2017年6月3~4日の日程で、残雪期の笠ヶ岳へ雪山テント泊にいってきました!
目次
笠ヶ岳とコースの紹介
笠ヶ岳は、北アルプスに位置する標高2,898mの山です。
どこから見ても笠の形を崩さないことから、その名が名づけられました。
登山道としては、笠新道と、弓折岳を経由するルートとがあります。
前者は最短距離一泊二日の最短経路で山頂にたどり着けますが、標高差約2,000mの急登の為、辛い登りとなります。
後者は二泊三日かかりますが、体力的には比較的易しいです。
今回は山小屋営業前の6月に、笠新道から一泊二日テント泊で笠ヶ岳に登ってきました。
この山域は6月でも残雪が豊富です。
「目印が皆無でルートファインディング必須」
「標高差約2,000mの急登」
「重量20kgのザック」
「雪壁の登攀」
雪山の総合力が問われます。気軽に挑戦してはいけません。
当然、入山者もほぼ皆無です。ドM山行の始まりです。
本ルート詳細
今回の記事で紹介するルートを以下に記します。
(初日)新穂高温泉→笠新道登山口→杓子平
(二日目)杓子平→笠ヶ岳山頂→杓子平→笠新道登山口→新穂高温泉
尚、ブログ主の知る限りでは本ルートを記載した雪山ガイドブックは存在しません。
参考までに、昭文社から出版されている「山と高原地図 槍ヶ岳・穂高岳 上高地 (山と高原地図 38) 」が対応する地図となります。
地図を持たない登山は危険です。
必ず地図を持って入山するようにしましょう。
笠新道入口まで
無料の市営新穂高第3駐車場にて、車中泊します。
(駐車場によっては有料のところもありますのでご注意を)
駐車場から徒歩10分の距離にある、新穂高温泉まで移動してきました。
序盤1時間は、よく整備された林道歩きです。
川沿いの気持ちのいい道です。
笠新道登山口に到着しました。
ここから登山開始です。
尚、写真中央下の黒いホースからは水が出ており、飲用可能です。
ここが最終水場となるため、不安な場合には補充していきましょう。
とはいっても、残雪期で上部には雪が豊富なため、溶かせばいくらでも手には入りますが…。
笠新道入口~杓子平まで
笠新道序盤は、全く雪がありません。
夏道に忠実に登っていきます。
基本的にガスっていますが、たまにガスが流れて北アルプスが姿を現します。
左は槍ヶ岳。
標高を上げるにつれ、登山道上に雪が出てきます。
絶景をバックに登っていきます。
と思ったら、また雪がなくなったり。
残雪期の登山道の特徴です。
ギリギリまでアイゼンを付けずに、ツボ足で頑張ります。
とはいっても、タイミングを間違えると滑って危ないですが…。
タイミングが難しいです。
こちらは穂高連峰です。
だいぶ雪が深くなってきました。
斜度も急なため、ここで12本アイゼンとピッケルを装着します。
トラバース区間です。
先行者のトレースや目印は一切付けられておらず、進むべき道がわかりません。
GPSを頼りに、夏道を辿るように登っていきます。
トラバースを振り返る。
広大な雪原です。
トラバースを終えました。
あとは杓子平に向けて、黙々と標高を上げていきます。
しかし、GPSが無ければこのままトラバースを続けるべきなのか、それとも標高を上げるべきなのかが全くわかりません。
とても遭難しやすい状況です。
ガスがかかっており、視界もあまりありません。
それにしても、登山開始から今まで、人っ子ひとりいません。
とても静かな山を楽しめています。
杓子平の手前まで進んできました。
この地点は数mの雪壁となっています。
アイゼンの前爪とピッケルを雪壁に刺して、クライミング的に登る必要があります。
もし登攀中に足を滑らせることがあれば、その下は急斜面となっているため簡単には止まらないでしょう。
杓子平にて幕営します。
尚、無雪期はこの地点には幕営できません。笠ヶ岳山荘にて幕営するようにしましょう。幕営する場合も、ゴミはもちろんのこと、糞尿も持ち帰るようにしましょう。
また、積雪期であっても山荘の営業時には山荘のテント場を利用しましょう。
テントが登山道を塞いでしまいます。
尚、この地点で彷徨っていたソロハイカーの方と出会いました。
「下山しようとしたのだけれど、道がわからなくなって…」とのことでした。
どうやら前日に降雪があったようで、トレースが埋もれてしまったようです。
この時期の笠ヶ岳では簡単に遭難できます。
腹ごしらえ。
日本屈指の急登・笠新道の登りで疲れた体が癒されます。
もうすぐ日が沈みます。
長かった一日目が終わりを告げようとしています。
2日目。杓子平~笠新道分岐まで
2日目は、未明の4時過ぎに杓子平の幕営地を出発します。
槍ヶ岳の横から朝日が昇りました!
この日は快晴予報です。
杓子平~笠新道分岐までの道は、夏道だとトラバース気味に道が付けられています。
しかし、積雪期には夏道を辿らず、稜線上を通行した方が通りやすいです。
快晴!かと思ったら、ガスが沸いてきたり…
それでも同行者たちはとても楽しそうです。
笠新道分岐の手前までやってきました。
この地点は10m以上の雪壁となっており、12本アイゼンの前爪とピッケルを使い登っていく必要があります。
下部は急斜面です。
もしも滑るようなことがあれば、簡単には止まりません。
笠新道分岐に到着しました!
ここから先はいよいよ絶景の稜線歩きです。