星空や天の川の写真は、普通にカメラで撮影するだけであったり、カメラ内の設定を変更するだけでは美しく見せることに限界があります。そこで、lightroomなどの写真現像ソフトを使うと写真が劇的に美しくなります。
しかし、lightroomでは調整パラメーターが多く、どう設定を変更したらいいか分かりにくいです。しかも、写真によって調整すべきパラメーターの種類と方向が異なります。
基本的な方針としては「色温度を下げる」「ノイズ低減をする」「かすみの除去をかける」とうまくいくことが多いです。
その他、前景を見せたい場合には「シャドウや黒レベルを高くする」のも有効です。
今回の記事では、筆者が撮影した天の川の写真をlightroomで現像する過程を紹介します。
この記事を読むことで、以下左の写真を、右のように現像できるようになります。
目次
現像に使ったソフトとデータ
今回の現像には、Adobe社のlightroom classic CCを用いました。類似のlightroom CCでも同じ作業が可能です。
尚、元ファイルにはjpegではなくrawデータを使いました。rawの方がlightroomでパラメーターを調整しても写真が破綻しにくい為です。
現像方法
lightroom classic CCを立ち上げ、rawデータを取り込みます。
データを取り込むと、画面右側に編集バーが現れます。
この編集バーの各項目を設定し、写真を現像していきます。

色温度
まず、空の色を黒から青にするために、色温度を下げます。
今回は、初期値の5000から3250程度まで下げます。
撮影時にWB(ホワイトバランス)が蛍光灯や電球モードになっている場合は、すでに色温度が低い設定になっているため、変更しなくても大丈夫です。
(補足:色温度は、小さいほど青みがかり、高いほど赤みが強くなります)

色温度を3250にして現像した写真が以下になります。
空が青みがかり、神秘的な写真になったかと思います。

明瞭度
次に、天の川をくっきりと写すために、明瞭度を上げます。
今回は、初期値の0から100まで上げることにします。
必要に応じて調整量を変更します。

明瞭度100にて現像した写真が以下になります。
天の川が明瞭になり、くっきりと写るようになりました。

シャドウ
その次に、山並みを明るく写すために、シャドウを上げます。
今回は、初期値の0から100まで上げます。
必要に応じて調整量を変更します。
(補足:シャドウを上げると、写真上の暗い部分が明るくなります。逆にシャドウを下げると、写真上の暗い部分はより暗くなります)

シャドウ100にて現像した写真が以下になります。
山並みが明るく写りました。

ハイライト
そして、星をより明るくするために、 ハイライトを上げます。
今回は、初期値の0から30まで上げる微調整に留めます。
必要に応じて調整量を変更します。
(補足:ハイライトを上げると、写真上の明るい部分がより明るくなります。逆にハイライトを下げると、写真上の明るい部分は暗くなります)

シャドウ30にて現像した写真が以下になります。
星が明るくなりました。

ノイズ低減
山並みを無理やり明るくしたため、ノイズが出てしまっています。
そこで、ノイズを低減するため、ノイズ低減「輝度」を上げます。
今回は、輝度を初期値の0から20まで上げます。
必要に応じて調整量を変更します。
(注意点:輝度を上げすぎると、弱い星の光が消えてしまいます。また、山並みがのっぺりとした、いわゆる眠たい写真になってしまいます)

輝度20にて現像した写真が以下になります。
山並みのノイズが低減されました。

かすみの除去
ここまででも十分かとは思いますが、やや空がかすんでいるようにも見えます。
そこで、かすみを取るためにかすみの除去を上げます。
今回は、初期値の0から15までの微調整に留めます。
必要に応じて調整量を変更します。

かすみの除去15にて現像した写真が以下になります。
空のかすみが低減されているかと思います。

以上、lightroomを用いた天の川現像方法について、如何でしたでしょうか。
今回の現像方法はあくまでも1例であり、撮影時のカメラ設定、街明かりや月などの光害の影響、前景の有無、天の川の有無によっても設定すべきパラメーターや設定量は異なってきます。
ただし、「このパラメーターをいじればこうなる」という原理原則を知っておくことで、さまざまな現像に対応できるはずです。
RAW現像に興味のある方は、新進気鋭のRAW現像ソフト・Luminar4もおすすめです。
人工知能を使って、自動で写真の特定の部位のみを編集できるとてもいいソフトで、価格も安いです。

今回の記事は以上になります。
.