SKYLUM社の写真編集ソフト「Luminar AI」には、緑樹の増強という機能が付いています。
この機能は、AIが自動で写真中の緑の草木や葉を識別し、色を鮮やかな緑に変えてくれるものです。
暗く写ってしまった草木や緑に「緑樹の増強」機能を適用することで、写真を爽やかな雰囲気にすることができます。
今回の記事では、筆者が撮影した写真に「緑樹の増強」機能を適用した例を紹介します。
目次
適用例の紹介
以下に適用例を紹介していきます。
尚、今回の事例では各カメラメーカーの色味を活かしたかったため、すべてJPEGファイルをLuminar AIに取り込んで編集しています。一方で、もちろんRAWを取り込んで編集することも可能です。
(RAW画像を使って各カメラメーカーの色味を活かす方法については、本記事の後半にて紹介します)
草紅葉
以下は、9月の月山で撮影した草紅葉です。
全面が草紅葉というわけではなく、ところどころ緑の草が点在しています。
ちょうどガスが掛かっていたこともあり、全体的に色味が暗くなってしまっています。
上記の写真に緑樹の増強を適用した例を以下に示します。
尚、緑樹の紅葉の適用量は0~100の間で調整することが可能です。今回は出来栄えを見ながら52/100に調整しました。
どうでしょうか。
草の緑色が鮮やかになり、写真が爽やかになったのではないかと思います。
樹林帯
以下は、八ヶ岳で撮影した樹林帯です。
陽の当たっている箇所は明るく爽やかですが、一方で影になっている緑の部分は暗くなっており、写真がやや暗い印象になっています。
上記の写真に緑樹の増強を適用した例を以下に示します。
調整量は53/100です。
緑の部分のみが鮮やかになり、写真が爽やかな雰囲気になったのではないでしょうか。
尚、lightroomで彩度を高くしてしまうと、緑以外の部分も鮮やかになってしまい、いわゆる「ギトギトした写真」になりやすいです。
稜線
以下は、北アルプスの白馬岳から雪倉岳を通り、朝日岳へと続く稜線です。
稜線上にはハイマツが生い茂っています。
元の状態でもそれなりに爽やかな状態ではありますが、この写真にも緑樹の増強を適用したらどうなるのか試してみましょう。
上記の写真に緑樹の増強を適用した例を以下に示します。
調整量は19/100に留めています。
稜線上のハイマツの緑が若干、鮮やかな蛍光色となり、より爽やかな印象になりました。
尚、このケースにおいて緑樹の増強の調整量を高くしすぎてしまうと、緑の蛍光色が強くなりすぎて不自然になってしまいます。
あくまでも自分で見た目を見ながら、不自然にならないように調整量を決めることが大切です。
苔
以下は、登山道脇に生えていた苔を撮影したものです。
陽の光で光と影の模様ができており、綺麗だったため撮影しました。
上記の写真に緑樹の増強を適用した例を以下に示します。
調整量は25/100です。
緑が鮮やかになり、爽やかさが増したのではないかと思います。
晴天の雪倉岳
以下は、北アルプスの雪倉岳をオリンパスのカメラで撮影したものです。
背景の青空は、さわやかな青色(いわゆるオリンパスブルー)になっています。
その一方で、山自体はやや暗く写っているようにも見えます。
上記の写真に緑樹の増強を適用した例を以下に示します。
調整量は19/100です。
空の色を変えることなく、山の緑色だけを明るくすることができました。
尚、lightroomで露出や彩度を変更してしまうと、山だけではなく空も色も変えてしまいます。
「調整量が微妙すぎてわからない」という方のために、以下に左右の比較図を載せます。左が調整前、右が調整後です。
補足:JPEGとRAWの使い分けについて
Luminar AIでは、JPEGファイルとRAWファイルのいずれの形式でも編集することが可能です。
JPEGを使うと、元の写真の色味を活かせる一方で、白飛びや黒飛びの補正をしにくくなります。
一方でRAWを使うと、白飛びや黒飛びを補正しても写真が破綻しにくくなる一方で、元の写真の色味を活かすことはできません。
例えば、鮮やかな発色に定評のある富士フイルムや、空の青色に定評のあるオリンパスのカメラで撮影したRAWデータをそのままLuminar AIに取り込んでしまうと、各社の色を活かすことはできなくなってしまいます。
裏技としては、Luminar AIとlightroomを併用することで、両者のいいとこ取りをすることも可能です。具体的な手順としては「lightroomでRAWファイルを読み込む→元の色味を適用する→luminar AIにRAWファイルを飛ばして編集する」というものです。この手順を踏むことで、画像の破綻をしにくくしてしかも元の写真の色味を活かすことが可能となります。
今回の記事は以上となります。