「独学で写真を学んできたけれど、限界が見えてきた。もうワンランクレベルアップしたい」と考えている人は多いと思います。そこで、プロやハイアマチュアの写真家が集まるサイト1x.comの批評(critique)モードが役立ちます。専門的、理論的に「写真の構図」「レタッチ」などについてアドバイスを貰えるからです。
今回の記事では、筆者が1x.comの批評モードを使い、どのようなアドバイスをもらって、どのように写真を改善できたかを紹介します。
プロやハイアマチュアからの構図、レタッチのアドバイス
枚数は無制限
コスト…
月額5.99ドル~(1x.comの登録費用)
批評を貰えるまでの時間…
数時間~1.5日
目次
前準備
まず、1x.comに登録・写真を提出し、publishedかnot selectedされた状態にしておきます。1x.comの使い方は以下記事をご覧ください。
批評に出した写真の紹介
今回批評に出したのは「Mt. Asama and snow monsters(浅間山とスノーモンスター)」という以下の写真です。左がjpeg撮って出しで、右が1x.comに出してpupulalityが58~59%でpublishedされた写真になります。右の写真はphotoshopで数時間かけてレタッチした自信策で、自画自賛ではありませんが特に改善点があるようには思っていませんでした。補足として、海外の有名フォトコンであるONE EYELANDのWorld’s Top 10 Landscape Photo Contest 2021でもFinalistに選ばれています。
批評モードの使い方
まず、1x.comでpublishedやnot selectedされた写真を開き「Request critique」をクリックします。
すると、批評(critique)のページが開きます。ここに「写真のタイトル、伝えたいメッセージやコンセプト、何を学びたいか、カメラの設定はいくつか、何でレタッチしたか」などを500文字以上で書いていきます。
今回は、以下のように文を作成しました。当ブログをご覧になっている方は、以下の文章をテンプレにすると書きやすいと思います。英語が苦手な場合にはGoogle翻訳を利用すると良いでしょう。筆者もGoogle翻訳に頼りきっています。
Mt. Asama and snow monsters
(about this image)
Mt. Asama is an active volcano. Mt. Asama is a heavy snowfall area. Trees covered in snow are called snow monsters.By using a fisheye lens, the “monsters” was distorted and its presence was increased. And monsters are frame effects.
(What I learn)
I mainly want criticism about retouching.In addition, I would like to receive advice on composition, etc.
(processing tool)
I used photoshop.
The sky was desaturated to express the harshness of winter, and the overall white balance was lowered. I increased the contrast of the mountains to give it a presence.
The image before retouching is below.
https://xxxx
(setting)
micro4/3, f9, 1/640s, iso200, 8mm(16mm)
上記文章を邦訳したものは以下になります。項目ごとに書くと書きやすいです。重要なことは、レタッチ前の写真へのリンクを載せていることです。これによって、批評者がアドバイスをしやすくなります。写真アップロード先としてはGoogle driveやflickrが使いやすいです。
浅間山とスノーモンスター
(写真の説明)
浅間山は活火山です。冬になると、浅間山には沢山の雪が降ります。 雪を被った木々はスノーモンスターと化します。 フィッシュアイレンズを使うことでスノーモンスターを歪ませて、存在感を高めました。 また、スノーモンスターはフレーム効果を演出します。
(学びたいこと)
私は主にレタッチについての批評を受けたいです。 その他に、構図などについてアドバイスをもらいたいです。
(写真編集ソフト)
フォトショップを使いました。
空の彩度を下げることで冬の寒さを強調しました。 山のコントラストを高めて存在感を出しました。
レタッチ前の写真は以下になります。
https://xxxx
(設定)
マイクロフォーサーズ, f9, 1/640s, iso200, 8mm(16mm)
貰った批評
批評を提出すると、数時間~2日掛けて、様々な方から批評が届くようになります。今回は、計6名の方から批評を頂きました。
Google Chromeブラウザを使っている場合には、右クリックで翻訳することができます。
翻訳すると以下のようになります。翻訳は100%正確ではないので、たまに不可解な日本語になっていることがあります。この場合には英文を読むか、DeepLなど別の翻訳ソフトを使うのが良いでしょう。稀に、批評文が簡潔すぎて何を言っているのかが分からない場合があります。この場合には「あなたの意見に興味がある。もっと詳しく知りたい」という風にコメントすると良いです。さらに詳しく批評を貰うことができます。
今回貰った批評をまとめると、以下のようになりました。
・空の面積が広すぎる。空をトリミングして、山を中央に配置するのが良い
・右の木が左の木よりも高くなっていて左右対称ではない。右側をトリミングした方が良い
・フレーム下部が暗すぎる
なるほど、と思いました。いずれも言われて初めて気が付けた事です。尚、この批評文をそのまま受け入れるのではなく、自分の中で腑に落ちさせることが重要です。例えば、今回、人によって「超広角レンズで湾曲させる方法が好きではない」「超広角レンズを使った構図がとても良い」といった意見があり分かれています。フィッシュアイ補正を使えば湾曲を消すこともできたのですが、今回は後者の意見を採用しています。
批評後の写真
前述の批評を元に、写真をレタッチしなおしました。以下の左は批評前、右が批評後の写真です。だいぶ見栄えが良くなったのではないでしょうか。
批評後の写真を1x.comで新規にCurationに送ったところ、populalityは以下のように96%と高い値となりました。
写真を編集し直したら、各批評者にコメントでお礼を言うことをオススメします。「あなたのアドバイスのここが参考になった。以下urlのように写真を編集しなおした。ありがとう」といった具合です。各批評者に名前を憶えてもらえるし、場合によっては追加で批評を貰うこともできます。
その他の写真
その他、批評前後の写真を以下に示します。いずれも左が批評前、右が批評後です。
八甲田山のスノーモンスター
以下は、厳冬期に撮影した八甲田山のスノーモンスターです。「光が明るすぎて昼間のようだ」「右下の丘が余計だ」といった批評がありました。そこで、コントラストを弱くし、丘を変形してレタッチしなおしました。
赤岳
以下は、夜明け前の赤岳です。「空が広すぎる」「赤岳が暗すぎる」といった批評がありました。そこで、空をトリミングし、赤岳を覆い焼き/焼き込み (dodging & burning)してレタッチしなおしました。
関連記事・書籍
以下に関連記事や書籍を紹介します。
以下記事では、1x.comでpublishedされるためのコツを紹介しています。
風景をメインで撮影していて、尚且つPhotoshopの操作にあまりなじみのない場合には、「風景&ネイチャーAdobe Photoshopレタッチの教科書」がおすすめです。Photoshopの基本的な操作方法と、風景写真のレタッチ方法を紹介している本です。筆者もこの本でphotoshopの使い方を学びました。
レタッチする際には、キャリブレーション可能なモニタを使用する必要があります。キャリブレーションしていないモニタを使ってレタッチをしても、色を正確に合わせることはできません。
モニタのキャリブレーションには、「SpyderX Pro」がおすすめです。
レタッチした写真は、最終的にプリントして確認することが望ましいです。透過光を利用しているモニタと、反射光を利用している紙とでは原理的に写真の見え方が異なります。そして1x.comのバイヤーの大部分は、写真を紙にプリントアウトして利用します。
写真を上達するための魔法というものは無くて、このようにPDCAを回しながら、徐々に上達していくしか道はないと思います。今回の記事は以上になります。