2022年4月9~11日の日程で、上越国境稜線を縦走してきました!
目次
上越国境稜線とは
上越国境稜線とは、群馬県・谷川岳近くに位置する白毛門から、新潟県・巻機山へと続く稜線です。ルート上から東側には上州武尊岳や至仏山、西側には谷川連峰、北側には越後三山の絶景を眺めることができます。ルート上の大部分では登山道が整備されておらず、藪が茂っているため夏には歩くことが困難です。一方、厳冬期には大量の雪と暴風によって進路を阻まれます。よって、藪が隠れ尚且つ天候が安定する4月~5月上旬の限られた時期にのみ歩くことができます。
本ルートの詳細
今回のルートの詳細を以下に示します。
(初日)白毛門登山口→白毛門→笠ヶ岳→朝日岳→幕営地
(2日目)幕営地→ジャンクションピーク→檜倉山→柄沢山→米子沢ノ頭→幕営地
(最終日)幕営地→巻機山→清水集落
本ルートについては、山と渓谷社の「厳選 雪山登山ルート集」に詳細が記されています。雪山では雪崩防止のため、通行できるルートが限られています。必ずルートを下調べしてから通行するようにしましょう。
対応する山と高原地図は、「谷川岳 苗場山・武尊山」「越後三山 平ヶ岳・巻機山」です。稜線全域をカバーするためには両方の山と高原地図が必要になります。
登山開始まで
おはようございます。時刻は朝8時です。
この時期、白毛門の無料駐車場は雪に埋もれており使用できません。除雪が完了するのは例年ゴールデンウィーク頃です。
今回は谷川岳ロープウェイの有料駐車場に車を停めます。24時間営業、料金は平日500円、休日1,000円です。(今回は休日2日間、平日1日間停めるので2,500円)
有料駐車場には24時間のトイレが完備されています。
谷川岳ロープウェイからは、谷川岳方面へのロープウェイが運行しています。
一方、ドSの筆者は徒歩で白毛門の山頂を目指します。
駐車場から下ること約10分。この地点を左手に曲がり、登山口を目指します。
橋に降りる箇所に雪が積もっており、難所となっています。すべると川にドボンします。不安な場合には素直にアイゼンを付けた方が良いでしょう。
白毛門への急登
白毛門へは標高差1,000mのとてもきつい登りです。今回の行程は長いため、白毛門までで体力を使い切らないように要注意。序盤は雪が出たり消えたりを繰り返します。ツボ足(ノーアイゼン)が登りやすいでしょう。
標高を上げると雪が増えてきます。12本アイゼンが必須です。
松ノ木沢ノ頭に到着しました。正面に見えるピークが白毛門です。雪にクラックが入っているのが見えます。
クラックのすぐ脇を通り抜けていきます。クラックの崩落に巻き込まれないよう、長居は厳禁です。
クラックの中を通過中。残雪期はルート取りが難しいです。
この岩場は、直登しても右から巻いてもよいです。岩に雪が付いておらず、尚且つアイゼンを付けている場合には、右から巻いたほうが通過しやすいです。
白毛門山頂が見えてきました。
時刻は13時。白毛門(標高1,720m)に到着しました!急登を登り切ったあとなので達成感があります。奥に見えるのは谷川岳です。
笠ヶ岳、朝日岳
次は、写真左奥の笠ヶ岳を目指します。絶景の稜線ハイクの始まりです。
白毛門を過ぎると、東側の展望が開けてきます。右は上州武尊山、左は日光白根山。
白毛門から標高差100mを下ったのち、笠ヶ岳へ200mを登り返していきます。
時刻は14時半。笠ヶ岳(標高1,852m)に到着しました!
写真右下の緑色の建物は笠ヶ岳避難小屋です。2~3人程度の広さしかないため、先行者が居ると使用不可能です。よって幕営用具は必須です。写真中央のピークは小烏帽子、大烏帽子といった小ピークです。これらの小ピークを経由し、笠ヶ岳を目指します。
大烏帽子を越え
一旦下ります
トラバースします。雪が腐っており時々踏み抜くのですが、トラバースや細い尾根があるため12本アイゼンで通過していきます。あまりにも踏み抜くようであればワカンの方が良いかもしれません。
ところどころ巨大なクラックがあるため、近寄りすぎないように注意。
写真中央の特徴的な岩山が、朝日岳です。
時刻は16時45分です。朝日岳(標高1,945m)に到着しました!
朝日岳山頂には、石塚が設置されています。
初日の夜
朝日岳~ジャンクションピーク間は広大で平な稜線となっているため、幕営適地が多いです。もちろん幕営可能なのは植生を傷つけない積雪期のみです。
時刻は18時過ぎ。太陽が地平線へと沈んでいきます。
長かった1日目が終わろうとしています。
明日歩く予定の稜線が赤く染まります。
稜線の向こう側には、遠く越後の山々を見渡すことができます。
時刻は深夜。月明りに照らされる幻想的な稜線です。
魚沼の街明かりが見えます。
次ページでは、ジャンクションピークを越え、いよいよ積雪期限定ルートへと突入します。