雪をまとった冬の日本アルプスはとても美しいです。山には春の新緑、夏の高山植物、秋の紅葉など四季がありますが、筆者が最も好きな山の季節は冬です。冬の日本アルプスの大部分にはテントや避難小屋を使わないと登頂することができませんが、中には日帰りで登れる山も存在します。
今回の記事では、日帰りで登頂可能な日本アルプスの4座を紹介します。
目次
山の紹介
乗鞍岳
乗鞍岳は、北アルプスの最南部に位置する標高3,026mの独立峰です。広大な乗鞍高原を経由し、ピークを登り詰める楽しさを味わうことができます。
冬季には畳平までの道路が閉鎖されるため、Mt.乗鞍スキー場を利用し、リフト終点の標高2,000m地点から登山開始となります。(リフトは上りのみ利用可能)
コースタイムは約8時間です。
行程としては日帰りか、位ヶ原山荘に宿泊して一泊二日とするのが一般的となります。
焼岳
焼岳は、北アルプス南部に位置する標高2,455mの活火山です。登山道からは、大迫力の噴煙を間近に眺めることができます。1915年には大爆発を起こし、上高地の梓川がせき止められ、かの有名な大正池が形成されました。
焼岳は南峰(標高2,455m)と北峰(同2,444m)の2峰から成ります。無雪期には、南峰は地質が脆く危険なため登頂禁止となっており、北峰にのみ登頂することが可能です。一方、積雪期に中の湯温泉から登る場合には、脆い岩が雪で隠れることと、地形上の理由から南峰に登る方が一般的となります。コースタイムは約7時間です。
中の湯温泉の駐車場を利用する場合には、事前に電話予約が必要です。
唐松岳
唐松岳は、北アルプス北部の後立山連峰に位置する標高2,696mの山岳です。
ロープウェイを使って標高1,830mから登り始めることができるため、終始森林限界よりも上の大絶景を楽しむことができます。(ロープウェイは上り、下りともに利用可能)
今回紹介する山の中で、唐松岳が最も日本海側に位置しています。よって冬季の唐松岳では日本海から季節風の影響を強く受けるため、悪天候となることが多いです。月に1度あるかないかの荒天時を狙って登頂することになります。
コース自体はなだらかなため技術的難易度はそこまで高くはありませんが、悪天候時にはルートを見失いやすいことに注意が必要です。
コースタイムは6時間15分なので当日の始発ロープウェイに乗ってもいいですが、余裕があればロープウェイ終点の八方池山荘に宿泊すると良いでしょう。(要事前予約)
木曽駒ケ岳
木曽駒ケ岳は、中央アルプスを代表する標高2,956mの山です。
ロープウェイで標高2,612mの千畳敷までアクセスできるため、標高差でわずか300mを登るだけで登頂が可能です。(ロープウェイは上り下りともに利用可能)
美しいカール地形を登りきると、今度は白く染まった南アルプスと北アルプスの峰々を一望することができます。ただしカール上では雪崩の危険があるため、冬季のコース外には出ないようにしましょう。
コースタイムは4時間半です。
注意点
以下に冬山登山の注意点を記載します。
天気のいい日に登る
冬の高峰では、晴天よりも悪天候になる事の方が多いです。悪天候時に登るのはやめておきましょう。視界不良による道迷い、吹雪による低体温症、強風による転滑落のリスクがあります。
途中で引き返す勇気を持つ
降雪直後などはラッセルが厳しく、コースタイムよりも数倍時間が掛かってしまうこともあります。下山が間に合わない場合には、登頂をあきらめて下山する判断をしましょう。「何時までに○○に辿り着けなかったら下山する」ということをあらかじめ決めておくと良いです。
参考書籍
今回紹介したルートの詳細や難易度は、山と渓谷社の「厳選 雪山登山ルート集」や、同「雪山登山」に記されています。
雪山では雪崩防止のため、通行できるルートが限られています。
必ずルートを下調べしてから通行するようにしましょう。
今回の記事は以上になります。