3月~5月の高山や豪雪地帯の山は、いわゆる残雪期の雪山に分類されます。残雪期には、冬山と夏山のいいとこ取りをしたようなメリットが多いです。例えば「ラッセルしなくていい」「日照時間が長く行動可能時間が増える」「荷物が軽くなる」「天の川が見える」「好きなところにテントを張りやすい」などです。
今回の記事では、残雪期の山の魅力を5つ紹介します。
(ただし、厳密に3~5月が残雪期に当てはまるわけではなく、降雪があったり寒気が入ってくると厳冬期の環境になりえます)
目次
メリット
雪が安定しておりラッセルしなくていい
残雪期の魅力1つ目は、雪が安定しておりラッセルの必要がない(あるいは、少ない)ことです。
厳冬期には、多いときだとずっと腰上ラッセルを強いられることも多く、その結果コースタイムの3倍程度の登山時間が掛かることもあります。時間が掛かりすぎて、頂上まで辿り着けないことも…。一方、残雪期であればラッセルは必要ないことが多いです。よって、夏山とそこまで変わらないコースタイムで登っていくことができます。
日照時間が長く、行動可能時間が増える
残雪期の魅力2つ目は、日照時間が長いため行動時間が増えることです。
例えば、2019年度の長野県では、12月末の日の出は6:59時、日の入りは16:41時で、日照時間はわずかに10時間弱しかありません。一方、3月末であれば日の出は5:35時、日の入りは18:09で、日照時間は13時間弱もあります。4月末であれば、日照時間はさらに13時間半まで増えます。この分、行動時間を長く取ることが可能です。
そこまで寒くないので、荷物が軽くなる
残雪期の魅力3つ目は、そこまで寒くないのでテント泊の荷物が軽くなることです。
厳冬期にテント泊をする場合、重量のあるテントのスノーフライと厳冬期用シュラフが必須となります。メーカーやサイズにも寄りますが、筆者が所有しているものの場合、前者は1,100g、後者は約1,500gもの重さがあります。一方、残雪期であれば、夜間の気温にも寄りますが夏用のスノーフライ(500g)に夏用シュラフ(600g)で済む場合もあります。この場合、1,500gも軽量化することができます。
天の川が見えることがある
残雪期の魅力4つ目は、明け方の地平線付近に天の川が見えることです。
真夏のように常に真上に天の川が見えるわけではありませんが、真夜中~明け方にかけて、高度の低い位置に天の川を見ることができます。
雪が残っているので、好きなところにテントを張れる
残雪期の魅力5つ目は、まだ雪が残っているため、比較的自由にテントを張れることです。
無積雪期にテントを自由に張ることができないのは、植生を痛めてしまう為です。積雪期であればその心配はいりません。ただし、もちろんゴミやし尿は持ち帰るようにしましょう。また、近くにテント場がある場合には、そちらを利用するようにしましょう。
デメリット
一方、残雪期にはデメリットもあります。
日に焼けやすい
残雪期のデメリット1つ目は、日に焼けやすいことです。
これは、太陽との距離が近い(=日照時間が長い)ことに加え、地面からの照り返しがある為です。まさに360度から強い紫外線を浴びることになります。日焼け対策として、ハット付きの帽子を被り、日焼け止めをこまめに塗りましょう。
土が見えている場合がある
残雪期のデメリット2つ目は、地面に土と雪が交互に現れる(ことがある)点です。
3月であればこのようなことはほとんどありませんが、4月、5月と時期が遅くなるほど、この傾向は顕著になります。この場合には、アイゼンを付けたり外したりしながら進む必要が出てきます。
今回の記事は以上になります。