2020年8月10-11日の日程で、尾瀬ヶ原と至仏山に一泊二日のテント泊にいってきました!
目次
至仏山の紹介
至仏山は、尾瀬ヶ原の西端に位置する、尾瀬を代表する名山です。西の至仏山、東の燧ケ岳といったところでしょうか。山頂からは、麓の尾瀬ヶ原はもちろんのこと、越後や日光の名山を一望することができます。
至仏山は高山植物の多さでも知られ、7~9月には様々な高山植物を楽しむことができます。冬季にはアプローチの道路が閉鎖されていたり、春には植生保護のため入山規制がされているなど、限られた時期しか登れない山となっています。
今回は、初日に麓の尾瀬ヶ原と三条の滝を散策し、二日目に至仏山に登頂するルートを紹介します。
登山コースの詳細
(初日)鳩待峠→山の鼻→見晴→三条の滝→見晴(CT 5:40)
(二日目)見晴→山の鼻→至仏山山頂→小至仏山→鳩待峠(CT:7:00)
尚、昭文社「山と高原地図 尾瀬 燧ヶ岳・至仏山・会津駒ヶ岳 (山と高原地図 14) 」に本ルートの詳細が記載されています。
地図を持たない登山は危険です。必ず地図を持って入山するようにしましょう。
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登山開始まで

時刻は未明の3時。
尾瀬戸倉に車でやってきました。250台駐車可能な、広大な駐車場に車を停めます。駐車料金は一日あたり1,000円也。


この時期の週末には、マイカー規制のため登山口となる鳩待峠に入ることはできません。
4時40分始発の乗合バスに乗って、鳩待峠を目指すことになります。

乗り合いバスの料金は片道¥1,000也。券売機で片道分のチケットを買って、乗り合いバスに乗る際に係の人に手渡すシステムです。
4時過ぎになると、登山者がバス乗り場に並び始めます。
尚、ここには綺麗なトイレもあります。


バスに乗っている間に日の出を迎えます。

バスに揺られること30分。
鳩待峠に到着しました。


鳩待峠から3分ほど歩くと、鳩待峠休憩所にたどり着きます。
鳩待峠休憩所には多くのベンチが設置してあるため、登山の準備をここですると良いでしょう。
登山開始~山ノ鼻まで

時刻は5時10分。
登山開始です。


まずは山ノ鼻に向けて標高を下げていきます。

よく整備された木道の上を歩いていきます。
木道の下は深くなっている箇所もあるため、落下しないように注意しましょう。
ただし木道の幅は広いので、よほどのことが無い限りは大丈夫でしょう。

登山道の脇には高山植物がちらほらと咲いています。

左手に至仏山が見えてきました。
至仏山には明日登る予定です。

橋を渡り

山の鼻小屋に到着しました。

現在、山の鼻周辺には狂暴な熊が出没中とのこと。
熊は日の出や日没前後に活発に行動しやすいです。この時間帯に人の少ないところには行かない方が良いでしょう。

山の鼻までくると、至仏山をよく見渡すことができます。

木々の間から漏れる木漏れ日が美しい。
見晴(みはらし)まで

続いて、幕営地である見晴(みはらし)を目指します。

オゼミズギクが至るところに生えています。
ちなみに、オゼミズギクは尾瀬の固有種ではなく、他地域にも生えているとのこと。ニッコウキスゲみたいなものですね。

こちらはススキでしょうか。

尾瀬ヶ原の見通しの悪い場所には、熊よけの鈴が設置されています。
この鈴を鳴らしてから通行するようにしましょう。
一方、身に着けるタイプの熊鈴については、見晴らしの良い場所や他の登山者が多くいる場所では消しておいた方がよいとされています。これは、虫のせせらぎなどを邪魔してしまうためです。

見晴方面に見えるのは燧ケ岳です。
空気が霞んでいますが、これはこれでかっこいい気がします。

ちなみに、反対側の至仏山方面は晴れ渡っています。
「山を越えると天気が変わる」典型例ですね。

登山道脇の湿原の中に、蜘蛛の巣が張ってあります。


尾瀬ヶ原のいたるところに蜘蛛の巣が張ってあります。
日常生活でクモの巣を見ると不快かもしれませんが、尾瀬だと芸術的に見えるのは不思議ですね。

池塘の女王として知られる、ナガバノモウセンゴケです。
ナガバノモウセンゴケは、葉のまわりにある粘着性の水滴で昆虫を捕らえて虫を溶かし、養分として消化します。
粘着質の女王…。

ビュースポット「逆さ燧の池塘」です。
風が穏やかなときのみ、逆さ燧ケ岳を望むことができます。

???
同定できず…

山の鼻~見晴までは、コースタイムで2時間の木道歩きが続きます。

木道を歩き続けていると、霞みが取れてきました。
天気は回復傾向です。

池塘の中には水中生物が居ます。

木道を歩き

さらに歩き

見晴を視界に捉えました!

時刻は8時前。見晴に到着しました。

イワオトギリです。
先日、北海道の利尻山で見たハイオトギリより明らかにサイズが小さいです。
形は同じなのに面白いですね。

燧小屋にてテントの受付をします。料金は一人当たり800円也。
今シーズン、テント泊する場合には事前予約必須のところが多いですが、見晴のテント場では事前予約は必要ありません。

テントを張ります。
この時期、日中はテント内が高温になります。なるべく日陰に幕営することをオススメします。
一方ブログ主は、中央にテントを張ったためサウナを楽しむことができました。マジで地獄でした…

見晴のテント場では蛇口から水を汲むこともできますが、弥四郎清水から水を汲むことをオススメします。冷たくおいしい水です。

オリジナルレシピ・チーズラーメンを食す。
あまりおいしそうに見えない…。
三条の滝

時刻は12時過ぎ。
テント内でサウナ仮眠を取ったのち、日本三大名瀑・三条の滝を目指します。
見晴から三条の滝までは、コースタイムで往復3時間の行程です。

アザミの一種です。

元湯山荘にたどり着きました!
…が、往路ではスルーします。復路にて立ち寄る予定です。

雪かき用のシャベル?だと思われる赤いスコップが高い位置についています。
豪雪地帯・尾瀬。恐るべし。
ちなみに、ブログ主が2017年の5月下旬に尾瀬沼を訪れた際には、沼の約半分は雪で埋まっていました。


三条の滝に向けて、標高を下げていきます。

三条の滝に向かう登山道では、大小様々な滝を楽しむことができます。

橋を渡り

階段を降りると

三条の滝に到着しました!
幅30m、落差100mを誇る日本三大名瀑の1つです。
ちなみに、滝が流れるように見えるのは、シャッター速度を1/2秒にしているからです。光の取り込み量を少なくするために減光フィルターを、手振れを防ぐために三脚を使っています。

来た道を戻っていきます。

復路では小さなかわいい高山植物(名前同定できず)が見送ってくれました。
いや、高山植物はただそこで咲いていただけです。見送ってくれたなどとは、身勝手な人間(ブログ主)の自己都合による解釈です。

森を抜けて

元湯山荘まで戻ってきました。

元湯山荘には足洗場があります。
三条の滝に至るルートは泥だらけのところも多いので、ここで靴を洗うと良いでしょう。


カフェテラスにてケーキとジュースを頂きます。

何度目かのオゼミズギク。
よくタンポポと間違われるかわいそうな花です。

こちらはイワショウブです。
夜。星を眺める。

見晴に戻ってきました。
生ビールを買い、持参した夕食を取ることにします。

ベンチで食事をとっていたら、なんと!
近くの団体さんからスイカを頂戴しました。コロナのため会話はほとんどできませんでしたが、ありがとうございます。
団体さんは、スイカを歩荷して持ってこられたとのことです。
ブログ主の周りには山で盗難にあった人も多いですが、その一方でいい人も居るものですね。

一方ブログ主は、トータル3kgの三脚とカメラ2台を歩荷しました。
これが人間性の違いというやつか…。
時刻は夜10時前です。テント場を抜け出し星空を撮りにやってきました。写真は燧ケ岳と星空。雲が掛かっていて星は完全には見えていません。

こちらは至仏山と星空。
尚、写真を撮ることはできませんでしたが、ホタルを3匹見かけました。
この時期の尾瀬ヶ原でホタルを見れるのは珍しいです。

さらに時刻は移り深夜1時半。
月が登ってきました。

星空を撮るため、再度湿原にやってきました。
写真は燧ケ岳と星空。
月が出ているため、先ほどとは違い湿原を写すことができています。

こちらは至仏山と星空。
写真を撮っていると、湿原の中から動物の甲高い鳴き声と疾走する音が聞こえてきました。
夜の尾瀬ヶ原にはあまり深入りしないのが賢明かと思います。熊に出会ったら万事休すなので…。
次ページでは、本山行のハイライトである至仏山を目指します。