山に登ると最高の景色を見られます。
苔むす森、稜線からの大展望、朝日や夕日、赤く染まる山並み…
これらの景色を記憶だけでなく記録(写真)に残したいと考える方も多いと思います。
一眼レフやミラーレスなどのレンズ交換タイプのカメラでないと、これらの景色を綺麗に撮影できない!と考える方も多いですよね。
しかし、安価なコンデジの中にもこれらレンズ交換タイプのカメラと同等か、中にはそれ以上の画質を誇るものもあります。
今回は、実売価格¥50,000台以下で購入可能な、高画質で軽量なコンデジを6つ紹介します。
目次
選定基準
以下の基準でコンデジを選びました。
- 大きなセンサー(1.0型以上)
- 実売価格が¥50,000台以下
- 焦点距離が28mm以下(広角)
通常、画質というと画素数を思い浮かべる方が多いと思います。
これは間違ってはいないのですが、半分は正しくないです。
理由は、小さなセンサーを無理やり高画素化すると、素子1つあたりの受光面積が減って逆に画質が悪化する為です。
例えるならば、小さな畑に無理やりたくさんの作物を植えると、作物が生育不良を起こすようなものでしょうか….(ちょっと違う?)
そこで、今回は画質の定義として画素数ではなくセンサーサイズを選びました。
焦点距離が小さいほど広い範囲を写せるようになります。
これをいわゆる広角レンズと呼びます。
風景撮影には焦点距離の小さな広角レンズが使いやすいです。
【SONY】サイバーショット DSC-RX100
1つ目はSONYのRX100です。
RX100のセンサーサイズは1.0型です。これは、コンデジの中では大きい部類に入ります。
レンズはズームレンズとなっており、広角側の焦点距離は28mm、望遠側は100mmとなっています。
28mmであれば、稜線や山並み、樹林などの風景を広く写すことができます。
一方で望遠側の100mmを使えば、遠くの山をアップで写し切り取ることができます。
重量は、今回紹介する機種の中で、最軽量となる213gです。
持っていることを忘れる軽さでしょう。
レンズはF1.8であり、かなり明るい部類に入ります。
星空撮影をすることも可能です。
(補足)
RX100は現在、第8世代まで発売されています。
最新世代のRX100M7は値段が高く、実売価格が¥140,000(2019/6/4現在)と、RX100の約4.5倍もするのに対し、カメラとしての基本的な性能に大きな変化はありません。
よって、特にこだわりがなければ、初代RX100を購入するのが良いでしょう。
【Panasonic】LUMIX DMC-TX1
2つ目はPanasonicのLUMIX DMC-TX1です。
DMC-TX1のスペックはほぼRX100と同等ですが、大きく異なる点が2つだけあります。
1つ目の違いはズーム倍率です。
DMC-TX1の焦点距離は、広角側が25mmとなっており、RX100より3mm短くなっています。
広角側では焦点距離が1mm変わるだけでも写し取れる範囲が大きく変わってきます。
参考として、換算焦点距離24mmと、それをトリミングすることで27mmにした写真の比較を以下に示します。左側が24mm, 右側が27mmです。
少しでも景色を広くダイナミックに撮りたい人にとっては、DMC-TX1はいい選択肢となるでしょう。
残雪期の笠ヶ岳に至る稜線を撮影。
一方、望遠側はなんと、250mmまで対応しています。
(RX100は100mmまでです)
250mmあれば、雷鳥などの小動物をアップで撮影することが可能です。

焦点距離は換算203mm
2つめの違いはF値です。
DMC-TX1のF値は2.8しかなく、RX100のF1.8と比べるとやや劣ります。
暗い場所での撮影にはDSC-100に軍配が上がるでしょう。
(補足)
DMC-TX1には、 後継機種のDC-TX2があります。
しかし、実売価格が約¥75,000(2019/9/1現在)とMarkⅡの1.5倍もするのに対し、カメラとしての基本的な性能は変わっていません。
よって、特にこだわりがなければ、DMC-TX1を購入するのが良いでしょう。
【SONY】サイバーショットDSC-RX0
3つ目はサイバーショットDSC-RX0です。
RX0の特徴は、なんといっても95gの超軽量と超コンパクトボディです。
ウェアの小さなポケットに収まるでしょう。
しかも今回紹介するカメラの中で唯一耐衝撃・防水仕様であり、アウトドアでも安心して使えます。
デメリットは2つです。
1つ目は手振れ補正機能が付いておらずしかもF値が4.0と大きいため、暗い場所で手振れしやすくなることです。
2つ目は焦点距離が広角24mmで固定されていることです。
(これを単焦点レンズと呼びます)
風景を撮る上では問題にはなりません。むしろ単焦点レンズではズームレンズよりも画質が良いことが多いです。
しかし、何かをアップで撮影する用途には不向きなのは確かです。
(補足)
RX0には、 後継機種のRX0M2があります。
しかし、実売価格が約¥72,000(2019/9/1現在)と1.4倍もするのに対し、カメラとしての基本的な性能は変わっていません。
よって、特にこだわりがなければ、RX0を購入するのが良いでしょう。
【Canon】PowerShot G1 X Mark II
4つ目はCanonのG1X MarkⅡです。
G1X MarkⅡのセンサーサイズは1.5型です。これは、SONY RX100やPanasonic DMC-TX1の1.5倍の大きさを誇ります。その分星空撮影に強いということになります。
量は516gであり、やや重いです。
しかし、500mLペットボトル1本分と思えば、大したことはないでしょう。
レンズはF2.0であり、これもかなり明るい部類に入ります。
(補足1)
G1X MarkⅡには、よく似た名前のG9X MarkⅡがあります。
前者の方がセンサーサイズの大きな上位機種の位置づけであり、なおかつ実売価格も安いです。よって、G1X MarkⅡを購入するのが良いでしょう。
(補足2)
G1X MarkⅡには、 後継機種のG1X MarkⅢがあります。
MarkⅢではセンサーサイズがAPS-Cサイズで大型化されています。
しかし、実売価格が約¥80,000(2019/6/4現在)とMarkⅡの2.5倍になっています。
お金に余裕があれば、MarkⅢを購入するのも良いでしょう。
【Ricoh】GRⅡ
5つ目はRicohのGRⅡです。
GRⅡのセンサーサイズは、今回紹介する中で最大のAPS-Cです。
APS-Cセンサーは、普及モデルのミラーレスや一眼レフで採用されているセンサーです。
APS-Cセンサーは1型センサーの3.2倍の大きさであり、その分無理なく高画素化することができるので画質が良くなります。
焦点距離は広角の28mmで固定された単焦点レンズとなっており、風景撮影に大きな威力を発揮します。
一方、遠くの山や動物をアップで撮って切り取るといった使い方には不向きになります。
GRⅡには手振れ補正機能が付いていませんが、大部分の場合には問題にはならないでしょう。
理由は、「広角では手振れの影響を受けにくいから」と、「ほどほどに明るいレンズと高感度に強い大型センサーのためにシャッタースピードを稼げる(速くできる)から」です。
(これは次に紹介するXF10でも同じことが言えます)
【富士フイルム】FUJIFUILM XF10
6つ目は富士フイルムのXF10です。
XF10のスペックはGRⅡとほぼ同じですが、異なる点が2つあります。
1つ目は、画素数が2424万画素であり、GRⅡの1620万画素よりも多いことです。
個人的な感覚ですが、APS-Cセンサーであれば2424万画素は無理のない範囲で高画素化されていると感じます。
2つ目は、富士フイルム独自のフィルムシミュレーション機能が使えることです。
フィルムシミュレーション・Velviaモードで風景を撮影することで、彩度を高く鮮やかに撮影することができます。
フジフイルムのjpeg撮って出しの色はとても鮮やかで、一度慣れてしまうと他社のカメラを使えなくなってしまう人も多いようです。
(筆者もそのうちの一人です)
以下にフィルムシミュレーション・Velviaの実例を示します。
左側が標準、右側がVelviaです。
右側の写真では、左側よりも青空や紅葉の色が濃く出ているのがわかるかと思います。
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次ページでは、これらのカメラ比較一覧と、筆者が考えるベストバイカメラについて紹介します。