富士フイルムからは30種類以上のレンズが発売されています。それぞれのレンズが得意とする被写体は異なります。では、風景撮影には何がいいのか?というと「XF10-24mmF4 R OIS WR」(以下、XF10-24mm)が最適なレンズの1つだと考えます。その理由の1つは、超広角域~広角域の焦点距離を使うことで、風景を広くダイナミックに撮影することができるからです。
今回の記事では、筆者の作例を元にし、XF10-24mmを登山や風景にオススメする理由を5つご紹介します。
目次
オススメしたい理由
以下に、筆者が撮影した写真を交えながらXF10-24mmのオススメポイントやイマイチな点を解説していきます。尚、この写真は同レンズの1世代前にあたる「XF10-24mmF4 R OIS」で撮影したものです。防塵防滴性や重量が変わっているのみで、画質の変化はないとされています。
超広角、広角、標準域をカバーし、様々な撮影に対応可能
1つ目のオススメポイントは、XF10-24mmが超広角域に加えて、標準域までをカバーしている点です。
一般的に超広角ズームレンズは、超広角~広角域までしかカバーしていないものが多いです。
この場合、風景を撮る用途にはレンズが大活躍しますが、モノや人を撮る用途(ポートレート)や、特定の山をアップで撮る用途には使いづらいです。
ところが、このXF10-24mmは超広角ズームレンズにしては珍しく、超広角、広角、標準域をカバーします(焦点距離でいうと、換算15~36mmになります)。超広角域を使えば風景を広くダイナミックに撮影でき、標準域を使えば被写体を切り取って撮影できます。
以下の写真は、3月の鳳凰三山から、南アルプス北部を代表する5峰を1枚の写真に収めたものです。この5峰は離れた位置にありますが、換算焦点距離15mmの超広角レンズを使うことで、1枚の写真に収めることができました。
一方、上記と同じ場所から、焦点距離を換算36mmの標準域に変更して、北岳と仙丈ケ岳の2峰のみをアップで切り取った写真が以下になります。
このように、XF10-24mmは様々な撮影に対応することができます。
尚、焦点距離と得意とする被写体との関係については、以下記事をご参照ください。
超広角レンズには珍しく、保護フィルター装着可能
2つ目のオススメポイントは、XF10-24mmにはレンズを傷や汚れから守る保護フィルターを装着可能な点です。
登山中には、レンズの前玉をぶつけたり、レンズに付いた埃を除去しようとしてレンズに傷をつけることがあります。これらを防ぐため、レンズ前面に保護フィルターを付けることが一般的です。ところが、超広角レンズには、前玉が前面に飛び出しており保護フィルターを付けられないものが多いです。
一方、XF10-24mmの場合は超広角レンズにしては珍しく前玉がレンズ内に収まっており、保護フィルターを付けることが可能です。撮影中にレンズの傷の心配をしなくていい方がストレスが無くなり、撮影に集中することができます。
防塵防滴・耐寒仕様で小雨や埃でも安心
3つ目のオススメポイントは、防塵防滴・耐寒仕様となっており、埃や小雨が降っても壊れにくい点です。
旧機種は防塵防滴・耐寒仕様とはなっていなかったため、これはとてもうれしい進化点です。
XF10-24を同じく防塵防滴仕様のカメラ本体であるX-T4などと組み合わせれば、カメラ一式が防塵防滴・耐寒仕様となります。登山中に急に小雨に振られたり、埃が付いても安心です。また、3,000m級峰の春や秋の早朝や、雪山においては、気温が氷点下まで下がります。
画質の評判が良い
4つ目のオススメポイントは、XF10-24mmの画質の評判が良い点です。
一般的に高倍率ズームの場合、他の低倍率ズームと比べて画質が悪くなることが多いです。しかし、XF10-24mmF4の場合は上記例に当てはまることはなく、とても画質の評判が良いです。
約400gの軽量レンズ
5つ目のオススメポイントは、XF10-24mmの重量は約385gと軽量なことです。
旧機種は410gだったので、25g軽量化されています。この385gという重量は500mLペットボトルよりも軽いです。山行においては軽いほど体力に余裕ができ、遠くまで短い時間で歩けたり、景色を楽しむ余裕が生まれます。登山において軽さは重要なことです。
手振れ補正機能が付いている
5つ目のオススメポイントは、XF10-24mmには手振れ補正が付いていることです。
富士フイルムのカメラ機種によっては、ボディ内手振れ補正が付いていません。よって、手振れ補正機能を求める場合、レンズ側に手振れ補正機能が付いている必要があります。XF10-24mmには3.5段分の手振れ補正がついており、この点は心配いりません。
尚、レンズによっては5段の手振れ補正が付いている場合もあり、3.5段では心もとない、と思われる方もいるかもしれませんが、心配いりません。広角域では手振れの影響を受けにくいため、3段もあれば十分です。
イマイチな点
ここまではXF10-24mmの良い点を紹介しましたが、以下に良くない点を述べていきます。
F=4.0であり、やや暗い
唯一のBADポイントは、レンズの解放F値が4.0と暗いことです。
レンズの解放Fが小さいほど暗所での撮影に有利になります。F=4.0というのは、暗所で手持ち撮影をするには暗いです。よって、XF10-24mmは昼間に使う用途のレンズと考えた方が良いでしょう。(朝や夕方であれば、問題なく使用可能です)
ただし、富士フイルムのカメラは高感度に強いため、シャッタースピードを下げて尚且つISO感度を上げれば、暗いところでも使えないことはありません。(ただし静止している被写体に限ります。動いている被写体では被写体ブレが発生します。)
作例紹介
以下に、筆者がXF10-24mmで撮影した写真を紹介します。
(↓下の写真をクリックしてスライドショー開始。左右の矢印でページめくり。escキーで元の記事に戻る)
XF10-24mmF4 R OIS WRとの使い分け
筆者は以前に「XF18-135mmF3.5-5.6 R LM OIS WRを登山にオススメする6つの理由」という記事を書いています。
正直、XF10-24mmと、XF18-135mmとどっちを使えばいいんだ…という感じですよね。ズバリ、登る山と撮影目的により、これら2つのレンズを使い分けることをオススメします。
「稜線がなだらかな山」「沢ルート」「終始樹林帯の山」に登る場合には、XF10-24mmをオススメします。なだらかな稜線をXF10-24mmのような超広角レンズで撮影すると、広がりのあるとても美しい写真が撮れます。
一方、「近くに尖った山がある」「雷鳥などの小動物が出てくる可能性がある」ような山に登る場合には、XF18-135mmをオススメします。尖った山(例:北岳、剱岳、槍ヶ岳)はアップで撮影することで、迫力のある写真となります。小動物が出てきても、アップで撮影することができます。
このあたりのレンズの使い分けに関しては、以下記事にて紹介をしています。
関連記事・備品の紹介
以下に関連記事、備品を紹介します。
風景撮影では保護フィルターを装着することをオススメします。アウトドアのフィールドではレンズに埃が付着します。付着した埃をそのまま拭いてしまうとレンズに傷をつけてしまいます。保護フィルターを使うことでレンズを傷から守ることができます。よほど安いフィルターを付けない限りは、フィルター装着による画質の劣化はありません。個人的には、HAKUBA「XC-PRO」のコスパが高くオススメです。反射率がわずか0.3%で、防汚、撥水機能が付いており汚れにも強いです。
アウトドアフィールドでは気軽に充電できません。交換バッテリーかモバイルバッテリーを持っていくと良いです。
アウトドアでレンズキャップを落とすと、レンズキャップが岩の隙間や崖下に転がってしまい回収できなくなることがあります。レンズキャップに紐を付けることをオススメします。
ネットショップをうまく利用することで、レンズを数千円~数万円お得に購入することができます。
今回のXF10-24mmF4 R OIS WR紹介記事は以上になります。