星空撮影には、高性能なカメラが必要です。
レンズ交換タイプの重くて大きなカメラじゃないと、星空を撮影できない!と思う方も多いですよね。
実際には、そんなことはありません。小型軽量のコンデジ(コンパクトデジカメ)の中にも、大きなセンサーと明るいレンズを兼ね備えた、星空を撮影できるものがあります。中には、レンズ交換タイプと同等か、それを上回る性能のものもあります。
今回の記事では、星空を綺麗に撮影できるコンデジを6機種紹介します。
尚、以前に似たような以下の記事を書いたことがあります。
以前の記事では、実売価格4万円台以下で買える比較的安価なコンデジを紹介しています。一方、今回の記事では性能重視でコンデジを選定しています。
目次
選定基準
以下の基準でコンデジを選定しました。
…暗い星空を撮影してもノイズが出にくいため
・レンズの明るさがF2.8以下であること
…弱い星の光をより多く取りこみたいため
・焦点距離が換算28mm以下であること
…長時間露光しても星が流れにくい(点で写りやすい)ため
センサーは「フルサイズ>APS-C>フォーサーズ」の順番に大きくなります。センサーが大きい方が、暗い星空を撮影してもノイズを少なく撮影することができます。
レンズの明るさはF値で表されます。この値が小さいほど光を多く取り込めることを示します。星空撮影をするためにはF2.8以下が望ましいです。もちろん、F2.0や1.7であれば言う事はありません。
どれくらい風景を広く写せるかは、レンズの焦点距離で決まります。星空撮影には換算焦点距離が28mm以下であることが望ましいです。理由は、弱い星の光を取り込むために露光時間を長くしても(=シャッターを長い時間開いても)、星が流れずに点像として写るからです。
カメラ紹介(フォーサーズ)
フォーサーズセンサーは、(一般的なコンデジのセンサーサイズである)1/2.3センサーの約8倍の大きさです。この分、暗い星空を撮影してもノイズが出にくくなっています。フォーサーズは、オリンパスやパナソニック製のミラーレスカメラにも採用されているセンサーです。
フォーサーズセンサーを搭載したおすすめコンデジを以下に紹介します。
LUMIX DC-LX100M2 (パナソニック)
フォーサーズのおすすめ1機種目は、パナソニックのLUMIX DC-LX100M2です。LUMIX DC-LX100M2は、レンズ交換ができないことを除いて、ほぼミラーレスカメラと同じスペックを有しています。
メリット
LUMIX DC-LX100M2の特徴とメリットを以下に紹介します。
- レンズのF値が1.7ととても明るく、星空撮影に大きな威力を発揮する。
(仮にレンズ交換タイプのカメラの場合、この明るさのレンズは10万円程度の値段がする。それくらい良いレンズである) - 星空オートフォーカス機能が搭載されている(プロカメラマンでも、星空にフォーカスを合わせるのはとても大変な作業である。素人がフォーカスを合わせると、最初はまず失敗する)
- スマホへの写真自動転送機能がついており、snsで共有しやすい
- 焦点距離を24~75mmの間で変更可能となっている。24mmは星空や風景撮影に最適。50~75mmはポートレートや特定の被写体を切り取って撮影するのに最適。
- 手振れ補正が付いているため、手持ち夜景撮影にも使いやすい
- フラグシップモデルの一眼レフやミラーレスカメラと同様に「ローパスフィルターレス」構造が採用されているため、写真の解像度が高くなっている。
尚、LUMIX DC-LX100M2のデメリットは特に見当たりません。
・換算焦点距離…24~75mm
・F値…1.7~2.8
・有効画素数…1,700万画素
・手振れ補正…光学式
・総重量…403g
D-LUX 7 (ライカ)
フォーサーズのおすすめ2機種目は、ライカのD-LUX 7です。
D-LUX 7のスペックや形状は、DC-LX100M2とほぼ同等になっています。(重量以外は全く同じスペックです。ただし、D-LUX 7がローパスレスかどうかについては情報が見当たりません)
両カメラのハードウェアはほとんど同じです。
一方でソフトウェア面には違いがあり、例えばD-LUX 7には星空オートフォーカスなどの機能は搭載されていないようです。
D-LUX 7の方が価格が高めに設定されています。
・換算焦点距離…24~75mm
・F値…1.7~2.8
・有効画素数…1,700万画素
・手振れ補正…光学式
・総重量…392g
カメラ紹介(APS-C)
APS-Cセンサーは、(一般的なコンデジのセンサーサイズである)1/2.3センサーの約13倍の大きさです。フォーサーズセンサーよりもノイズが出にくくなっています。
APS-Cは、ソニー、ニコン、キヤノンのエントリータイプの一眼レフ、ミラーレスカメラや、富士フイルムのミラーレスカメラにも搭載されているセンサーです。
APS-Cセンサーを搭載したおすすめコンデジを以下に紹介します。
XF10 (富士フイルム)
APS-Cサイズのおすすめ1機種目は、富士フイルムのXF10です。
XF10は、レンズ交換ができないことを除いて、ミラーレスカメラとほぼ同じスペックを有しています。
メリット
XF10の特徴とメリットを以下に紹介します。
- レンズの解放F値は2.8であり、星空撮影に十分使える明るさを有している
- フィルムシミュレーションといって、写真の色味を手軽に変更できる機能が備わっている。(星空撮影には彩度が高くなるVelviaを使うと星空が映える)
- スマートフォンへの写真自動転送機能がついているため、写真をsnsで共有しやすい
- 重量がわずか278 gとなっており、500mLペットボトルの約半分の重さしかない
デメリット
XF10の特徴とデメリットを以下に紹介します。
- レンズの焦点距離は28mmで固定されており、ズームをすることはできない。よって、星空や風景を撮るためには問題ないが、ポートレートや特定の被写体を切り取る用途には不向きである。
- 手振れ補正が付いていないため、手持ち夜景撮影には使いにくい。(一方、星空撮影では、三脚を使って手振れ補正機能をOFFにする必要があるため、問題はない)
・換算焦点距離…28mm
・F値…2.8
・有効画素数…2,424万画素
・手振れ補正…無し
・総重量…278g
GR III (リコー)
APS-Cサイズのおすすめ2機種目は、リコーのGR III です。
GR III は、富士フイルムのXF10と似た特徴を持っています。相違点を以下に紹介します。
- 4段の手振れ補正機能が備わっているため、手持ち夜景撮影にも使いやすい。
- フラグシップモデルの一眼レフやミラーレスカメラと同様に「ローパスフィルターレス」構造が採用されているため、写真の解像度が高くなっている。
フィルムシミュレーションが搭載されていないことを除けば、XF10よりもGR IIIの方がスペック的には上です。ただし、その分値段も高くなっています。
・換算焦点距離…28mm
・F値…2.8
・有効画素数…2,424万画素
・手振れ補正…センサーシフト式
・総重量…257g
PowerShot G1 X Mark III (キヤノン)
APS-Cサイズのおすすめ3機種目は、キヤノンのPowerShot G1 X Mark IIIです。
メリット
PowerShot G1 X Mark IIIの特徴とメリットを以下に紹介します。
- レンズの広角端の解放F値は2.8であり、星空撮影に十分使える明るさを有している
- 4段分の手振れ補正機能を搭載しており、手持ちで夜景を撮る用途にも使いやすいです。
- 星空モードが搭載されている。(通常、星空を撮影する際には各種設定をマニュアルで追い込む必要があるが、星空モードであれば自動でカメラを設定してくれるため、楽に星空を撮ることが可能になる)
- ズームレンズを搭載しており、焦点距離を24~72mmの間で変えることが可能。24mmは星空の他に風景撮影にも最適で、50~72mmはポートレートや、特定の被写体を切り取って撮影するのに最適となる。
- 写真のスマートフォンへの自動転送にも対応しており、snsで共有しやすい
PowerShot G1 X Mark IIIのデメリットについては特に見当たりません。
・換算焦点距離…24~72mm
・F値…2.8~5.6
・有効画素数…2,420万画素
・手振れ補正…光学式
・総重量…399g
カメラ紹介(フルサイズ)
フルサイズセンサーは、(一般的なコンデジのセンサーサイズである)1/2.3センサーの約30倍の大きさです。当然、フォーサーズやAPS-Cよりもノイズが出にくくなっています。
フルサイズセンサーは、ソニー、ニコン、キヤノンのフラグシップタイプの一眼レフやミラーレスカメラに搭載されています。一般的なデジカメに搭載されているセンサーの中で最も大きいサイズがフルサイズになります。(フルサイズよりも大きいサイズとしては中判がありますが、あまり一般的ではありません)
フルサイズセンサーを搭載したコンデジを以下に紹介します。
LEICA Q-P
フルサイズで星空撮影用におすすめできるコンデジは、ライカのQ-Pのみです。
メリット
LEICA Q-Pの特徴とメリットを以下に紹介します。
- F値が1.7と明るく、焦点距離が28mmと広角のレンズを搭載しており、星空撮影に大きな威力を発揮する。
- (フルサイズにしては)総重量がわずか640 gと軽量である。同じ機能(フルサイズ+明るい広角レンズ)をレンズ交換タイプのカメラでそろえようとすると、その重量は2 kg弱となる。
デメリット
- Q-Pは実売価格が50万円以上もする。同じ機能(フルサイズ+明るい広角レンズ)をレンズ交換タイプのカメラでそろえた場合、40万円程度あれば購入できる。
・換算焦点距離…28mm
・F値…1.7
・有効画素数…2,420万画素
・手振れ補正…無し
・総重量…640g
ベストバイはこれだ!
筆者が1台カメラを買うならば、キヤノンのPowerShot G1 X Mark III を選びます。
APS-CセンサーとF2.8の広角レンズを有しており星空撮影に問題なく使うことができます。
日中には広角端で風景撮影や、望遠端で遠くの山を切り取って撮影でき、薄暮時には手振れ補正機能を活かして手持ちでマジックアワーを撮影することが可能だからです。
次点としては、パナソニックのLUMIX DC-LX100M2を選びます。
センサーサイズはマイクロフォーサーズと一歩譲りますが、F1.7の明るいレンズを有しています。
何よりも星空オートフォーカス機能を有していることが最大の魅力です。あの大変な作業のストレスから解放されるのはとても良いことです。
キヤノンと同様に、日中には広角端で風景撮影や、望遠端で遠くの山を切り取って撮影でき、薄暮時には手振れ補正機能を活かして手持ちでマジックアワーを撮影することができます。
お金を一切度外視するのであれば、Leica Q-Pが最も良い選択肢です。フルサイズセンサーとF1.7の広角レンズの前においては、右に出る機材は皆無です。
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