カメラを長く使っている人であれば、マウント変更を検討することもあるかと思います。風景撮影をする場合には、マウント変更とともに超広角ズームレンズの購入も検討することでしょう。
そこで今回の記事では、各社から発売されているミラーレスカメラ用の超広角ズームレンズを紹介します。
目次
超広角域の作例紹介
超広角レンズとは、目安として(35mm判換算で)24mm未満の焦点距離をカバーしているレンズのことです。
各社の超広角ズームレンズを紹介する前に、超広角レンズで撮影した作例を以下にいくつか紹介します。
超広角レンズには「余計なものが写り込みやすい」というデメリットもありますが、そのような場合にはズームして広角~標準域を使うと解決できます。
風景撮影をするのであれば、超広角ズームレンズをおすすめします。
メーカー別、超広角ズームレンズの紹介
前置きが長くなりましたが、各社のミラーレスカメラ用の超広角ズームレンズを紹介します。
ニコン(Zマウント)
ニコンのフルサイズミラーレスカメラ(Z5, Z6, Z7, Z6Ⅱ, Z7Ⅱ)では、Zマウントが採用されています。
Zマウント用の超広角ズームレンズとしては「①NIKKOR Z 14-30mm f/4S」「②NIKKOR Z 14-24mm f/2.8S」がラインナップされています。
①は14-30mmという比較的広い焦点距離を有しており、超広角域での風景撮影の他にも、30mmを使えばポートレート撮影にも使いやすいです。重量も485gとなっており、フルサイズ用のズームレンズとしては比較的軽量な部類に入ります。その代わりにF値は4とそこまで明るくないため、夜景や星空撮影にはあまり向いていません。(ただし、カメラ本体の手振れ補正を活かして手持ちしたり、三脚を使えば撮れないことは有りません)
②では、焦点距離が14-24mmと望遠側が短くなっている代わりに、F値が2.8と明るくなっています。このため夜景や星空撮影にも使いやすくなっています。重量は650gとなっていますが、これでもフルサイズ用のズームレンズとしては標準的な重さです。
尚、ニコンのAPS-CミラーレスカメラであるZ50にも①、②のレンズを取り付けることができます。ただし、この場合には焦点距離が1.5倍となってしまいます。
キヤノン(RFマウント)
キヤノンのフルサイズミラーレスカメラ(EOR R5, EOS R6, EOS R, EOS RP)では、RFマウントが採用されています。
RFマウント用の超広角ズームレンズは「③RF15-35mm F2.8 L IS USM」の1択です。RFマウントは(Zマウントと同様)2018年から販売が開始された為、レンズの種類が少なくなっています。
③は15-35 mmの超広角~ギリギリ標準域をカバーするズームレンズです。このため、風景撮影からポートレートまで幅広く使うことができます。F値も2.8と明るいため、夜景や星空撮影にも使いやすいです。その代わりに重量は840gと重くなっています。
ソニー(Eマウント)
ソニーのフルサイズミラーレスカメラ(α9, α7系)では、Eマウントが採用されています。
Eマウント用の超広角ズームレンズは、
「④FE 16-35mm F4 ZA OSS」
「⑤FE 16-35mm F2.8 GM」
「⑥FE 12-24mm F4 G」
「⑦FE 12-24mm F2.8 GM」
「⑧17-28mm F/2.8 Di III RXD」
「⑳14-24mm F2.8 DG DN」
の6種類です。
これらのうち④~⑦はソニー製、⑧と⑳は他社製のいわゆるサードパーティーレンズとなっています。
ソニーは2013年からフルサイズミラーレスカメラを発売しており、さらにマウント情報を第三者に開示していたため、レンズの選択肢が多くなっています。
④は16-35 mmの超広角域~ギリギリ標準域をカバーするズームレンズです。このため、風景撮影からポートレートまで幅広く使うことができます。重量も518gと比較的軽量です。その代わりにF値は4とそこまで明るくないため、夜景や星空撮影にはあまり向いていません。(ただし、カメラ本体の手振れ補正を活かして手持ちしたり、三脚を使えば撮れないことは有りません)
⑤は、④のレンズの焦点距離はそのままで、F値が2.8と明るくなっています。このため夜景や星空撮影にも使いやすいです。重量は680 gですが、それでも同じスペックを持つキヤノン製の③より160 gも軽くなっています。
⑥や⑦は、④や⑤の焦点距離が広角側にシフトしたレンズです。焦点距離12mmというレンズはとても珍しいです。この焦点距離でどのような写真が撮れるのか、筆者には経験が無いためわかりません。
⑧は、タムロンから発売されているレンズです。
焦点距離は17-28 mmと狭いですが、その代わりにF2.8と明るく、さらに重量は420gと軽量になっています。
⑳は、シグマから発売されているレンズです。
焦点距離が14-24mmと短く重量も795gあるため、他のレンズと比較すると優先順位は落ちてきます。
尚、ソニーのAPS-Cミラーレスカメラであるα6000シリーズにも④~⑧、⑳のレンズを取り付けることができます。ただし、この場合には焦点距離が1.5倍となってしまいます。よって、α6000シリーズには⑥や⑦のレンズを付けると使いやすい焦点距離になりそうです。
パナソニック, シグマ(Lマウント)
フルサイズセンサーを搭載するパナソニックのカメラ(S1, S1R, S1H, S5)やシグマのカメラ(sigma fp)では、Lマウントが採用されています。
Lマウントとはパナソニック、シグマ、ライカの共通規格であり、お互いのレンズを使用することができます。
Lマウント用の超広角ズームレンズは「⑨LUMIX S PRO 16-35mm F4」「⑩LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6」「⑪14-24mm F2.8 DG DN」の3種類です。
⑨は16-35mmという比較的広い焦点距離を有しています。超広角域での風景撮影の他にも、ギリギリ標準域となる35mmを使えばポートレート撮影をしやすいです。重量も500gと比較的軽量です。その代わりにF値は4とそこまで明るくないため、夜景や星空撮影にはあまり向いていません。
⑩は、焦点距離20-60mmという超広角~標準域をカバーする珍しいズームレンズです。超広角ズームレンズというよりは、標準ズームレンズに近いです。(通常の標準ズームレンズは焦点距離24mm始まりのものが多いです)
⑩は超広角域での撮影から、ポートレート、一部の被写体を切り取るなど、幅広い用途に使うことができます。しかも重量も350gとなっており、フルサイズ用のズームレンズとしては超軽量になっています。
⑪の焦点距離は14-24mmと狭いですが、その代わりにF2.8と明るいため夜景や星空撮影に使いやすいです。
富士フイルム(Xマウント)
APS-Cセンサーを搭載する富士フイルムのカメラ(X-T4, X-S10などのXシリーズ)では、Xマウントが採用されています。
Xマウント用の超広角ズームレンズは「⑫XF10-24mmF4 R OIS」「⑬XF10-24mmF4 R OIS WR」「⑭XF8-16mm F2.8 R LM WR」の3種類です。
尚、APS-Cセンサーでは、レンズ名に表記されている焦点距離が、実用上1.5倍となることに注意が必要です。(いわゆる35mm判換算の焦点距離です)
⑫は15-36mmという比較的広い焦点距離を有しています。超広角域での風景撮影の他にも、ギリギリ標準域となる36mmを使えばポートレート撮影をしやすいです。F値は4とそこまで明るくないため、夜景や星空撮影にはあまり向いていません。
⑬は、⑫の改良版レンズです。
防塵防滴性が付き、手振れ補正段数が2.5段から3.5段に高くなり、さらに重量も410gから385gへと軽くなっています。新たにレンズを購入するのであれば(そして金銭が許すのであれば)、⑫よりも⑬をおすすめします。
⑭では、焦点距離が14-24mmと広角側にシフトし、さらにF値が2.8と明るくなっています。このため夜景や星空撮影にも使いやすいです。その代わりに重量は805gと、フルサイズ用の最も重いズームレンズと同程度になっています。
オリンパス、パナソニック(マイクロフォーサーズマウント)
フォーサーズセンサーを搭載したオリンパスのカメラ(OM-D, PENシリーズ)やパナソニックのカメラ(Gシリーズ)では、マイクロフォーサーズマウントが採用されています。
マイクロフォーサーズマウントはメーカーの枠を超えた共通規格であり、それぞれのメーカーのカメラには異なる会社のレンズを取り付けることができます。
これらのカメラに取り付け可能な超広角ズームレンズは、
「⑮M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6」
「⑯LUMIX G VARIO 7-14mm F4.0 ASPH. 」
「⑰LEICA DG VARIO-ELMARIT 8-18mm F2.8-4.0 」
「⑱M.ZUIKO DIGITAL ED 7-14mm F2.8 PRO」
「⑲LEICA DG VARIO-SUMMILUX 10-25mm F1.7 ASPH.」
の5種類です。
尚、フォーサーズセンサーでは、レンズ名に表記されている焦点距離が、実用上2倍となることに注意が必要です。
⑮は、18-36 mmの超広角域~ギリギリ標準域をカバーするズームレンズです。しかも重量は今回の記事で最軽量となる155g(!)です。このような軽くて使いやすいレンズが多いのことが、マイクロフォーサーズマウントの特徴です。日中しか撮影をせず、軽さを求める場合には第一選択肢となるレンズです。
⑯は、14-28 mmの超広角~広角域をカバーするズームレンズです。F値は4通しとなっています。重さは300gとなっています。焦点距離が狭く、そこまで軽くはなく、そして暗い割には値段の高いレンズです。個人的には⑯よりも、後述する⑰をおすすめします。
⑰は、16-36mmの超広角域~ギリギリ標準域をカバーするズームレンズです。
F値は可変となっており、広角側でF2.8, 望遠側で4.0です。広角側であれば夜景や星空撮影をしやすいです。幅広い焦点距離、広角側の明るいF値を有していながら、重量はわずか315gしかありません。マイクロフォーサーズの銘玉です。
⑱は、14-28mmの超広角~広角域をカバーするズームレンズです。
F値は2.8通しとなっており、全域で夜景や星空撮影をしやすいです。その代わりに、重量は534 gとフルサイズ用ズームレンズに迫る重さになっています。
⑲は、20-50mmの超広角~標準域をカバーするズームレンズです。風景からポートレートまで幅広く使うことができます。
F値は、なんと脅威の1.7(!)となっています。今回の記事で紹介するレンズの中で最も明るいです。F1.7というのは、F2.8よりも1.5段明るいです。これは、ISO感度かシャッター速度を1.5分の1にできることを意味しています。
⑲は各焦点距離の単焦点レンズを3本集めたようなレンズです。重さは690 gとなっていますが、単焦点レンズ3本を持ち運んで交換する手間を考えれば、十分許容できる重さなのではないかと思います。
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ネットショップをうまく利用することで、レンズを数千円~数万円お得に購入することができます。
レンズの購入に迷っている場合には、レンタルして試し撮りすることも可能です。
現在保有しているカメラ機材を売却することで、新しいレンズの購入費用を捻出することができます。高額売却については以下記事をご覧ください。
合わせて購入したい
カメラやレンズと合わせて用意すると良い品を、以下に紹介します。
登山中にカメラを首から下げて持ち歩くと危ないですし、カメラも傷つきやすいです。そこで専用の携行方法をオススメします。
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登山でレンズを使う際には、保護フィルターを付けることをオススメします。
登山ではレンズにゴミや汚れが付着しやすく、直に拭いてしまうとレンズを傷つけてしまいます。反射率がわずか0.3%のHAKUBA製「XC-PRO」であれば、画質の劣化はありません。コスパの高い保護フィルターです。(レンズの径にあったフィルターを選択しましょう)
カメラやレンズを通常環境に放置すると、数年後にはカビが生えてしまい画質に影響が出ます。一度生えたカビを除去することはとても困難です。カビが生える前に防湿庫で保管することをオススメします。
レンズキャップに紐を付けましょう。
崖下にレンズキャップが落下してしまうと回収できなくなります。
ブロワーを用意しましょう。
登山ではレンズや保護フィルターに埃や汗が付着しやすいのですが、ブロワーで拭き飛ばせば傷つくことはありません。
ブロワーで拭き飛ばせない汚れについては、レンズクロスで落としましょう。
ティッシュで汚れを落とすと、高確率で傷がつきます。
今回の記事は以上になります。