になります。