センサーサイズが小さいほど、高感度ノイズ(ISO感度を高くしたときに発生するノイズ)が出やすくなります。中判などの特別なカメラを除けば、フルサイズセンサーが最も高感度ノイズに有利です。APS-Cやフォーサーズは、面積が小さくなる分、フルサイズよりも不利になります。では、フォーサーズとAPS-Cとではどれくらい高感度ノイズの出方が異なるのでしょうか。APS-Cの面積はフォーサーズの1.5倍となるため、理論上はAPS-Cの方が有利のはずです。今回の記事では、フォーサーズとAPC-Cとで高感度ノイズの出方を比較してみました。
目次
使用機材
今回使用した機材を以下に紹介します。
カメラ本体
マイクロフォーサーズの代表機種としてはOMデジタルソリューションズ製のOM-1を使用しました。OM-1は、2022年3月に発売された最新のカメラです。OM-1には最新の裏面照射積層型センサーが搭載されており、少なくともJPEG撮って出しでは高感度ノイズが抑えられていることが特徴です。
APS-Cの代表機種としては富士フイルムのX-T3を使用しました。X-T3のセンサーは2018年9月に登場した最も新しい世代のセンサーです。2022年5月に次世代のセンサーが登場すると噂されています。
X-T3 | OM-1 | |
メーカー | 裏面照射型 | 裏面照射積層型 |
センサーサイズ | APS-C | フォーサーズ |
センサー登場時期 | 2018/9 | 2022/3 |
有効画素数 | 2,610万 | 2,037万 |
設定可能ISO感度 (通常) | 160~12,800 | 200~25,600 |
設定可能ISO感度 (拡張) | 80~51,200 | 80~102,400 |
レンズ
OM-1のレンズには、ED 12-100mm F4.0 IS PROを選択しました。このレンズは単焦点レンズ同等の画質を誇る高性能ズームレンズです。よって、カメラ本体の性能の差を比較するためには最適なレンズの1つとなります。
X-T3のレンズには、XF35mmF2R WRを選択しました。高画質を誇る単焦点レンズです。
測定方法
以下の方法で測定を行いました。
- カメラを三脚にセットした
- ISO感度を最低~最高まで1段ずつ変更し、被写体である電子レンジを撮影した
- カメラ内で生成されたjpegファイルの電子レンジの中央部分をトリミングした。E-M5ⅢとOM-1とでの高感度ノイズの出方を比較した
- rawファイルをlightroomで読み出し、電子レンジの中央部分をトリミングした。この際、ノイズ低減処理は実施しなかった。E-M5ⅢとOM-1とでの高感度ノイズの出方を比較した
高感度ノイズ比較結果
JPEG撮って出し
X-T3とOM-1のjpeg撮って出し高感度ノイズの比較結果を以下に示します。
- X-T3では、ISO 6,400から赤いリングにノイズが出始める。
- OM-1では、ISO 6,400から赤いリングにノイズが出始める。
- ISO12,800までは、OM-1とX-T3とのノイズの出方の違いに違いは見られない。一方、ISO25,800ではOM-1の方がノイズが少ない。
JPEGでは、マイクロフォーサーズのOM-1の方が、APS-Cセンサーを搭載するX-T3よりも高感度ノイズが出にくいという結果でした。
RAWデータ
X-T3とOM-1で撮影したRAWデータから、lightroomで現像したJPEGファイルの高感度ノイズの比較結果を以下に示します。
- X-T3ではISO 3,200から赤いリングにノイズが出始める。
- OM-1ではISO 800から赤いリングにノイズが出始める。
- X-T3の方が、OM-1よりも1~2段ほど高感度ノイズが出にくい。(X-T3のISO 6,400は、OM-1のISO 3,200か1,600と同程度のノイズ)
RAWデータでは、センサーサイズの差がそのままノイズの差となって現れました。
考察
JPEGにおいてOM-1がX-T3よりも高感度ノイズが出にくいのは、画像処理エンジンによる処理の差です。RAWデータでは画像処理エンジンによるノイズ処理がオフとなるため、センサーサイズの差が高感度ノイズの差となって現れました。
まとめ
夜景を撮影する場合には、高感度ノイズ耐性は重要な指標となります。フォーサーズセンサーを搭載したカメラを使い夜景を撮影する場合には「明るいレンズを使う」「シャッタースピードを遅くしてISO感度を低くする」「DxOを使いディテールを損なうことなく高感度ノイズを少なくする」などの対策が重要となります。
今回の記事は以上となります。