富士フイルムから発売されているミラーレスカメラであるXシリーズには、フィルムシミュレーション機能が搭載されています。フィルムシミュレーションとは、写真の発色、コントラスト(明暗差)、階調(色の濃淡変化)を手軽に変更することができる機能です。フィルムシミュレーションには約10モードがあり、この1つであるVelvia(ベルビア)の特徴は、鮮やかな発色とメリハリのある階調です。山岳写真においては、Velviaで撮影することで写真が美しくなることが多いです。
今回の記事では、シーン別にVelviaモードとPROVIA(標準)モードで撮影した写真を比較することで、Velviaのメリットを解説します。
目次
Velviaで撮影した作例の比較紹介
以下に作例を示します。すべての作例において、左がPROVIA(標準)、右がVelviaです。 これらの作例には筆者自身が撮影した写真を用いています。全ての写真はJPEG撮って出し(カメラ内現像)であり、lightroomなどのRAW現像ソフトは用いていません。
緑
velviaで緑の葉っぱや木々を撮影することで、緑の発色が濃く鮮やかになります。
5月の常念岳登山道にて、木に絡まっていたツタを撮影した。
8月の白馬岳にて、登山道脇の台地を撮影。残雪と新緑のコントラストが美しい。
高山植物
velviaで高山植物撮影することで、発色が鮮やかになります。
雨に濡れたクルマユリを撮影。
登山道脇に咲いていたピンクの高山植物。名前は不明。
登山道脇に咲いていたイワギキョウ。
青空
velviaで青空を撮影することで、空の青が濃く深くなります。
2月の厳冬期の天狗岳(八ヶ岳)を撮影。厳冬期(1~2月)の日本の山は悪天候になることが多いが、八ヶ岳は晴天率が高い。この晴天は八ヶ岳ブルーと称される。
2月の厳冬期に、前白根山から日光白根山を撮影。この時期に前白根山を経由し日光白根山へと登頂する登山者は極めて少ない。
2月、厳冬期の乗鞍岳から、北アルプス南部の山々を撮影。
朝日・夕日
velviaで朝日や夕日を撮影することで、太陽のオレンジが鮮やかになります。
富士山の真横から登る朝日を撮影。雲海・富士山・朝日という3条件が揃ってくれた。
劔岳に沈む夕日を撮影。残雪期だったため、手前の雪面に夕日が反射し雪面がオレンジ色に染まった。
地平線の彼方から登る朝日を撮影。
紅葉
velviaで紅葉を撮影することで、赤や茶色が深く鮮やかになります。
11月に雲取山の紅葉を撮影。
11月に雲取山の紅葉を撮影。
10月に巻機山の草紅葉を撮影。
モルゲンロート・アーベントロート
モルゲンロートは、朝焼けに染まる山並み。アーベントロートは、夕焼けに染まる山並みのことです。velviaでこれらを撮影することで、赤やピンクの発色が濃くなります。
1月の厳冬期に、モルゲンロートに染まる仙丈ケ岳を撮影。厳冬期(1~2月)のアルプスは悪天候や視界不良になることが多いが、移動性高気圧が通り過ぎ晴天となる1日を狙って登頂したことで、この写真を撮影することができた。
1月の厳冬期に、モルゲンロートに染まる北岳とそれを撮影する登山者を撮影。
5月の残雪期に、アーベントロートに染まる北アルプス北部の劔岳を撮影。厳冬期(1~2月)の北アルプス北部は世界的に見ても環境が厳しいことで知らており、入山できないことも多い。3月を過ぎると気候が安定してくるため、このような撮影機会に恵まれる。
5月の残雪期に、モルゲンロートに染まる北アルプス北部の山々を撮影。撮影地点は火打山直下の高谷池ヒュッテ。北アルプス北部の大展望台である。
星空
velviaで星空を撮影することで、空の青色が濃くなります。尚、すべての写真においてホワイトバランス設定は電球になっています。これは、空の色を黒ではなく青色で表現したい為です。
木々の隙間から星空を撮影。この日はふたご座流星群の極大日。一瞬、流れ星を撮影できた!と思ってよく見返したところ、ただの人工衛星だった。
2月、厳冬期の乗鞍高原を撮影。気温は-10℃を下回っていたが、X-T3の防寒性能に助けられ、難なく撮影をすることができた。
マジックアワー
マジックアワーとは、日の出直前や日没直後に、太陽が出入りする方角の空の色がオレンジ~青色の色鮮やかなグラデーションとなる時間帯のことです。
velviaでマジックアワーを撮影することで、グラデーションがより鮮やかになります。
仙丈ケ岳登山道から、未明の南アルプスの山々を撮影。マジックアワーは数分単位で色味が変化するため、頻繁に撮影をした方が良い。ただし撮影に熱中しすぎて同行者に怒られないように注意。
マジックアワーの甲府夜景と富士山を撮影。
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